紅色の染料や食用油をとるために栽培されるベニバナは、 古代エジプト時代から染料として利用されていたようです。 日本でも、『万葉集』にすでに 「末摘花」としてその名が見られます。 この頃に橙色の花をつけはじめ、 日が経つにつれ花の色は濃い紅に変わります。 一面のベニバナ畑は夏の風物詩ともいえるでしょう。
── うわぁ、これはなんだか。
あすま女 字がすごいですよ。
── 「腐草為蛍」。
あすま女 まさに湿気の世界。
ジメジメ‥‥。
── 「蒸れて腐りかけた草の下で、
 蛍が光を放ち始めます」と。
もうこの頃に蛍が出るんですね。
そういえば、先日三重県の伊賀に行きましたが
「蛍が1匹だけ出ていた」と
話題になっていました。
東京だとどこでしょうねえ。
山縣有朋の邸宅だった‥‥。


あすま女 目白の椿山荘!
── いま調べましたら、5月17日に、
ことしの蛍の初飛翔を確認したと
記事になっていました!
あすま女 夏の印象がありますけれど、
意外と早いものですね。
京おとこ ぼくが行ったことがあるのは
横浜の三渓園です。
きれいでしたよ。
あすま女 いいでしょうねえ。
しかし、放しちゃった蛍は
逃げますよね?
京おとこ その時期はそこに
いるんじゃないですか。
渓谷みたいになってますからね。
── でもあんまり街には
飛んで来てないですね。
見たことないですよね。
京おとこ もし街に飛んで来ても、
光らないんじゃないですかね。
真っ暗じゃないと。
── ああ、都会は。
あすま女 なるほど~。
── 東南アジアの田舎に行くと
年がら年中飛んでいるという情報も。
あすま女 テレビで木を見たことがあります。
蛍の木。
京おとこ 明滅するのがシンクロするんですよね。
あすま女 そうそうそう。
── ピカピカっていうのが
どんどん一致していって。
美しいでしょうね。
あすま女 巨大なクリスマスツリーのような。
── 弊社の茂木が、ボルネオ島の川下りを
夜、体験したときに、
蛍がとまる木を見たそうです。
彼女の情報によれば、インドネシアのバリ島で
外国人の女の子を現地の男の子が
デートに誘うときの口説き文句は
「クナンクナン(蛍)を見に行かないかい?」
だそうです。
あすま女 雅なイメージがナンパの道具に!
京おとこ でも、効くと思いますよ、絶対。
「LED見に行こうか」って言われてもね。
── よく言えば、山田詠美の世界ですよね。
バリ島豆知識でした。
国内で「蛍を見に行く」となると、
滋賀県米原市の天野川流域の源氏蛍、
これは国の特別天然記念物だそうです。
宮城県登米市の鱒渕川の源氏蛍も
国の天然記念物。
都市部では京都の哲学の道、
東京世田谷の岡本公園民家園などが
たのしめます、と書かれています。
あすま女 いのち、短いんですよね。
── 寿命は1年で、
ほとんど水中にいるんですが、
成虫になって美しい光を放つのは
わずか1週間だそうです。
あすま女 じゃ、その間に相手を見つけなきゃ
いけないんだ。
── 蝉と一緒ですねえ。
蝉より短いか、1年だったらね。
さて、季節の魚は「伊佐木」。


