燃え殻さんデビュー作ボクたちはみんな大人になれなかったの感想に、燃え殻さんがお返事します。 「燃え殻」さんが書いたはじめての小説が大きな話題になっています。数字のことを言うのは野暮ですが、発売からひと月も経たないうちに増刷を重ね、7万部以上も売れているそうです。ツイッター上で話題になりはじめた頃から糸井重里とやり取りし、その縁もあって、『小ネタの恩返し』シリーズのあとがきを書いてくださった燃え殻さん。そのデビュー作を「ほぼ日」も応援します。 『ボクたちはみんな大人になれなかった』を読んだ人から寄せられたたくさんの感想に、著者である燃え殻さんがお返事のコメントを書いてくださいました。 燃え殻さんの書いた話題のデビュー作は、「読んだら自分のことを語りたくなる」という、不思議な性質を持っています。寄せられた感想も燃え殻さんのコメントもとても味わい深いものばかり。どうぞ、ゆっくりお読みください。まだ小説を読んでない方は、きっと本を読みたくなると思いますよ。 燃え殻さんデビュー作ボクたちはみんな大人になれなかったの感想に、燃え殻さんがお返事します。 「燃え殻」さんが書いたはじめての小説が大きな話題になっています。数字のことを言うのは野暮ですが、発売からひと月も経たないうちに増刷を重ね、7万部以上も売れているそうです。ツイッター上で話題になりはじめた頃から糸井重里とやり取りし、その縁もあって、『小ネタの恩返し』シリーズのあとがきを書いてくださった燃え殻さん。そのデビュー作を「ほぼ日」も応援します。 『ボクたちはみんな大人になれなかった』を読んだ人から寄せられたたくさんの感想に、著者である燃え殻さんがお返事のコメントを書いてくださいました。 燃え殻さんの書いた話題のデビュー作は、「読んだら自分のことを語りたくなる」という、不思議な性質を持っています。寄せられた感想も燃え殻さんのコメントもとても味わい深いものばかり。どうぞ、ゆっくりお読みください。まだ小説を読んでない方は、きっと本を読みたくなると思いますよ。
燃え殻さん・プロフィール
燃読者のみなさんの感想と、燃え殻さんからのお返事。その7

『ダサいことをあんなに嫌った彼女の
フェイスブックに投稿された夫婦写真が、ダサかった。
ダサくても大丈夫な日常は、
ボクにはとても頑丈な幸せに映って眩しかった。』

この文章で、やっと今の自分の人生が
肯定された気がして、とてもホッとしました。

今でも、チラシとポスターがオシャレなクソ映画を
観に行かなくてはという気持ちと、
行かなくても大丈夫という気持ちが
いつもせめぎ合っているけれど、
この文章があったから、今年の苗場で、
小沢健二が「フジ」といったら「ロック」と
自信を持って叫ぶことができたような気がします。
ありがとうございます。

2017年の夏にこの物語と出会えたことが
本当に嬉しいです。

物語とほぼ同じ時代に中央線に住み、
オリーブに掲載されていた洋服を真似て
オリジナルでカスタマイズしたこと、
セントジェームスを着てカフェで働きつつ
神奈川に住む人とメールで文通し、会い、
音楽の話をいっぱいしたこと、
始まる前に終わりを感じて
いつも不安で悲しかったこと、
最後はさよならもなかったこと、
消えかけていた90年代最後の記憶が蘇って、
身体中が痺れました。

忘れていた時代のことだけれど、
あの頃があって今があることを想い、
あの頃思い描いていた未来とは少し違うかもしれないけど、
私は私の今の幸せがより恋しくて愛しくて
たまらなくなりました。
何があっても頑丈にしなければ、と。

でも、いつかどこかで、
密かに「ひどいね」も連打してみたい。

(pinoco)

あの頃描いていた大人には
なれなかったかもしれないけれど、
「それもいいじゃない」と自分に言い聞かせて、
今日を生きる人を大人っていうのかもしれないなぁと
無責任に思ったりします。

(燃え殻)

