
- わたしのヴェトナム戦争の記憶で
リアルタイムなものがひとつだけあります。 - 小学5年生のとき、学校から帰って
いつものように郵便受けから夕刊を出して
玄関に投げました。
すると、一面に縦書きの太い大きな文字で
「サイゴン陥落」と書いてありました。 - 当時のわたしは、
あの戦争のことはまったく知らずに
毎日遊んでいたのだと思います。
でも、なぜだかあの大きな文字は
ずっと記憶のなかに刻まれていました。
たぶん、子どもながらに
ただならぬ雰囲気を感じたのでしょう。
もちろん、「陥落」なんて言葉は知らないし
読めるはずもありません。 - あの見出しの内容を知ったのは、
社会人になってだいぶ経ってからでした。
当時、ただただ、
なにかとんでもないことが起こったのだと感じた
子どものころのわたし。
これが、
わたしのひとつだけのヴェトナム戦争の記憶です。 - (ほひのさん)
2025-09-13-SAT

