川相昌弘×赤坂英一×糸井重里  川相二軍監督激動史  バント、乱闘、「10.8」、移籍、などなど。 こういうやつが、いたんだよ。
糸井重里と古くから交流のある 元野球記者のフリーライターさんで、 「こういうやつが、いたんだよ。」にも 登場してくださった赤坂英一さんが、 「川相に会いませんか?」と 提案してくださいました。 そう、元巨人でバントの世界記録を持ち、 その後、中日へ移籍した、川相昌弘さんです。 そりゃあ、ぜひ、というわけで、 中日の二軍監督をお辞めになり、 一時的に無所属の状態になっていた川相さんに 糸井重里がファン目線の質問をぶつけます。 なにせ、ほら、糸井はプロ野球ファンとしては そうとうスペシャリストですから。 川相さんの野球人としての歴史を軸に、 プロ野球ファンにはたまらない鼎談となりました。 ときどきスポーツ新聞の紙面も登場します。 おかしなイラストも入ります。 あえて、登場する選手の敬称は略。
川相昌弘さんプロフィール
赤坂英一さんプロフィール
第1回 無所属。
糸井 いま、川相さんは、
中日の2軍監督を辞めた直後で、
要するに、無所属、ということですよね。
川相 そうです。
糸井 そんなあやうい時期に赤坂さんが、
「川相に会いませんか!」ということで
じつに貴重な場をセッティングしてくださって。
赤坂 はははは。
糸井 ま、発言なんかにも、いろいろと
気を遣う時期だろうとも思いますが。
川相 いや、ぜんぜんかまわないです。
糸井 そうですか。
いや、ぼくらのほうが気を遣うかな(笑)。
なにしろ、こんな時期なんで。
川相 でもまあ、逆にこのほうが
いいんじゃないですか。
どこかに所属していると
しゃべれないこともありますから。
糸井 ああ、なるほどねえ。
赤坂 いまは完全に無所属ですもんね。
糸井 すごいですよね!
その立場になったことないでしょう?
川相 そうですね、こんな暇な時間を過ごしたのは
プロ野球入ってはじめてかもわからないですね。
糸井 や、そうですよね、きっと。
赤坂 一回もないですよね。
川相 はい。
糸井 さらに言えば、もっと、
プロに入る前からもないんじゃない?
川相 あー、ないですね。
高校時代からほとんどこんな、
ゆっくりと過ごすようなことは‥‥。
糸井 ようするに
「わたしは今日、することがある」という
人生を送ってきたわけですよね。
川相 はい。
糸井 いまは、なんでもいいんですよね。
川相 そうですね。
だから家の片づけをしてます。
毎日、忙しくて(笑)。
赤坂 単身赴任だったから。
糸井 あ、そうか、そうか(笑)。
川相 そうなんです。
名古屋の家と、戻ってくる川崎の家を
片づけなくちゃいけないんで。
偶然にも、高校大学と寮に入っていた長男が
同じタイミングで帰ってくるんですよ。
なので、まあ、家がたいへんです。
糸井 そうですか。
いや、じゃあ、まぁ、
訊きづらいことから先に片づけておきますけど、
中日の二軍監督を1年でお辞めになりました。
川相 はい。
糸井 あの、ご勇退なさったわけじゃないんですよね。
川相 いや、違いますね。
糸井 違いますよね。
やる気はあったんですよね。
川相 や、もちろんありました。
まあ、あの、かんたんにいえば、クビですね。
糸井 そういうこともあり得ることだと
想像してたんですか。
川相 いや、今年とは思ってなかったですけど。
糸井 ああ、そうですか。
そもそも二軍の監督をやることになったのは、
川相さんの希望ではなく、
球団からの要請を受けてのことなんですよね。
川相 そうですね。
糸井 自分が二軍監督になるっていうのは
想像してました?
川相 いや、想像してなかったんですが、
記者のみなさんのあいだで
けっこうウワサが出ていて。
糸井 (赤坂さんを見ながら)
こういう人とかが。
赤坂 (笑)
川相 赤坂さんからは
言われなかったですけど(笑)、
まぁ、ちょこちょこそういう話を
もってくる記者がいて。
「じつは球団のほうで
 二軍監督っていう話が出てるんですけど、
 聞かれてますか?」っていうふうに。
糸井 ああ、ほんとにそうやって
はっきりウワサが出回るもんなんですね。
じゃ、正式な通達よりも先に、そっちで。
川相 ええ。
それは、今回のクビの件もいっしょです。
今回も新聞記者からぼくは聞いたので。
糸井 なるほど、なるほど。
川相 球団へ行く前日だったんですけど、
新聞記者から電話がかかってきて、
「球団の取材で、そういう話が
 出てるんですけど、ご存じですか?」って。
いや、ぼくは直接聞いてません、と。
そう答えながらも、まぁ、
おそらくそうなんだろうな、と(笑)。
糸井 いまだから笑っておっしゃってますけど
ほんとうは、けっこう、
穏やかじゃいられないことですよね。
川相 いやあー、もちろんそうですよね。
糸井 その、ぼくは、自分で、
「どこのチームの贔屓でもありません」
とは、言いにくい身なんですが‥‥。
赤坂 ははははは。
糸井 ですから、
川相さんが前にいたチームを
去ったときのことを、
つまり巨人から出て行ったときのことを
よく覚えてるんですが、あのときも、
そんなようなことじゃなかったですか?
川相 うーーーーん。
糸井 まず、選手としては引退してくれと
球団から言われ‥‥。
川相 そうですね。
その後は、まぁ、あの、自ら、
最終的には、ぼくが自ら、
飛び出した形ですから‥‥。
糸井 順番的には、どうだったんです?
川相 そうですね。
まず、あのときは──。


(続きます)
2010-12-01-WED
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第1回 無所属。   2010-12-01-WED
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