燃え殻さん、こんにちは。

この本を読んで心の奥底に沈んていた、
大小の後悔をともなった痛み
(なのか甘酸っぱい思い出なのか、青臭い感情なのか)
を思い出さずにはおれませんでした。
数え切れない出会いと別れがあり、
二度と会うことがないと知らないままに訪れる別れ、
二度と会うことがないと感じながらも
普段と同じように訪れる別れ、
思い返せば心残りは、小さな澱(おり)となって重なり、
いつの間にか心の底にヒリヒリとした塊となって
溜まっているような気がします。

僕は高校を卒業してから大学受験に何度か失敗したのち、
アルバイトをしたり旅をしたりを数年間繰り返した末、
バブルの隙間に潜り込む形で正社員として働き始めました。
20代のころは、将来の約束されない不透明な毎日に
漠然とした不安を抱えながら、
カラ元気を装い我を忘れて仕事に没頭してきたので、
人との出会いや別れを特に気にしないように
過ごしていたように思います。

そんな中でも(後悔の念として)
心に残る別れはいくつかありますが、
50歳を過ぎた今、そのような思い出も徐々にうっすらと、
もやがかかったように不鮮明になってきて、
ただ心残りという感情のみがいつまでも
心のどこかで小さく疼いているようです。
僕には燃え殻さんの生きてきた日常とは
全くと言っていいほど関係のない
日常を過ごしてきたわけですが、
間違いなく、僕にもかおりがいて、
スーがいて、七瀬がいて、
街角で僕を見つけてくれたチンピラがいて、
ナオミさんがいて、
女優になりたいと言っていた女の子がいて、
関口がいたんだと思えます。

あれから数十年が経過して、
SNSなどという「便利な」サービス、
Facebookのネットワークが、
僕の気持ちを多少なりとも揺さぶりますが、
しばらくは便利なサービスで過去を覗くことなく、
心の疼きを抱えたまま、前を向いて
変わり映えのしない日常を過ごそうと思います。
すいません、読書感想文でもなんでもなく、
お話に引っ張り出された
過去の自分の話をしてしまいました。

燃え殻さん、ありがとう。

(てっど)

人生の先輩からの感想、嬉しいです。
あなたにとってのかおり、スー、七瀬は
どんな人だったんだろう。
きっと振り返ったらあなたの人生の
大切な登場人物になっていたんですね。
今、代わり映えのない日常と書かれてますが、
よく目を凝らしてください。
あの時みたいにかけがえのない、
あなたにとってのかおり、スー、
七瀬のような人がいるはずです。

(燃え殻)

私は1967年生まれです。
燃え殻さんの作品を読んで
学生だった頃の時代の空気を懐かしく思い出しました。
私にも都内の専門学校に通っていた頃、
ほぼ毎日一緒に過ごした
大学生のボーイフレンドがいました。
燃え殻さんたちのような関係ではありませんでした。
携帯のなかったあの頃、彼の住んでいる学生寮に、
下宿していた叔母のうちの家電から
毎晩電話して顰蹙ものでした。
先日、彼の住む関西に行く機会があり、
鍼灸院を営む彼を訪ねてみました。
(こちらは主人を同伴)
それぞれに家庭を持ち、
私は子育てを終え30年ぶりの再会でした。
お互いの姿は変わりましたが、
全くあの頃と同じ調子の会話をし、
就職した会社を辞めて鍼灸師になると言う彼に
いつかわたしも施術してもらうという約束が叶いました。
鍼一本で家族を養う、
しかも関西でというのは難しいと聞きますが
お屋敷町のこじんまりした、
歴史のある阪急電車の駅ナカのビルでの
堅実な彼の仕事ぶりは私を安心させました。
ほんの一時間でしたが、
改めて彼の穏やかな人がらに接して、
多感な少女だった難しい時代に
彼に支えられていたことを感謝しました。
お互い関東と関西に離れてそれぞれの生活があります。
もう生きているうちは会えないねと言って別れました。

