燃え殻さんデビュー作ボクたちはみんな大人になれなかったの感想に、燃え殻さんがお返事します。 燃え殻さんデビュー作ボクたちはみんな大人になれなかったの感想に、燃え殻さんがお返事します。
燃読者のみなさんの感想と、燃え殻さんからのお返事。その2

定価で本を買うタイプではないのですが、
ツイッターで目に入り、ものすごく気になり購入しました。
40ページ程で、我ながら驚くほど泣き、
何故泣いているのか周囲に説明できず困惑しました。
読みやすい文章は興味のある懐かしいことばかり。
その日付け、その固有名詞に
いつしか記憶の糸のようなものがどんどん絡めとられて、
主人公と同化していった。
突然、たまらない思いに涙が溢れだす。
ああ、わたしもこうだった。
同じことをした。ガンダムを教えてくれた人がいた。
人類補完計画を語った相手がいた。去年死んでしまった。
その日々もその価値観もあまりにも古すぎて
あまりにもわたしの一部になってしまって、
もうなんとも思わなくなっていた。
それなのに、今、心の底で爆発するみたいに
わたしを泣かせ続けている。
この小説は、わたしに起こしたような
深い部分での共鳴を多くの人に引き起こす、
そんな不思議な小説だ。
すごくいい俳句を読んだときに起こる、言葉からの共鳴が、
その何倍もの大きさで襲いかかってくるみたいだった。
淡々と描写されるビューティフルドリーマーのあらすじが、
何故こんなに染みるのだろう。

(あや)

口癖のようにボクは
「昨日と同じ今日」なんて言ってる時期がありました。
昨日と同じはずの今日、もう二度と会えない人がいる。
そんな当たり前のことに過去形でボクは気づきました。
「昨日と同じ今日」なんて
ファンタジーじゃないかと思う今日この頃。
あの頃と何も変わってないなんて思って
鏡を見たらガッチリ老けてる自分がいて、
ちょっと笑いながら
「ですよねー」なんて言いそうになります。
すげーありふれた言葉を言います。
「今日を大切に生きましょう」(自分に言ってます)

(燃え殻)

青春は何歳になってもあり続ける、と思ってたけど、
それでも、もう戻らない、取り戻せない青春というのも、
やはりあるんだよなと、思い出されました。

置き去りにして、そのことすら忘れてしまったまま、
大人になっていると思い込んで、
だけどふとした時に、まるで古い傷のように疼いたり。

ぼくもまだ、大人になれていなかったみたいです。

(ひろし)

きっと一所懸命生きていたら傷のひとつやふたつ出来ますよ。
自分でもあまり見ないようにして生きていかないとツラいから、
いつもはフタをしていますが、
たまに誰だって疼くんだと思います。
たまに疼くことがひとつやふたつないと
生きていてそれはそれでつまらないじゃないかと
最近は自分をなだめられるようになってきました。

(燃え殻)

ひとつひとつのシーンが素晴らしかったので、
手にしたその日に2度、繰り返して読んだ。
自分は現在32歳なので、ちょっと世代のギャップはありつつも。
少し前まで六本木で仕事をしていたため、
そのときの空気や匂いを思い出しながら読んだ。

主人公の「ボク」に主体性をさほど感じず、
流される侭に見えた彼の中に、
譲れない責任感とテロップだけを抱えて
冬の街をバイクで駆け抜ける姿に、
新卒で仕事をしていたときの気持ちがフラッシュバックした。
正直、気持ち悪くなってしまうほどに。

なんとなく「俺ってダメな奴だなぁ」と
思いながら暮らす毎日に、
雪崩の様なノスタルジアで
自意識すべてを浚っていく様な作品だった。
読んで良かった、と思った。

僕にとって一番のシーンは、
『やつらの足音のバラード』だ。
スーのはなった台詞一挙一動足に、
想いを詰め込んだ意味が含まれていたのだと分かって、
鳥肌が立った。

その想いの、どの想いにも、
答えなかったーー答えられなかった主人公は、
実はその時だけ、大人になってしまっていたのかもしれない。
「ボク」にとって、大人になるということは、
自由になること、だったんだろうか。

