前へ目次ページへ次へ

読者のみなさんから届いたお便り #102

 
実家には桐のタンスが2〜3棹あり、
そのひとつには、母が袖を通したことのない着物が
何枚も入っていました。
実家に帰ったある日、大きなため息をついて
「こんなもんを持って帰ってきたんよね」
とわたしに言いました。
それは、敗戦後ソウルから引き揚げるとき、
手に持てる荷物しか持たず、
仕事をして貯めたお金も使えず、
病状の父を伴って引き揚げてきた母の一言でした。
引き揚げて来てからも
親戚の家をまわり父や兄を亡くし、
地方の工場の住み込み教師として結婚するまで
はたらいてきた母。
やりきれない気持ちで一杯だったのだと思います。
(匿名さん)

2025-11-26-WED

前へ目次ページへ次へ
  • ヴェトナム戦争/太平洋戦争にまつわる
    読者のみなさんからのお便りを募集いたします。

     

    ご自身の戦争体験はもちろん、
    おじいちゃんやおばあちゃんなどご家族や
    ご友人・知人の方、
    地域のご老人などから聞いた戦争のエピソード、
    感銘を受けた戦争映画や小説についてなど、
    テーマや話題は何でもけっこうです。
    いただいたお便りにはかならず目を通し、
    その中から、
    「50/80 ヴェトナム戦争と太平洋戦争の記憶」
    の特集のなかで、
    少しずつ紹介させていただこうと思います。

    メールを送る

  •  

    特集 50/80 ヴェトナム戦争と太平洋戦争の記憶