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読者のみなさんから届いたお便り #76

 
小学校のとき、夏休みの宿題が、4・5・6年生と3年続けて
「戦争レポート」でした。
6年生のときには、題材を求めて南京大虐殺の本を読みました。
3年間も同じレポートか、と当時はうんざりしていましたが、
日本が敗戦国として傷だけでなく、
他国を傷つけたという歴史を知ったのは、この宿題のお陰です。
いま、わたしはフランスのアルザス地方に住んでいます。
ここは、ドイツに近く、
戦争中はフランス、ドイツと統治国が変わった歴史があり、
わたしの母と同じ世代(82歳)のマダムは、
ご自分のふだん使っている名前以外に、
役所に届けている名前があり、
身分証明書と郵便物の名前が違って、
窓口で受け取れなかったと怒っていました。
「戦争中だったから、フランスの名前が付けられなくて、
両親がドイツの名前を付けた。
でも、わたしはずっと本当に付けたかった名前を使っている」
ということでした。
マダムのオフィシャルな書類には、
ルイーズ・マドレーヌ・ジュリーと名前が3つあります。
でも、彼女はルーシーさんです。
フランスでは、1945年5月8日を戦勝記念日として、
この日は祝日です。今年はイベントがあり、
戦争時の写真の展示が村のあちこちに置かれ、広場には戦闘車、
そして迷彩服を着たイベント参加者がいました。
戦争の色で、お祝いをする雰囲気にわたしは同調できなくて、
お祭りを見ることができませんでした。
わたしの中には、戦争は心痛いもの、という思いがあります。
(kiki)

2025-10-25-SAT

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  • ヴェトナム戦争/太平洋戦争にまつわる
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    テーマや話題は何でもけっこうです。
    いただいたお便りにはかならず目を通し、
    その中から、
    「50/80 ヴェトナム戦争と太平洋戦争の記憶」
    の特集のなかで、
    少しずつ紹介させていただこうと思います。

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    特集 50/80 ヴェトナム戦争と太平洋戦争の記憶