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読者のみなさんから届いたお便り #118

 
わたしには今年102歳になる祖母がいます。
祖母は大正生まれで、
大正・昭和・平成・令和と、
4つの時代を生きる人です。
102歳になったいまも、
自分のことはほとんど自分でできます。
耳はだいぶ遠くなり、
意思疎通が少し難しいときもありますが、
優しくてお茶目で、
わたしにとって大切なおばあちゃんです。
そんな祖母と、子どものころ何度か
戦争の話をしたことがあります。
しかし、わたしは幼くて、祖母の弟が戦争中、
物資を運ぶ船に乗っている際に爆撃を受け、
亡くなったことくらいしか覚えていません。
ときどき、
上が三角のかたちをしたお墓がありますよね。
あれは戦争で亡くなった人のお墓なんだよ、
と教えてくれたのも祖母でした。
20年ほど前に亡くなった祖父も、
戦争中は中国へ行っていましたが、
病気を患い日本に戻ってきている間に
戦争が終わったとか。
祖父が帰って来なければ、
父は生まれなかったわけですから、
わたしもこの世にはいなかったでしょう。
実はわたしは、8月6日生まれなのです。
幼いころから、誕生日の日の朝は
広島の平和記念式典の映像が流れており、
ラジオ体操から帰って朝ごはんを食べながら、
よく祖母と見ていました。
自分が生まれた日に大勢の人が亡くなったこと、
幼いころから知っていました。
自分の誕生日を入り口に、
戦争については何かと興味を持っていました。
原爆のこと、沖縄のこと、特攻隊のこと、
戦争が終わってもなかなか帰国できなかった人々のこと、
そんな時代が本当にあったのだと、
わたしのそばにはその時代を実際に生きた人がいるから、
決して自分たちに無関係ではないと思えたのです。
わたしは今、小学校教諭です。
教科書にはいくつか戦争を題材にした物語が出てきます。
わたしが子どものころに学んだのと一緒。
戦争は怖い。
繰り返したくない。
でもその時代、誰かのために、国のために、
あらゆる場所で闘い抜いた人たちのことは、
いまを生きるものとして心から尊敬しますし、
感謝しかありません。
戦争を経験したわけではないけれど、恐ろしさや悲しさ、
そして人々の強さや優しさは
伝えていけると信じています。
ね、おばあちゃん。
(しろいるか)

2026-02-14-SAT

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  • ヴェトナム戦争/太平洋戦争にまつわる
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    地域のご老人などから聞いた戦争のエピソード、
    感銘を受けた戦争映画や小説についてなど、
    テーマや話題は何でもけっこうです。
    いただいたお便りにはかならず目を通し、
    その中から、
    「50/80 ヴェトナム戦争と太平洋戦争の記憶」
    の特集のなかで、
    少しずつ紹介させていただこうと思います。

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    特集 50/80 ヴェトナム戦争と太平洋戦争の記憶