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読者のみなさんから届いたお便り #108

 
戦争の語り部がいなくなると最近よく聞きますが、
これも亡父から聞いた話です。
太平洋戦争で父は通信部隊に所属していて、
その日、昭和20年8月6日は、
列車で九州から関西に戻るところでした。
広島駅で、学徒動員された女子学生から
手づくりのおにぎりを窓越しに手渡され、
午前8時きっかりに出発した直後、
車内にいたにもかかわらず
経験したことのない光と爆音爆風にさらされました。
体も吹き飛ばされ、起き上がって外を見ると、
散り散りになり、かつ黒く焼け焦がれた世界が
一面に広がっていたといいます。
人も物も。
「つくっていただいたおにぎりを
食べることができなかった」
と語っていたことが印象に残っています。
因果関係はわかりかねますが、
父は健康診断で
いつも白血球が少ないと言っていました。
父は、このあとのことも話しただろうと思いますが、
幼かったわたしの記憶はここまでです。
(まさや)

2025-12-17-WED

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  • ヴェトナム戦争/太平洋戦争にまつわる
    読者のみなさんからのお便りを募集いたします。

     

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    感銘を受けた戦争映画や小説についてなど、
    テーマや話題は何でもけっこうです。
    いただいたお便りにはかならず目を通し、
    その中から、
    「50/80 ヴェトナム戦争と太平洋戦争の記憶」
    の特集のなかで、
    少しずつ紹介させていただこうと思います。

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    特集 50/80 ヴェトナム戦争と太平洋戦争の記憶