吉本ばななさんが
ツレヅレハナコさんの料理本のファンで、
ご自宅に遊びに行くことになったので
それをコンテンツにしませんか?
ついでに料理もごちそうになっちゃいませんか?
と言われたので「ぜひ!」と答えました。

もとはといえば、「ほぼ日の塾」の卒業生、
池田るり子さんがつくった「偏愛の人。」という
コンテンツがきっかけでした。
ツレヅレハナコさんの「異常なたまご愛」を
テーマにしたこの読み物は、
『ツレヅレハナコの愛してやまないたまご料理』
という料理本へと発展。

その出版を記念して、
前々からファンだと公言していた
吉本ばななさんをツレヅレハナコさんの
ご自宅の食卓にお招きし、
たくさんの料理でもてなすことになったのです。

そんなわけで、
たのしくておいしい夜のはじまりはじまり。
進行は池田るり子さんにお任せします。
たのしいおしゃべりとおいしい料理。
これ以上のものって、ないんじゃない?

進行&編集:池田るり子
イラスト:カケヒジュン

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第5回 ヤングコーンから広がる雑談。

──
ハナコさんが大皿を持ってきましたよ。
なんだろう、あれは‥‥。
ハナコ
はい、どうぞ。

ばなな
ヤングなコーンが来た!
──
つまり、ヤングコーン!
ハナコ
シンプルにオーブンで焼いて、
オリーブオイルをかけてます。
熱いうちに、お好みでお塩をかけてどうぞ~。
ばなな
うわあーー。
丸焼きっていうのかな、丸蒸しかな、
どこまで食べていいかわからなくなるやつ。
──
たしかに、たしかに。
ヒゲと皮と本体が一体になっていて、
これ、どこまで食べていいんでしょうか。
ばなな
よく知っている部分を、まずは食べて、
後、その周辺食べられる部分を、探していくの。
ヒゲがおいしいですよね。
ハナコ
この、皮の間もウマイよね。
ほぼ日
すごい、どの部分もおいしい。
──
おいしいー。
ハナコ
おいしいよねえーー。
ヤングコーンの時期って一瞬なんですよね。
お店で「おお、いる!」とチェックして
「来週買おう」って思ってたら、
いつの間にかいなくなる。
──
ヤングコーンの季節に来てよかったです。
ハナコ
ヤングコーンと
実山椒(ミザンショウ)は今だけですね。
ほぼ日
ミザンショウ?
ハナコ
山椒の実のことです。
昔は枝付きの実山椒から手作業で実を取って、
ってやってたんですけど、最近はもう、
水煮を買うようになりました。
──
お店で売っている山椒の水煮を見て、
つねづね不思議だったんですけど、
あの小さな枝を取る作業は、機械でできるんですかね。
ばなな
いや、手でやっているんじゃないかなー。
あ、でも、どんな作業も機械化しちゃいますからね。
ザルのようなもので山椒を
死ぬほど揺らす機械とかあるかもしれない。
「SANSHO M-6」みたいな機械が。
──
「SANSHO M-6」(笑)!
かっこいい!
ハナコ
そのためだけに存在する機械!
ばなな
日本って、
そういう機械がいっぱいあるじゃないですか。
──
確かに、ネギをみじん切りにするためだけの
「ネギー」みたいな機械とかありますよね。
ハナコ
あります、あります。
業務調理用の機械のカタログがあって、
前にそれを見てたんだけど‥‥。
──
そんな楽しそうなものが。
ハナコ
そう、すっごい楽しく見てたんだけど、
そばが打てる「しこしこ」って機械があった。
ほぼ日
あはははは!
──
完全にセンスが小林製薬さん(笑)。
ハナコ
私、雑誌編集者時代に、大阪にある
小林製薬さんの取材に行ったことがありますよ。
開発責任者の方が色々商品の説明を
してくださったんですけど、
説明のたとえがぜんぶ野球だった。
しかも、阪神しばり。
──
(笑)
ハナコ
「ナントカ(選手名)が
3回の裏でズバンと打って、
ぶわーっと走ってくる感じでお願いしますワ!」
みたいな。ぜんぜんわかんなくて。
ばなな
いる、いる、そういう人(笑)。
ほぼ日
うちの糸井重里も野球のたとえを駆使しますよ。
──
ほぼ日さんなら、よく伝わりそうですね。
ほぼ日
いや、けっこう、みんな置いてけぼりです。
ほぼ日って、意外に野球ファンが少ないんですよ。
糸井と同じ巨人ファンに絞ると、
球場に行くようなファンは‥‥4人くらい。
一同
すくなっ(笑)!
ばなな
意外。なんか、入社の面接とかで、
巨人の知識を質問されそうと思ってた。
ほぼ日
いえいえいえ(笑)。
まあ、他の球団のファンの人もいますし、
そういう意味ではふつうですよ。

ばなな
そういえば私、
元祖・糸井さんのところで働いてた人だ。
ハナコ
えっ? そうなんですか?
ほぼ日
あ、そうですね。その意味では大先輩です。
ばなな
糸井さんのやってたカフェで働いてたの。
ハナコ
ええっ? いつくらいのときですか?
ばなな
20代かな。
思い返してみると、面接ありましたよ。
──
巨人のこと、聞かれましたか?
ばなな
聞かれない、聞かれない(笑)。
私、阪神ファンですし。
ほぼ日
吉本隆明さんを筆頭に、
おうちが全員、阪神ファンですもんね。
ばなな
そうなのよ。でも、いまでもたまに、
あのカフェのことは思い出すなぁ。
「孔雀茶屋」ってお店だったんですけど、
今でも、おだんごをつくる夢を見るんですよ。
仕入れたおだんごに、こう、タレをかけて、
完成させる夢を見ます。
ハナコ
それ、大学の単位を落としそうな夢を見る、
みたいなことですね(笑)。
さーて、フライあげてこよっと。
──
ウワァァァァーーー!
揚げ物が来る!
ばなな
いよいよ揚げ物が!
ほぼ日
揚げ物が来る!

(つづきます)

2022-08-07-SUN

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  • ツレヅレハナコ さんが
    大好きなたまごを
    さらにおいしく食べるための
    100個のレシピを考えた本、
    『ツレヅレハナコの愛してやまないたまご料理』が
    発売になりました。
    吉本ばななさんもおすすめのレシピや、
    かんたんにできる味玉4種、
    たまごかけご飯12バリエ、
    つまみにもおすすめのゆでたまご珍味のせ12バリエ、
    世界中で愛されるごちそうたまごメニュー14種など、
    よく知っているはずのたまごが、
    「こんなにおいしかったんだ!」と
    驚くレシピが見つかるはず。
    そして、対談ではふれられなかった、
    ツレヅレハナコさんが
    たまごの「たまこちゃん」を
    アイドルプロデュースするマンガもついています。
    暑い夏のおともに、
    ぜひ、お読みください。

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