7月の終わりから受けていた検査のまさかの結果が出て、
私は来週肺がんの手術を受けることになりました。
燃え殻さんの作品を読んだおかげで、
彼と再会できて良かった。
恋人ではなかったけど、好きだった人に再会出来て、
しみじみしたとても良い時間を過ごせました。
いまの燃え殻さんにも、彼女を会わせてあげたい。

どうか燃え殻さん、ご自愛くださいね。
時々ツイッターでつぶやきを拝見して案じています。

(まりらん)

感想を送って頂いてありがとうございます。
確かめ算のような旅だったみたいですね。
お身体の具合が心配です。
旦那さんと今度はあの小説に書いた
「あてのない旅」に出かけるのはいかがでしょうか?
治療、大変だと思いますが、
回復することをお祈りしております。

(燃え殻)

すごく寂しくて不安な気持ちになりました。
燃え殻さんはもう既に
過ぎてしまったことかもしれないけど、
そもそもフィクションなんだろうけど、
でもまだ20代で、渦中にいる私は
すごく心細い気持ちになりました。
この話の登場人物全員になれる気がする、
羨ましいわけじゃないのに
なってしまう気がするそんな気待ちです。
でもきっと何にもなれないとも思います。
背負いたいリュックも、
リュックの中身もまだ決まっていません。
乗り越えた、というか過ぎてしまった後は
なんでも平気になってしまうんでしょうか。
って責めたくなるくらい心がざわざわしました。

小説全部燃え殻さんのTLみたいで、
140文字ごとに好きって思う表現がある、
もし誤字があってもきっと許してしまったと思います。

学生時代に演劇を少ししていたのですが、
その時、演技が下手な奴は
振り幅大きくするしかないんだと
だから小さな声から大きな声まで
出せるようになれって話をされました。
燃え殻さんの小説は振り幅が小さい、
でも成立してるのって大きな声を
出す必要がない表現力があるからですね。

この本が欲しいって思って本屋さん探したの初めてです。
帯に書かれている言葉素敵な言葉ばかりでしたが、
全部しっくりきませんでした。そんなのも初めてです。
誰かの感想をわかるわかる!
って言える話じゃないと思いました。
彼氏に貸すつもりなんですが、
今のところ感想は語り合いたくないです。笑

(chocotcocoa)

登場人物の全員になれる気がする
と書いてくれたあなたは、
きっとリュックの中身は空っぽじゃないですよ。
どうかこの本を一冊忍ばせてやってください。
反面教師の登場人物たちをお供にしてやってください。
どこかそれでもしぶとい彼らに
励まされたりしちゃってください。
本屋さんで探してくれてみつけてくれて
ありがとうございます。
彼氏と感想を語り合う時は
ジンリッキーを2杯飲んでからに
することをおすすめ致します。

(燃え殻)

渋谷のホテル街、ラフォーレ前の待ち合わせ、WAVEの袋。
最近、記憶があいまいになってきた自分の
あの時代を鮮明に思い出しました。
自分のそれは、今の自分にとって
美しい過去ではないと思ってたけど、この作品を読んで、
あれもあって今の自分だねって思います。
大事にしなきゃです。なんだかなぁ。
仕事中だけど、一杯ひっかけてこよっと。

(いっちー)

きっといつかすべて思い出になります。
いや、すべては言い過ぎでした。
良いことも悪いこともだいたい忘れてしまいます。
まだらにきっと思い出になります。
だから今日をよく噛んで生きていきたいなぁと。

(燃え殻)

私はまだ一年前くらいのことになりますが、
本当に大切な人との関係が終わりました。
彼女の読む本を読み、彼女の聴く音楽を聴く、
私の全てを変えてくれた人でした。
「時間が解決してくれるよ」と
友人は言ってくれたのですが、
「そういうもんかなぁ」と答えつつも、
私にはとてもそうは思えなかったのです。
そんな時にこの本を読み、きっとこれは
「絶望でもあり希望でもある」ことなのですが、
決して忘れられない、
かけがえのないものだってこの世にはあるのだと。
それはふとしたことで失われてしまうけれど、
それでも生きていかなければいけないのだと、
そんなことを思いました。