あすま女

あんまり聞かない‥‥っていうか
普段「伊佐木食べる」とか、ないですよね?
せいぜい飲み屋かなあ。

── 伊佐木の唐揚げ、とかいいますけどね。
鮎にも似たきれいな形ですね。
尻尾が赤いですね。
京おとこ なかなかこうやって
漢字で見ることも珍しいですよね。
── 『伊勢佐木町ブルース』を‥‥。
京おとこ そうなんですよ(笑)。
漢字で見るとどうしても
伊勢佐木町を思いだします。
── ♪ドゥドゥビ ドゥビドゥビ
 ドゥビドゥヴァー♪
あすま女 「鶏魚」とも書くらしいですよ。
── 「体は長い紡錘形で口は小さく、
 背部は蒼褐色。
 腹部には淡黄色を帯びる。
 海藻の多い近海の岩間にすみ、
 体長は30センチくらい。
 初夏が殊に美味」と。
あすま女 焼き魚、唐揚げ、煮付け。
── 魚屋さんというか、
我々はスーパーにしか行きませんが
あまり見ない魚ですね。
「主に一本釣り」、
ということはけっこう大変ですね。
あすま女 貴重な魚なのかな。
── 今やね。
京おとこ 高いということですね。
あすま女 ねえ。
── 成魚は45cmだって。
あすま女 でか!
── 一方「縞鯵」も旬でございます。
こちらはもうポピュラー。
あすま女 これはもう寿司屋でよく見ますよ。
── 黄金色の縦縞があるので縞鰺と。
あすま女 鰺にしてはでかいですよね!
── 成魚は最大で‥‥。
京おとこ 1m!
── え、でも鰺?
京おとこ 鰺の仲間のうち、とは書いてますね。
── 鰺なんだ!
あすま女 こんなでかい鰺いるんだ(笑)。
── 鰺といいながら、鰺じゃないのかと
思ったら鰺でした。
アジ科、アジ亜科、シマアジ属。
あすま女 シマアジ属! でか!
── しかも高級魚ですよ。
青魚というより、
白身魚の印象ですね。
あすま女 そうですね。
脂もすごくぷるんぷるんと。
── 「水深200m付近までの
 浅い海に生息する」。
浅い海に住みつつ、でかいのか!
あすま女 食べでがありますね(笑)。
── 開きにとかはしないでしょうね、
やっぱり。
あすま女 しないでしょうね。
京おとこ 生姜で食べるイメージがありますよね。
あすま女 わたしは寿司ですね。
にぎりで。
京おとこ 今ふと思ったんですけど
刺身で山葵で食べるのと
生姜で食べるのの違いって
何か規則があるんですかね。
烏賊とか鰹は生姜ですよね。
鰺も生姜で食べますよね。
あすま女 薬味ねえ。
── なまぐさ系が生姜。
鯛は山葵ですし。
京おとこ 山葵ですよね。
── 間八も山葵ですね。
あすま女 しめ鯖とか、しめたものはどうですか。
京おとこ しめ鯖は山葵ですね。
── 脂が多い?
あ、でも鮪は山葵ですね。
生姜と山葵の使い分けがわかりません。
鰹だと大蒜でという人も。
あすま女 大蒜か生姜っていうのがありますね。
── 鰹は虫がいるから殺菌ですよね。
京おとこ ああ、そっかそっか。
── 虫がいるっていわれるものは
生姜ですかね。
烏賊もそうですよね。
あすま女 でも山葵も殺菌効果ありますよね。
── あります、ね(笑)。
京おとこ 前の候を
ひっぱるわけじゃないですけど、
茗荷を薬味にして刺身を食べても
おいしいんじゃないですか。
あすま女 絶対おいしいと思います。
── シャクシャク感があるので
サラダっぽい感じに。
京おとこ 魚の肉を純粋に味わうには
ちょっと邪魔する感じなんですかね。
あすま女 なるほどねえ。
── 最近、刺身を食うのに
ちょっといたずらをしまして。
「燻製しょうゆ」と
「燻製オリーブオイル」
っていうのをもらったんですよ。
それをかけたらですね、
うまいのなんの。
なんにでも合う。
あすま女 ブレンドするんですか?
── 両方かけちゃうんです。
京おとこ 調味料って、一旦ハマると
しばらくブームが続きますよね。
飽きるまで。
あすま女 白身ですか、やっぱり。
── もう全部やっちゃいます。
鮪でも合いました。
あすま女 んん~ん!
おいしそう。
── 調べてみました。
山葵と生姜の使い分けは、
「ベターホームのお料理教室」
というところにございましたが、
山葵は辛さに持続性がなく、
タイやヒラメなど淡泊な味の魚に向いていると。
一方生姜は刺激もありますが、
生臭みの成分と結びついて、
臭い自体を消そうとする働きがあるとのことです。
だからくせの強い魚に添えられる。
臭い自体を消す働きが
あるかないかということですね。
生姜はアロマがありますからね。
あすま女 勉強になりました!
── ということで季節のくだものは「枇杷」です。
枇杷はいいですねえ~。


あすま女 しかも枇杷って短い期間しか
ないんですよね。
すぐ茶色くなって傷むし。
── ほんとに旬の時にしか食べられないから
貴重さがありますね。
あすま女 千葉に行くと
「枇杷羊羹」とか
枇杷のお菓子が名産ですよね。
京おとこ 千葉ってそんな枇杷が盛んなんですか。
あすま女 房総半島で。
── そして、お庭のあるうちでは
実がなってますよね。
あすま女 はい。街路樹もありますね。
── たわわに実ってますね。
京おとこ 漢方のイメージもありますよね。
── 枇杷の葉。お茶にしたり、
煎じ薬は湿布になったり。
あすま女 不思議に品種にバリエーションを見ないですよね。
枇杷のいろんな色があったり
いろんな大きさがあったりしない。
── そうですね、交配種とか見ないですよね。
あすま女 そうそう。
もっと肉厚になってくれると
いいなといつも思うんですけど。
── そうそう!
桃くらい大きくなってくれても
食べるのに。
あすま女 ねえ! 種大きいんだもん。
京おとこ 原産ってどこなんですかねえ。
アジアですか。
── 中国南西部だそうです。
中国からインド、ハワイ、
日本からはイスラエル、
ブラジルに広がったそうですよ。
「トルコ、レバノン、ギリシャ、
 イタリア南部、
 スペイン、フランス南部、
 アフリカ北部でも栽培されている」と。
あすま女 え、あるんですか、そんな!
── けっこうワールドワイドですね。
この淡泊な味が受け入れられるのかな?
でも果実酒にしたり、ジャムにしたり
コンポートにしたりもできますからね。
ということで、今回もありがとうございました。
次回は「梅子黄(うめの み きばむ)」。
6月15日にお会いしましょう。
2013-06-10-MON
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