(toru0218)

スーの場面は都合がいい展開にあえてしました。
したかったんです。
あの場面は誰かの感想で「都合良過ぎ」と酷評されたけど、
人生に小説よりも映画よりも都合が良い場面って
訪れたりするじゃないですか。
そんな場面にしたかったんです。

(燃え殻)

数年前に離婚し、随分立ち直ってきていたものの
次に踏み出せずにいた私でしたが、
この小説の燃え殻さんの描く文章によって
寄り添ってもらえたような感覚が生まれ
過去のいろいろな情景を思い出し
じんわりと消化されました。
そして次に進んでみたくなりました。

好意を寄せてくれていた女性の思いに
応えてみようと思い付き合い始めました。

友人にも読んでみろと進めています。
本当にありがとうございます。

(黄色シーサー)

黄色シーサーさんの背中を
ほんのちょっとでも押せる文章になり得たのであれば、
これほど嬉しいことはありません。

(燃え殻)

個人的にとても素敵な世界観で、
周りの環境と人間が互いに移り変わって行くのが
とても印象深かったです!
登場人物にやりすぎた情熱が無いところも
自分と重なるところがあり、物語に入り易かったです!
この本は、自分の中の
「愛する人が出来たら」の代名詞になりました。
最後に残る儚さも感慨深かったです!
拙い文章で申し訳ありません。

(switch)

読んで頂いてありがとうございます。
躍動してる人間たちの特別な一日とかじゃない、
平熱な、いや低血圧ぐらいの
ボクらのありふれた日常は、
別に捨てたもんじゃない! なんてことを
小さく叫んでみたかったのかもしれません。

(燃え殻)

大学1回生から社会人1年目まで
付き合った初恋の人を思い出しました。
あんなに濃密な時間を過ごしたのはこれっきりでした。
時間がたくさんあって
世界に2人しかいないような甘い閉塞感に夢中でした。
親以外に自分をさらけ出す幸せを知ったのもそのときでした。
そんな関係にこわくなって別れて、
世界が狭まらないパートナーを今も探しています。
そろそろ見つかってくれ~。

(ないものねだり)

きっと見つかるよ!
なんて明るいことが言えない自分を許してください。
でも、その人との甘い閉塞感を
どこかで忘れずに想いながら生きてると、
そんな関係性の誰かが現れるというより、
いいね! なんて言って
付き合ってくれたりするかもしれません。
確かではないが、希望です。
自分にとってもあなたにとっても。

(燃え殻)

私は燃え殻さんより10歳ほど年上です。
90年代は子育て中心で、
上げ下げの多かったあの時代を横目で見ながら、
オザケンとか渋谷系とか洒落くせぇ、
なんて思ってました。

六本木も嘘っぽく元気でしたね。
このお話には私が精一杯肩肘張って生きていた
あの時と何ら変わらない時間が流れていました。
私は大人になれているのかな。
ずっと考えてきたことの
答えのヒントをもらったような気がします。

(カブ)

この小説があなたの人生の
〝問い〟になれたのなら嬉しいです。
答えなんてずっとずっと先でいいし、
それを考えながら生きる今日ということが
尊いと思うんですよ、個人的には。

(燃え殻)

先月、ツイッターのTLが
この本の話題で溢れかえっていました。
どうして、こんなに話題なのか、そして絶賛されているのか、
タイトルからは分かりませんでした。
話題になっている本は、買って読んできたので、
今回も本屋さんへすぐ向かいました。
が、5軒ほど探しても本は見つからず、
発行数は少ないのかな? と、思っていました。
人気すぎて、どのお店も品切れ状態だったと知ったのは、
本屋さんで予約した時でした。
発売日から1週間待ってやっと、
手に入れ読むことができました。