「美味しいもの、美しいもの、面白いものに出会った時、
これを知ったら絶対喜ぶなという人が近くにいることを、
ボクは幸せと呼びたい。」

この一節が私はとても好きなのですが、
はたしてそれを知ったことが良かったのか、
今はわかりません。
いつか良かったと心から言える日が来るように、
何とかやっていきます。
こんなにも大切な思いが詰まった小説を届けてくださり、
本当にありがとうございました。
燃え殻さんもご自愛くださいね。

(ユリイカ)

人から見たらガラクタみたいなことも
全部抱きしめて、
生きていこうなんて思ってます。
この文章ですらプッと笑われてしまうであろう
インターネットでこんなことを言うのはなんですが、
時間が解決してくれないこともあります。
いいじゃないですか、
それらも全部抱きしめて生きていくのも。
そういうの哀愁って言うんだよって
会田誠さんが言ってました。

(燃え殻)

自分の中に確かにあるんだけど、
もう忘れてしまった痛みとか傷跡を
「ここなんでしょ?」って感じで
ほぐしてくれて痛気持ちいいみたいな。
初めはキザに思えた言い回しも、
本来こういうモンじゃないか?
ストレートがシュート回転するという感じ。
発売してすぐに書店に行ったら、
入荷してないとの事で取り寄せ。
1ヶ月後行ったら大々的に展開中。
「でしょでしょ」って誇らしい感じに。
あのコにも読んでほしいけど、薦めるの照れくさいなぁ。

(わし 33歳 男)

正直言うとこれは最初で最後の
小説になるかもしれないと思って書きました。
そりゃそうですよ、なんていっても
小説を書きたいと思わないで
生きてきた人間なんですから。
それが新潮社からハードカバーの小説を出すなんて、
これはもう辞世の句レベルで書いたつもりです。
「クサイ」「ダサイ」「キザ」と
よく感想で書かれたんですが、許してほしかった。
だって辞世の句レベルで書いたんだから。
今生の別レベルの気持ちで記したんだから。
読んでくれてありがとうございました。
辞世の句パート2が出来たら出来たで、
許してほしい私がいます。

(燃え殻)

何度も読みました。何度も何度も読みました。
何度読んでも思ったことは、
この本はわたしにとって
たった一つのお守りになりました。
たった一人の代わりのきかない人がいました。
どんなに疲れて帰ってきてバタンキューしても、
うつろながらも必ず小さな声で
おやすみなさいを言う人でした。
燃え殻さんの本に出会えて良かったです。
痛くて悲しいのに、温かいです。
これからもこの本をお守りに生きていきます。

(ムーンレイカー)

自分の物語が、
誰かの物語になっていくのは
とても不思議で
とても嬉しい気持ちになります。

(燃え殻)

前略 燃え殻様

読書感想文なるものを纏めるのは、まる30年前、
高三の夏休み以来なので、
実はいま妙に緊張しております。
思えば、本を出されることを最初に知ってから、
新宿の紀伊国屋の1Fレジで、
第二刷を手にして会計を済ませるまでも、
買おうかどうしようか、家族には見せていない心の中で、
さんざん迷っておりました。
ツイートだけは、以前から拝見していたのですが、
小遣い程度の収入も子どものために
ほぼ消えてしまう自分としては、
cakesを有料で購読するのはとんでもない贅沢で、
でも新潮社さんから本になるということは、
きっとそれだけすごいお話に
違いないという確信もあり‥‥
あと10日早く会計をしていれば、初版本を手にし、
紀伊国屋のイベントでサインも
いただけたのかもしれません。
でも、読み始めてまもなく、
「かおりさんが普通のブスなら、たぶん私は
『ボク』が見たらすごいブスだよなー」と思ってしまい、
その後も、昨日の毎日新聞夕刊などで
燃え殻さんのお顔を拝見するたび、
「なんだよーあんなに垢抜けないボクとか
言っておきながら、
燃え殻さんかっこいーじゃないかー。ズルいー」
と思わずにはいられないので、
こうしてほぼ日さん経由で感想をお伝えするくらいが
ちょうどよいのかもしれません。

