── さあ、秋分ですよ。
ここから昼と夜の長さが逆転、
だんだん夜が長くなりますね。
そして七十二候は「雷及収声」。
秋は「収声」ですよね。
雷が鳴らなくなる。
春には
「雷乃発声(かみなり すなわち
 こえを はっす)」っていうのがあるんです。


── でんでん太鼓も
出番がなくなりますね。
最近この季節を
大型連休化させようとしてますよね。
── してますね。
「シルバーウィーク」。
ちょうど茸(きのこ)が出てくるシーズン。
── いいですね、茸。
「舞茸」というのは、
「見つけた人が舞い上がって喜んだ」から
舞茸って言うんですってね。
そして「花梨」。
‥‥って、なじみ、ありますか?


花梨?
長野の親戚がよく薄切りにして、
砂糖漬けにして送ってくれました。
のどにいいから、って。
あっちはすごく採れるんだと思います。
── のど飴に使われるようになって知りました。
そうですよね。
だいたい硬くって食べられないんです。
そのまんまじゃ。
最近、女の子の名前とかで
キラキラネームで「花梨」ちゃん、
いそうですよね。
かりんちゃん。
「てぃあら」とか
あるぐらいですからね。
── Faebookで「きららすたー」って名前を見ました。
え、それ本名ですか。
キラキラ星ってことかしら。
昨日びっくりしたのが、
会社の後輩で、実はぼく、
本名違いまして、と言うんです。
水晶って書いて「きらら」って
読むんです、って。
年も40ちょっとですよ。
── キラキラネームとしては早いですね。
そう、その導入はすごいって言って
びっくりしたんです。
お父さんが地学者とか
そういう人じゃなくて?
おばあちゃんが
占い師だったらしいんですよ。
一同 ああー。
── で、違う名前で仕事してるんですか。
ええ、今はぜんぜん違う。
── じゃあ、役所とか銀行では
「きらら」だ。ふうむ。
すいません、花梨の話から
ぜんぜん違うところに行ってますけど。
── もうちょっと戻していいですか。
舞茸の話、しましょうよ。
「きりたんぽ」に入ってますよね。
── 確かに入ってる。
「欠かせない」とまで書いてます。
── きりたんぽって、あんなにおいしいとは
ついぞ知らず、
大人になってしまいました。
ちょっと前までは、地方の名物料理は
その地方に行かないと食べられなかった。
ぼくも、会社に入ってからです。
わたしは中学の時に食べましたよ。
── はやっ。
修学旅行が東北だったんです。
── あ、そうでしたか。
秋田って
たくさんおいしいものがありますよね。
稲庭うどんとか。
そうらしいですね。
ぼく、47都道府県で
唯一行ってないのが
秋田なんですよ!
── へえー。
ていうか、秋田しか行ってないところがない、って
すごいですね。
きりたんぽって、
中に入れるのと、
焼いたのとどっちが好きですか。
── あの半殺しにしたお米のアレですか。
はい。鍋に入れるのと
竹にくっつけて味噌つけて
五平餅みたいに食べるのと。
── 焼いたのを鍋に入れるのが
いちばんうまいと思いました。
そうですよね。
修学旅行の時に
焼いてその場で
食べさせてくれて
それが味噌つけて田楽風だったので、
最初はそっちが
ほんとかなと思ってたんです。
── たぶん、鍋にするのがスタンダードですよね。
きりたんぽ鍋って、いい鶏が入るでしょ。

「比内鶏」(*)。

 *京おとこさん、比内鶏と言っていますが、
  比内鶏は縄文時代以前からいたという日本固有種の鶏で
  いまは天然記念物に指定され、
  食材として流通していません。
  きりたんぽ鍋に入れる秋田名産の鶏は「比内地鶏」です。
  読者の武田さんからご指摘いただきました。
  ありがとうございました。(以上2012年10月3日追記)


── その出汁がよくって、
しかも舞茸入るでしょう。
それから「ハタハタ」が
入ることがありますよね。
うまいものがいっぱい入ってる。
秋田、やーるなあ!
── ぜひ行ってください。
そういえば「和漢三才図会」には
舞茸の絵がないんですよ。
だから江戸時代に
舞茸の存在はどうだったのか。
── 「飲食事典」で調べてみましょう。
お待ちください。
ぼく、舞茸って食ったの
最近のような気がするなあ。
子どもの頃、なかったですよね!
── ないないない!
たぶん、人工的に
栽培ができるようになったのが近年、
とかそういういことじゃないでしょうか。
舞茸のCMを見た覚えがあるなあ。
「雪国まいたけ」。
出始めの頃ですね。
── 「飲食事典」には
伝承みたいに書いてあります。
「幻の茸」であると。
そういえば北海道の阿寒湖でも
なかなか採れない、と
きのこの専門家がおっしゃってました。
天然物はそうなんですね。
── 木曽路ではこれを見つけた
炭焼きの男などが
どぶろくの肴にして
良い気持ちに踊り出すから、
との名称と書かれています。
それぐらい珍しいってことですね。
── 人工栽培できるようになって
よかったですよね。
ちなみにこのあたりは
雨の多いシーズンですね。
秋の長雨のことを
「秋霖(しゅうりん)」といいまして、
しとしと雨という意味があります。
そして、台風もやってきます。
── 毎年ずいぶん被害が出ます。
昨年九州に行き、
九州の人たちの台風にたいする備えっていうのが
関東の人とぜんぜん違うことを知りました。
やっぱりすごいんですって。
発生してすぐ来るから。
ああ、ああ。
── 屋根が飛んだ経験をしてる人が
けっこういるんですよ。
きっとそこは京都と東京では
わからない部分かもしれませんね。
本州ですと、
和歌山とかあのへんもね、けっこう。
四国も。
足摺岬とかね。
── 静岡あたりだと御前崎も。
京都や東京は台風が
うまい具合に外れるのは
たいしたもんですね。
やっぱりそれ考えて‥‥作ったのかも。
都を。
そうでしょうね。
今年は被害が少ないことを祈りましょう。
── ありがとうございました。
次回は
「蟄虫培戸(むし かくれて とを ふさぐ)」。
9月28日にお会いしましょう。
2012-09-22-SAT



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