吉本ばななさんが
ツレヅレハナコさんの料理本のファンで、
ご自宅に遊びに行くことになったので
それをコンテンツにしませんか?
ついでに料理もごちそうになっちゃいませんか?
と言われたので「ぜひ!」と答えました。
もとはといえば、「ほぼ日の塾」の卒業生、
池田るり子さんがつくった「偏愛の人。」という
コンテンツがきっかけでした。
ツレヅレハナコさんの「異常なたまご愛」を
テーマにしたこの読み物は、
『ツレヅレハナコの愛してやまないたまご料理』
という料理本へと発展。
その出版を記念して、
前々からファンだと公言していた
吉本ばななさんをツレヅレハナコさんの
ご自宅の食卓にお招きし、
たくさんの料理でもてなすことになったのです。
そんなわけで、
たのしくておいしい夜のはじまりはじまり。
進行は池田るり子さんにお任せします。
たのしいおしゃべりとおいしい料理。
これ以上のものって、ないんじゃない?
進行&編集:池田るり子
イラスト:カケヒジュン
- ──
- ハナコさんの著書はほぼぜんぶ持っていると、
さきほどばななさんがおっしゃってましたが、
このたび、ハナコさんの新しい本が出ました。
『ツレヅレハナコの愛してやまないたまご料理』という、
たまご料理だけをこれでもかと詰め込んだ本です。
- ハナコ
- この本は、ほぼ日さんに掲載された
インタビューがきっかけでできたんですよ。
- ばなな
- あ、そうなんですか。
- ──
- ハナコさんがたまごを好き過ぎるので、
私が取材して『偏愛の人』というコンテンツを
ほぼ日でつくったんです。
そこから、たまご料理だけの本をつくることに。
- ハナコ
- 私、甘いものをまったく食べないので、
小さい頃から、たまごがおやつの代わりだったんです。
いまでもつねに、冷蔵庫にゆでたまごが入っていて。
「そんなにたまご食べて飽きないんですか?」って
聞かれることもあるんですけど、まったく飽きない。
毎回、「あぁ、おいしいなぁ」って思いながら食べてます。
私は食べないからよくわからないけど、
たぶん、みんなにとってのチョコとかケーキみたいな?
(まわりの顔を見回して)
なんか、ふつうの人は、チョコとかケーキを食べるたびに
うれしいな、おいしいなって思うんでしょ?
- ──
- はい、ふつうの人たちは思ってます(笑)。
- ハナコ
- 私にとってたまごがまさにそんな感じで。
とにかくめちゃくちゃ大好きすぎて、
それでこの本ができたんです。
といっても、たまご料理のレシピが
たくさん載ってるというだけの本にはしたくなくて。
たまご料理のレシピ本だったら、
私よりたまご料理がお上手な
料理家さんやシェフはたくさんいらっしゃるし。
だから、それならたまごへのありあまる愛を
語る本にしましょう、と話しながらつくりました。
- ばなな
- すごく伝わってきます。
- ハナコ
- ありがとうございます。
- ──
- ばななさんは、たまごはお好きですか?
- ばなな
- たまご、好きです。
ハナコさんも以前何かでおっしゃってたけど、
私も、たまごの「6個入りパック」の
意味がわからない(笑)。
- ハナコ
- 10個入りパックを使い切れないって、何ごと!?
って思っちゃいますよね(笑)。
- ばなな
- そうそう(笑)。
- ハナコ
- でも、たまごって、簡単そうだけど、
けっこう気合を入れて
つくらなきゃいけない食材なんですよね。
本当にちょっとした火加減だったり、
溶き加減だったりで変わってしまうので。
- ばなな
- ちょっと置いていたら、
めちゃくちゃ火が通っちゃったり。
思い通りにならなかったときはものすごく悲しくなる。
- ハナコ
- そうなんですよねー。
私は失敗したら、
その場で食べて、なかったことにして、
気持ちを切り替えて、もう一回やり直します。
- ──
- 「なかったことにして」(笑)。
- ハナコ
- 失敗の話でいうと、
私、ゆでたまごをつくるときは、
絶対に理想のゆで加減にしたいから。
かならずタイマーをかけるんですよ。
でも、ときどきそれを忘れることがあって。
気づいたら、めっちゃグラグラしてたり‥‥。
- ばなな
- ああ‥‥。
- ハナコ
- でもね、最近は、かけ忘れても、
「はっ! でもなんかいま、8分な気がする!」
ってわかるようになりました。
- ばなな
- 何かの達人!
- ハナコ
- 食べてみたら、完璧に8分のゆでたまごでした。
あまりに何百回も8分でゆですぎて、
8分の体感がわかるようになりました。
- ばなな
- すごい、ボクサーだ。体に時間が刻まれている!
- ハナコ
- (笑)
- ──
- ばななさんの好きなゆでたまごは、
何分ゆでですか?
- ばなな
- 私は‥‥ケースによります。
- ハナコ
- (深くうなずきながら)
おっしゃる通り。まさに。確かに。
- ばなな
- たとえばだけど、たまごをぐちゃぐちゃにして
マヨネーズと和えるやつあるじゃない?
- ハナコ
- たまごサラダ?
- ばなな
- そうそうそう。
たまごサラダ用のゆでたまごだと、
ちょっとだけ固めにするかな。
- ハナコ
- うんうんうん。
- ばなな
- でも、パンの上に乗せて
もう一回焼く場合なんかは、
ゆるくしたりとかします。
本当に、そのときによりますよね。
- ハナコ
- そうですよね。そう、この本は、
ゆでたまごが材料表に入るときは、
ぜんぶ「理想のゆで時間指定」が入ってるんです。
「冷蔵庫から出したての冷たいたまごを、
熱湯に入れてから何分」のゆでたまごを使うべきか。
- ばなな
- あ、それはすばらしい。
確かに、それが書いてないと、
大事なことがわからない。
- ハナコ
- そうなんですよね。
あの、みんな、
適当にたまごをゆですぎだと思うんですよ。
ずばり、真剣さが足りない!
- ばなな
- あっ、がんばります‥‥。
- ハナコ
- たまごを思う気持ちが全然感じられないというか、
適当にゆでてるなぁ、と思うときがあって。
たとえば、うちの母なんですけどね。
すごい適当だから、「許せぬ!」って。
- ばなな
- 固けりゃ固いでいいのよ、
みたいな感じで、適当にね。
- ハナコ
- そうなんですよ。
ちゃんと、どう食べたいかを
イメージしてからゆでてる? って思う(真顔)。
- ばなな
- でもたまごは確かにイメージが大切です。
- ──
- たまごのことを話していたら、
お腹が空いてきましたね。
- ばなな
- はい。そろそろ幻覚が見えそうです。
- ハナコ
- よし! 食べましょうか!
では、ちょっと準備をしてきますね。
(つづきます)
2022-08-04-THU
-
ツレヅレハナコ さんが
大好きなたまごを
さらにおいしく食べるための
100個のレシピを考えた本、
『ツレヅレハナコの愛してやまないたまご料理』が
発売になりました。
吉本ばななさんもおすすめのレシピや、
かんたんにできる味玉4種、
たまごかけご飯12バリエ、
つまみにもおすすめのゆでたまご珍味のせ12バリエ、
世界中で愛されるごちそうたまごメニュー14種など、
よく知っているはずのたまごが、
「こんなにおいしかったんだ!」と
驚くレシピが見つかるはず。
そして、対談ではふれられなかった、
ツレヅレハナコさんが
たまごの「たまこちゃん」を
アイドルプロデュースするマンガもついています。
暑い夏のおともに、
ぜひ、お読みください。ご購入はこちら。