(‥‥と、前置きが長くなってしまいましたね。
申し訳ありません。)

ところで私は、
言ってみりゃ子育て中のダサい中年主婦です。
魔法の粉も時々かかる『ボク』とは世界が違うよなー。
読み始めて最初の数ページは、
そんなふうにのんきにかまえていたのですが、
かおりさんのフェイスブックにつながるところで、
ゆっくり上にのぼっていった
ジェットコースターが最初に急降下する時のように、
話の世界に引きずりこまれ、読み終わるころには、
世界が違っていたはずの『ボク』は、すっかり私の中で、
「平行する世界に生きている、もうひとりの自分」
のようになっていました。

実は、ダサい中年主婦の私にも、
「いつまでも思い出にさせてくれない人」がいます。
とはいえ、私は、かおりさんとは違い、はたから見れば、
「人気者の男子に勝手に恋して振られたブス」
でしかないのですが、それでも当時は、その人のためにも、
「自分が憧れる人間」になりたいと本気で思っていました。
30年前の夏に書いた読書感想文も、
実は感想文という体裁を借りて、
その方への気持ちを吐き出したようなもので、
それで外部の読書感想文コンクールの
学年代表に選ばれた時は、
たいへん気恥ずかしかったものです。

今でも、疲れたり落ち込んだりした時、
夢に主役で現れるその人が、グーグル先生のおかげで、
フェイスブックにいるのを知ったのは約一年前でしょうか。
これ、もしアカウントを持ってたら、
なんだかんだ言い訳をして
つながろうとしていたんだろうなぁ。
SNSは絶対にやらないと、
以前からかたくなに決めていた自分に安堵しつつ、
それでもそのフェイスブックのトップページを
しばらくブックマークしていた私にとって、
あの友達申請のボタンを押してしまったシーンは、
どうしても他人事に思えなかったのです。

私も、仕事に行く道すがら、
何度も高円寺のむげん堂の前を通っていたこと。
初めては私も円山町のラブホテルだったこと。
夫と出会ったことで、あいまいなまま別れてしまった存在。
数か月前、たまたま仕事で、
何年も足を運んでいなかった中目黒まで、
雨の夕方に行く機会があったこと。
そして今、自分が中野に住んでいること。
買った本は、一度読むと安心して、
棚にしまうことがほとんどなのですが、
燃え殻さんの本は、読んだあとも、
話の隅々を読み切れていない気がして、
お守りのようにしばらくリュックに入れて、
移動中に読んでいました。
そして今も、エコバックに入れて
居間の片隅に置いています。

子育て中のダサい中年主婦、というパッケージでくるんで、
私が忘れていた、いや、「忘れた」ことにしていた過去を、
これほど一気に思い出すことは、
きっとこの先、そうはないでしょう。
そして、「私が開けたあの窓を、
数年後にかおりさんが開けたのかも」
と夢見ずにいられない無礼をどうかご容赦ください。

読み返すと、ちっとも感想になっていませんね‥‥
重ねて申し訳ありません。
日々お忙しいとは存じますが、
白湯とほうじ茶をお供に、どうかご自愛くださいませ。

草々

追伸:狙ったわけではないのですが、本を拝読したあと、
日比谷線にたびたび乗る機会があり、たぶん数十年ぶりに、
日比谷線の上野駅のホームに先日降りました。
自分がそう思って読んでいるからかもしれませんが、
燃え殻さんの地下鉄の描写は、東西線でも銀座線でもなく、
とても日比谷線のにおいがすると改めて感じました。

二伸:今朝、夫のアドレスあてに、
年賀状しかやりとりしていない高校の同級生から、
同窓会があったというお知らせと、
同窓会HPのURLがメールで送られてきました。
中を開くと、「思い出にさせてくれない人」の
コメントが掲示板にありました。

(ふみきり)

