
糸井重里の突然のポストが、ことの始まりでした。
「ぼくはCASIOって会社に弱くてさー。
今日も『カシオ最高峰の電卓』って
お知らせメールを真剣に読んじゃった。」
このポストを目に留めてくださった
カシオ計算機株式会社のみなさんが、
「もしよければ、実際にさわっていただけたら」と、
ほぼ日にやってきてくれました。
なんと、約80台の「電卓」を引き連れて!
社内で誰よりも電卓を使っている
経理チームの乗組員たちも、
黙っちゃいられないと集まりました。
電卓を囲んで大いに盛り上がった、
なかなかほかになさそうな、濃い1時間。
技術力や価格だけが理由ではない、
どうにも惹かれる「CASIOらしさ」を垣間見ました。
(カシオ計算機さんより、
「カシオ計算機のサイトでも『ほぼ日』訪問記を書いています。
電卓の詳しい情報も見られます」とのことです!
本記事と合わせて、ぜひご覧ください)
- CASIO
- 現在は、「使いやすさ」にフィーチャーして
製品をつくっています。
なので、ひたすら小型化を目指すより、
ある程度の使いやすい大きさで、
あったら便利な機能を加えるようにしています。
たとえばこの電卓は防水で、
キーを取り外して洗えるんです。
- 乗組員
- 電卓を洗えるんですか?!
- CASIO
- 昔ながらの定食屋さんなどで、
電卓をラップで包んで使っているのを
見たことありませんか?
- 乗組員
- ああ、あります、あります。
- 糸井
- 油でべたついちゃうからね。
そういうところで洗うのか。
- CASIO
- 防水だけでなく、防塵なので、
工事現場などでも使えます。 - 特別な機能がついたものでいえば、
金利計算ができる、金融電卓というものもあります。
- 乗組員
- 銀行で働いている方が使うのですか?
- CASIO
- 銀行の方でなくても、
たとえば住宅ローンを借りるときなどに
使っていただいています。
- 糸井
- 本当だ、複利計算ができる。
- CASIO
- 実際に使ってみましょう。
借入金が100万円で、利率が3%で、
36カ月ローンだとしたら‥‥
月あたりの返済額は3万円。
- 乗組員
- えーっ、すごい。
わかりやすい。 - こちらもすごいです。
看護師さん専用と、薬剤師さん専用の電卓。
点滴の量やBMIを計算できるんですね。
- CASIO
- 薬剤師さん用の電卓は、じつは、
「余りの計算」の機能を初めてつけた電卓なんです。
たとえば「1シートに10錠入っているお薬を
72錠処方する」といったときに、
何シートと何錠渡すのか、ぱっとわかるように。
- 乗組員
- へえーっ。
- 糸井
- お世話になった看護師さんや薬剤師さんがいたらさ、
退院するときに「お礼」って言って、
これを渡すの、どうかな。
- 乗組員
- 電卓を‥‥。驚かれそうですね。
- 糸井
- ぼく自身は、なにかを計算する機会が
多いわけではないんですけど、
ときどき電卓を買うんです。
なんでだろう、科学技術への憧れが‥‥
「鉄腕アトム」的なものへの憧れが
あるのかもしれないです。
- CASIO
- おそらく、70年代の電卓は
「いちばん家庭に身近なコンピュータ」
だったと思うんですよ。
- 糸井
- ああ、そうですね。
- CASIO
- まだコンピュータが普及していなかった
70年代に生活していた人にとっては、
自分で数式を入力して、機械が答えてくれるという
やり取りに、なんとなく
「コンピュータと会話する」ような感覚が
あったんじゃないかなと思います。
コミュニケーションがとれた感覚といいますか。
その感覚を覚えている方は、
いまも電卓のおもしろさに惹かれている気がします。
- 糸井
- 「電子」という言葉が家庭に入ってきたのは、
たぶん、電卓が最初ですよね。
- CASIO
- そうだと思います。
「LSI(大規模集積回路)が広まったのは
電卓のおかげだ」ともいわれています。
電卓が多くの家庭に普及していったことによって、
LSIの生産量が上がり価格も下がり、
LSIも進化していきました。
そこから、ほかのさまざまな家庭製品にも
半導体が積まれるようになった流れがあります。
- 糸井
- きっと、液晶画面の発達も電卓からですよね。
- CASIO
- 液晶も、はい。
電卓がきっかけだったといわれています。
- 糸井
- その流れで、ニンテンドーから
ゲームウォッチが出たりして。
電卓がいろんなものの「もと」になったんですね。 - ちょっと、ゴマをするみたいになっちゃうんだけど、
ぼくは本当にずっとCASIOの時計を
使ってるんです。
- CASIO
- ありがとうございます。
それは、「OCEANUS」という機種ですね。
- 糸井
- 時計は、どこかの時計メーカーと協働で
つくったんですか?
- CASIO
- いえ、「時間は1秒1秒の足し算である」という
計算機の発想から、CASIO独自で
時計をつくり始めました。
最初にご覧いただいた「S100」もそうですけど、
CASIOの製品は、磨きや切削を、
1個1個やるんですよ。
あまり大量生産を考えないで、
行けるところまで行っちゃおう、
という会社なんです。
- 糸井
- それが、CASIOのカルチャーっていうことなんですね。
(明日に続きます)
2025-10-19-SUN


