「自分のからだを運転する」シリーズ 虫歯のない会社宣言!
 
歯石大王、誕生。
タイトルマンガ:NJTP
 

前回、虫歯だらけの「虫歯四天王」の惨状を
反省の気持ちも込め、つつみ隠さずお伝えした。

(そのようすは、こちらからどうぞ)

おそらく、
あのレポート記事を読んだ人すべての胸に
去来したであろう、
「だいじょうぶなのか、あの会社‥‥。
 あんな人たちに健康をまかせて‥‥」の思い。

わわ、わかる。わかります。痛いほど。

しかし、こうは考えられないだろうか。

この四天王の虫歯さえ何とかしてしまえば、
「虫歯ゼロで、楽しい職場」は
ぐっと、現実味を帯びてくるはず。

道のりは長いが、地道に治療を続けてさえいけば、
いつかきっと‥‥。

そんな、わたしたちの楽観的・希望的観測を
粉みじんに吹き飛ばす男が出現した。

それが、虫歯四天王をも身震いさせた
歯石大王こと、ニシモト乗組員だ。

シャワーを浴びただけで、歯ぐきから血が。

歯石大王・ニシモトとは、
文字どおり
大王クラスの歯石をため込んでしまった男である。

その歯石の量たるや

・歯石がいっぱいあり過ぎて、
 すぐには歯石除去作業に手をつけられない。
・通常は「3ミリ」くらいの歯周ポケットが
 のきなみ「7〜8ミリ」という異常な深さ。
・今まで見たこともない珍しい症例であることから、
 今後の研究資料のためにと、
 ライオン歯科さんに口腔内を写真撮影される。

‥‥というほど、筋金の入った重篤ぶり。

おかげで「歯ぐき」が弱りきっており、
このまま放置すれば、
虫歯がないのに
歯が抜けてしまう可能性もあるというのだ。

「朝、シャワーを浴びて全身に血がめぐってくると、
 歯ぐきに血がにじむほどだった」という
歯石大王の証言が、その症状の大変さを物語る。

男がシャワールームに入り、しばらくすると、
シャワーカーテンごしに、足もとから血がにじみ出す‥‥。
題して「恐怖! 血染めの歯石大王」。おおこわ。

なぜ、こんなことになってしまったのか。
その秘密は、彼の「生い立ち」に隠されていた。

幼いころは「歯の健康優良児」

歯石大王・ニシモトは、
生まれつきの「大王」だったわけではない。

むしろまったく逆で、4歳のころから
食後の「フッ素うがい」を
それはそれは厳しく、しつけられていたのだ。

言ってみれば「虫歯予防のエリート教育」を
徹底的に叩き込まれた、
いわゆる「歯の健康優良児」だったのである。

「ライオン歯科の先生にうかがってみると、
 フッ素うがいは、
 乳歯から永久歯に生え変わるタイミング、
 一日のうちでは
 寝る前がいちばん効果的だそうなんです。
 まさにぼく、それやってたんですよ」(歯石大王)

こうした英才教育のおかげで
ニシモト少年は
「歯を磨かなくても虫歯にならない」という
たいへん羨ましい体質を手に入れた。

しかし、結果的に、
その「羨ましい体質」が、悲劇の引き金となる。

つまり、歯のケアーをまるきり怠っても
ぜんぜん虫歯にならないため
毎日の歯磨きを、サボりにサボり続けたのである。

その結果が「歯石大王」。

率直に言わせてもらえば、何しとんねん!
健康優良児の意味ないやんけ!

歯ぐきが弱っていて、歯石除去ができない。

38年におよぶ「歯みがきサボり人生」の
大きなツケとして、
レントゲンにも写りこむくらい、
たくさんの歯石がたまってしまった歯石大王。

ライオン歯科さんとしても
今すぐ歯石を取り除きたいところであったが、
現在の弱りきった歯ぐきの状態では
歯石除去作業にむちゃくちゃ痛みが伴なう上、
歯石を取ること自体、難しい。

そこで、まずは
3週間の徹底的な歯みがきブラッシングで
歯ぐきを鍛え直すべしとの厳命が
歯石大王・ニシモトに下されたのであった‥‥。

「今回、痛感したのは、歯みがきって
 口がさっぱりしたらオッケー!
 ‥‥じゃなかったってことですね。
 ブラッシングは『オレ流』じゃ、絶対ダメ。
 磨けてない部分は人それぞれだから
 いちど、歯科衛生士さんに指導してもらうことを
 大王からもオススメします」(歯石大王)

「歯石大王」という仰々しい名前とは裏腹に、
1日2回の正しいブラッシングで、
ちょっとずつ歯ぐきを引き締めていくという、
なんたる地味な作業‥‥。

しかも、3週間という期間はとりあえずの目安で、
そのあと歯石の除去作業をスタートできるかというと、
そんな保証はどこにもないという。

ある意味、虫歯四天王をしのぐ、
先の見えなさではないだろうか。

ところで、弊社の「虫歯ゼロ宣言!」には、
「生まれつき虫歯がゼロ」である、
歯石大王のお口の状況は、直接は関係ないとも言える。

しかし、乗組員の健康を厳しくチェックする
われわれ「健革連」としては、
この人を「見なかったこと」にすることは、できない。

「虫歯ゼロ」を目指すのと並行し、
歯石大王・ニシモトが、お口の健康を取り戻すまで、
並走し、力づけ、ともに笑い、ともに泣き、
その経過を、逐一レポートし続けるつもりだ。

さて、次なる更新は、8月11日(水)の予定。

一向に虫歯本数が減らない
我が社の「虫歯ゼロ宣言!」プロジェクトに忍びよる、
思いもよらない「刺客」。

驚きの展開が、わたしたちを待っていた。

 
 現在の虫歯本数 35本
 
ライオンさんに、しつもん!
歯石と歯垢って、どうちがうの?
歯石と歯垢、名前がちがうのはわかるのですが、
どこがどうちがうのでしょうか?
また、それぞれの歯周病との関係も、教えてください。
(歯石大王からのしつもん)

歯垢(しこう)とは、食品の食べかすではなく、
歯についた「細菌のかたまり」です。
わずか1ミリグラムの歯垢の中に
2億から3億の細菌がいると言われています。
歯垢をそのままにしておくと、
細菌がつくりだす酸や毒素で、
ムシ歯や歯周病になってしまいます。
歯垢は、ブラッシングやデンタルフロスなどで
取りのぞくことができます。

歯石(しせき)は、
歯についた歯垢が変化して石灰化し、
固くなったものです。
歯石ができると歯の表面がザラザラして、
周囲の歯肉を刺激して
炎症を起こしやすくなるとともに、
病原性の高い歯垢がつきやすくなります。
歯石になってしまうと、
歯科医院でしか取ることができません。
歯石をつくらないために、
毎日のケアが大切ですね。
  
  ライオン歯科衛生研究所 目黒診療所
            眞木吉信院長

 

なるほど、なるほど。
みなさんも、歯に関する悩みや疑問など、
なにか聞いてみたいことがあったら、
件名を「歯のしつもん」として
postman@1101.com まで、メールでお寄せください。

ライオンさんへ質問する

いただいた質問のなかから
われわれ健革連がみなさまを代表して質問し、
このコーナーで紹介していきたいと思います。

illustration : NJTP
読みました。
2010-08-04-WED
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