
- 実家には桐のタンスが2〜3棹あり、
そのひとつには、母が袖を通したことのない着物が
何枚も入っていました。 - 実家に帰ったある日、大きなため息をついて
「こんなもんを持って帰ってきたんよね」
とわたしに言いました。
それは、敗戦後ソウルから引き揚げるとき、
手に持てる荷物しか持たず、
仕事をして貯めたお金も使えず、
病状の父を伴って引き揚げてきた母の一言でした。
引き揚げて来てからも
親戚の家をまわり父や兄を亡くし、
地方の工場の住み込み教師として結婚するまで
はたらいてきた母。
やりきれない気持ちで一杯だったのだと思います。 - (匿名さん)
2025-11-26-WED