スラスラ読める、あっという間に読める、と聞いていたのに、
私は読むのに時間がかかりました。
というのは、この本は油断ができない本だったからです。
さらっと、見落としてはいけない、
流してはいけない時間が書かれているような気がして、
同じ場面を往復する事が、度々ありました。
この本は、ハッピーエンドの話なのか、
バッドエンドの話なのか、
登場人物達は幸せなのか、そうじゃないのか、
そもそもそんな事を考える事自体必要ない事なのか分からない、
分からないけど、何かずっと堪えているような感覚になる、
溢れる何かをグッと抑えているような気持ちになるのは、
何故なんだろうと思いながら読んでいました。

私は現在、もう後少しで終わりを迎える20代を生きています。
主人公の彼とは、10ほど離れた年齢で性別も違うし、
共有できる時代の流行も少しずれています。
なのにどうしてか、通じるものを感じるのは、
東京という街を知っているからかもしれません。
本に出てくる街は、ずっと人肌の体温を感じます。
読み終わった後の、生温さはきっと、
登場人物達と東京の温度なんだと思います。
そして、それが心地よいのは、
それぞれが切なく優しいからなのだと思います。
優しい体温を、ありがとうございました。
本、面白かったです。読み終わった人は、
きっとこの本を抱きしめて体温を共有したと思います。

(なこ)

発売される前、正直この本を誰が買うんだろう?
数少ない友人と自分とあと誰だろう?
なんて心配で、発売当日は
数軒の本屋をはしごして数冊自分で買いました。
(言わなくていい)
こういう感想を頂くと、
自分のあたまの中にだけあった物語が、
誰かの物語になっていくんだなぁと、
当たり前のことなんですが
小説を発売した実感がわいてきます。

(燃え殻)

帯に感想を寄せているのが男性ばかりだったのが
すこし気になっていたのですが、
読んでみて理由がわかった気がしました。
この主人公はこんなにも彼女を好きだということを、
会えていた間にきっと伝えていない。
三白眼すら好きでいてくれたなんて、彼女は知らない。
いつのまにか会わなくなったことになっていますが、
彼女はきっとそうは思っていないと思う。
時代背景はまさに世代なのでなつかしかった。
60歳くらいになったらまた読みたいと思いました。

(さっちんこ)

「人生は、いつもちょっとだけ間に合わない」
という言葉が好きです。

(燃え殻)

バブルの匂いが残るあの頃の空気感が蘇り、
叙情ってこういうことをいうんだってしみじみ感じました。
中でも『ギリギリの国でつかまえて』が強く心に残っています。
別れは突然で、気づいたら消えていて、
さよならを言える別れのほうが希なんだと‥‥。

切なく優しく流れる音楽のような小説でした。
溢れんばかりの叙情をありがとうございます。
お忙しいと思いますが、どうぞお身体御自愛下さい。

(はやぶさ)

ギリギリの国に自分が属してる時にだけ
見える人間たちっている気がしています。
あの人たちは今、何してるんだろう?
あの頃に1mmも戻りたくないけれど、
あの頃のことをよく話す自分がいます。
自分の中にたしかに生きていたんだという
実感があるかもしれません。

(燃え殻)

追いかけるようにページをめくって
一気に読んでしまいました。
懐かしさや共感もあるけど、いちばん言えるのは、
今この瞬間も大切に生きようと思える本だということ。
世代や生きた場所が違っても、
どこかで誰もが同じような事を感じて、今を生きている。
明日もまた、振り返った時に
かけがえのない1日だったと思い出せるような
1日にしたくなる本だと思いました。

(硯)

きっといつか今日も懐かしくなる。
きっといつか今日も懐かしくなる。
って呪文のように唱えてないと、
未来にばかり目がいったり、過去にばかり執着してしまう。
そんな風にいつも思っています。

(燃え殻)

2017-09-01-FRI

(つづきます)