渋谷のスクランブル交差点で
赤になるのを待ってる時とかに最近思うんですよ。
この歩道から今にも溢れそうな人たちにも
色々あるんだろうなぁって。
主人公ボクにとっての彼女みたいな色々が。
スーにとっての主人公ボクのような存在が。
みんな色々な役を
持ち回りしてやってるんじゃないかって、
考えたりしてしまうんです。
子育て中のダサい中年主婦と
自分で称したあなたにとっての主人公ボクのような人、
七瀬のような厄介だけど憎みきれなかった誰か、
関口のような同期、スーのような
もう二度と会えない存在の人物が、
あなたのことを懐かしさと愛情を持って
ふと今日も思い出したりしてるような気がするんです。

(燃え殻)

ネットで読んでいて心を鷲づかみにされた部分が
随分端折られていて少し残念でしたが、
小説になるとはこういうことなのですね。
燃え殻さんと同世代なので物語の情景が
とてもリアルに感じられました。
バブリーな人を横目に私も頑張って
アニエスb.着てました。笑
こんなに景色が見える小説を読んだのは初めてで、
号泣したのも初めてです。
燃え殻さんのツイッターに出会えて小説を読めたこと、
私の心のベストテン上位入りです。

(ポンコツぽんちゃん)

端折ってるのを分かってくれるほど
読んで頂いて嬉しいです。
空気感だけは変えなかったつもりです。

(燃え殻)

色々書こうと思っていたのだけど、
まどろっこしくなったので短めにしました。

壮大な未練のラブレター。
人生の宿題になってしまった
恋愛をされたんだなぁ、燃え殻さんは。と思いました。

私にも、そんな恋愛の思い出があって、
消化しきれずにいます。
切ないけれど宝物。
それを確認する為に、噛み締める為に、
何度もこの本を読もうと思います。

(豆さん)

そんなに全部うまくいかないですよね。
そんなに全部うまくいかないから
生きられるんですよきっと。

(燃え殻)

僕らの(ほんの少し上の)世代の
青春恋愛小説という感じでした。

過ぎ去ったブームとして渋谷系を聴いたり、
中島らもの小説を読んでいたりした僕は、
いつまでも少し上の世代に
憧れを持っているのかもしれない。

読んでいる間感じていたほのかな幸福感や恥ずかしさは、
きっと同時に自分の昔の恋の追体験してしまっていたから。

いつの間にか歳を重ねて、
振り返ることのできる過去が出来てしまった世代の僕ら。
その頃には分からなかった様々なことたちが、
今の自分の中で様々に交錯する。

何者でもない自分が、
人との出会いと別れを通してこの世界に繋がっていく。
そうやって得た僅かな自分を
肯定できる力に寄り添うことで
何とか今立っていられるような気がする。

若すぎれば感慨もなく、歳を重ね過ぎてばくすんでしまう。
そんなひとときの感情の瞬きを一冊にパックしたような、
掛け替えのない小説になりました。

(peace)

自分でも、もう少し時間が経ったら
読み返してみようと思っています。
変な話、神保町の古本屋で自分の本を見付けたら、
飛び上がるほど嬉しいんじゃないか?
と密かに考えたりしています。

(燃え殻)

お読みいただき、ありがとうございました。
今回で、読者のみなさんと
燃え殻さんのやりとりは終了です。
読者のみなさんから
たくさんの感想をいただきました。
そして、燃え殻さんから
たくさんのコメントをいただきました。
あの小説が広がっていくようで、
とてもおもしろかったです。
ありがとうございました。それでは、また。
2017-10-06-FRI
いままでの更新
2017-08-25-FRI

読者のみなさんの感想と、
燃え殻さんからのお返事。<その1>
2017-09-01-FRI

読者のみなさんの感想と、
燃え殻さんからのお返事。<その2>
2017-09-08-FRI

読者のみなさんの感想と、
燃え殻さんからのお返事。<その3>
2017-09-15-FRI

読者のみなさんの感想と、
燃え殻さんからのお返事。<その4>
2017-09-22-FRI

読者のみなさんの感想と、
燃え殻さんからのお返事。<その5>
2017-09-29-FRI

読者のみなさんの感想と、
燃え殻さんからのお返事。<その6>
ボクたちはみんな大人になれなかった
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燃え殻

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