吉本ばななさんが
ツレヅレハナコさんの料理本のファンで、
ご自宅に遊びに行くことになったので
それをコンテンツにしませんか?
ついでに料理もごちそうになっちゃいませんか?
と言われたので「ぜひ!」と答えました。

もとはといえば、「ほぼ日の塾」の卒業生、
池田るり子さんがつくった「偏愛の人。」という
コンテンツがきっかけでした。
ツレヅレハナコさんの「異常なたまご愛」を
テーマにしたこの読み物は、
『ツレヅレハナコの愛してやまないたまご料理』
という料理本へと発展。

その出版を記念して、
前々からファンだと公言していた
吉本ばななさんをツレヅレハナコさんの
ご自宅の食卓にお招きし、
たくさんの料理でもてなすことになったのです。

そんなわけで、
たのしくておいしい夜のはじまりはじまり。
進行は池田るり子さんにお任せします。
たのしいおしゃべりとおいしい料理。
これ以上のものって、ないんじゃない?

進行&編集:池田るり子
イラスト:カケヒジュン

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第1回 食べることはいつでも好き。

ハナコ
はじめまして。
今日は我が家までお越しいただいて、
ありがとうございます。
ばなな
こちらこそ、ありがとうございます。
いいのかな、と思いながら
今日をたのしみにしていました。
ハナコ
最初、ばななさんが突然ツイッターで
私のツイートにコメントしてくださって、
え、これ、本物かな? って思って。
ばなな
私も、いきなりフォローすると、
「あっ、フォローした!」って
気を遣われるかなと思って、
読むだけにしてたんですけど、
幻冬舎から『まいにち酒ごはん日記』が出た頃から、
もしかして、もう「読んでます」って
言ってもいいんじゃないかな、
っていう気持ちになって。

ハナコ
ありがとうございます。
すごくうれしかったです。
──
ちなみに、ばななさんが最初に読まれた、
ハナコさんの本はなんだったんですか?
ばなな
どれだったかな。
とりあえず、ハナコさんの本は
ほぼみんな持ってるんじゃないかな。
ハナコ
えっ、ありがとうございます。
ばなな
ハナコさんは料理されるだけじゃなくて、
ご自身も頻繁に外食をされるでしょう?
そこがすごくいいなと思って。
ハナコ
そうですね。
いまはコロナで外食の機会が減ってますけど、
だいたい半々くらいの割合だと思います。
やっぱり、家でつくるのも、
外で食べるのも両方たのしい。
ばなな
うん、そんな感じがしました。
その食事のバランスについて、
私もすごく納得した、というか。
ハナコ
うれしいです。
ばなな
ハナコさんの本を読んで、
はじめてつくったのがあれですね、
ふたつの素材でつくるやつ。
ハナコ
『2素材で私つまみ』ですね。
あの本はレタスクラブの連載をまとめたものなんです。
もともと私、料理雑誌の編集者を
15年くらいやっていたんですね。
そこで、世の中には、
「ほんとは料理つくりたくない」って
思ってる人がこんなに多いんだな、
ということを知ったんです。
「できることなら、一生料理したくない」
って思う人が、世の中には一定数いるんだ!
という驚きがあったんですよね。
ばなな
うん、そうみたいですよね。
ハナコ
料理雑誌の読者さんって、
料理好きな人も多いんですけど、
その逆だからこそ読んでくれる人も多い。
ただ毎日ご飯の時間がきて、家族がいるから、
義務みたいにつくらなきゃいけない、とか。
若くてお金があんまりなくて
そんなに外食できないからしかたなく、とか。
だから、そういう、積極的な動機はないけど
料理をつくってる人たちが、
成功体験を得られるようなレシピを
紹介したいって思っていたら、
どんどん食材が少なくなっていって、
この『2素材で私つまみ』ができたんです。
ばなな
たしかに、この本のレシピはつくりやすくて、
たくさんつくった気がする。
エビパンもつくったし、厚揚げもつくったな。
──
ばななさんは、料理をすることが苦ではないですか?
ばなな
基本的には苦にならないですけど、
んー、一時期、介護をしていて。
あのときはちょっと厳しかったですね。
おじいちゃんを東京の近所のマンションに
引き取ったんですが、
介護認定が取れるまで、ご飯をつくってくれる
ヘルパーさんが来られなくて、
朝昼夜ぜんぶつくっていたんです。
ハナコ
それは大変なことですよね。
ばなな
介護食だけをつくるのならまだいいんだけど、
死ぬ前の日に鰻を食べたという強者で、
けっこう、こってりめのものが好きなんです。
でも、量はいらない。つくり置きはイヤ。
そういうところがあったので、
やっぱり残されると悔しいから、
好きなものだけつくるようにしました。
あのときは、大変だな、と思いましたね。
家族の帰宅が遅く、コロナ禍でお店は早く閉まるし。
外食できないから。
ハナコ
そうですよね。コロナ禍は余計にそうなりました。
私は一人暮らしなので、
つくりたいときはつくるけど、
そうじゃないときは一食抜いてもいいか、
とかできますけど。
食べさせなきゃいけない人がいるって、
やっぱりすごいことですよね。
ばなな
あの時はきつかったな、って今でも思う。
食べるだけなら、いつでも好きですけど。
ハナコ
私も大好きです。本当に朝ごはん食べながら、
昼何食べようかな、って考えてるし、
昼食べながら、夜は何食べようかなって考えてる。
ばなな
そうじゃない人もこの世にいるってことが
私には、本当に理解できない(笑)。
前に石川直樹さんの本を読んでたら、
「僕にとって食べ物はカロリー。山を何キロ歩けるか、
そのぶんのカロリーを補充するということだから、
おいしいとかまずいとかは、意味がわからない」
って書いてて、あぁぁぁ。って。
ハナコ
私ちょっと‥‥
直樹とはお付き合いできないかもしれない。
ばなな
うん、私も直樹とは結婚できないかな。
ハナコ
向こうもお嫌でしょうけどね。
一同
(笑)

(つづきます)

2022-08-03-WED

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  • ツレヅレハナコ さんが
    大好きなたまごを
    さらにおいしく食べるための
    100個のレシピを考えた本、
    『ツレヅレハナコの愛してやまないたまご料理』が
    発売になりました。
    吉本ばななさんもおすすめのレシピや、
    かんたんにできる味玉4種、
    たまごかけご飯12バリエ、
    つまみにもおすすめのゆでたまご珍味のせ12バリエ、
    世界中で愛されるごちそうたまごメニュー14種など、
    よく知っているはずのたまごが、
    「こんなにおいしかったんだ!」と
    驚くレシピが見つかるはず。
    そして、対談ではふれられなかった、
    ツレヅレハナコさんが
    たまごの「たまこちゃん」を
    アイドルプロデュースするマンガもついています。
    暑い夏のおともに、
    ぜひ、お読みください。

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