第2回 コギーの寂しさ
シェフ
10分というショートアニメーションに
こころを揺さぶられて、
白熱した感激団になっているわけですが、
‥‥‥‥まだ鼻をすすってますね。
(笑)
シェフ
そんな中で、わりとこう、
しゃくぜんとしない感じでいらっしゃるのが
小木曽さんでして。
コギー
なんだか、申し訳ないです(笑)。
シェフ
いやいや、そんなことはぜんぜんないです。
ちがう視点でのお話は、ね?
山下
はい。
それを話していただくのは感激団にとって
有意義なことだと思うので。
スギエ
いままでにない。
ゆーないと
うん、ないない、新鮮。
コギー
そうですか‥‥。
あの、繰り返しますけど、
このアニメーションを観て僕は、
「じゃあ、どうするの?」って思ったわけ。
昔の思い出も大切なのはわかります。
でも私ならば、
昔の思い出だけで生きるなんていうことは、
とうていあり得ないと思うんですよ。
それはね‥‥寂しい。
スギエ
寂しい。
スガノ
うん。わたしも、どっちかっていうと、
じつは寂しくみえる派なんですよ、心の中は。
シェフ
そうなんだ。
スガノ
谷川俊太郎さんの詩で、
「おじいちゃん、昔のことじゃなくて、
 今のことを教えて」
っていうのがあるんですけど。
だからほんとうに、
いまを楽しんでいてもらいたい
っていう願望がすごい強い分、
このおじいさんが寂しい人だと
思わないよう思わないよう、
自分で埋め合わせているんだと思う。
ゆーないと
楽しんでいてほしいっていう、
願望は強いよね。
スガノ
もし自分の親がそうだったら、
すごい悲しいって思うんですよね。
だから楽しんでほしいんだけど‥‥
だけど本音の部分では、
寂しいんだろうなぁっていうのは‥‥。
山下
感じてしまう。
コギー
寂しい話ですよ。
シェフ
そうですね、寂しさはありますよね。
でもぼくはやっぱり、
この物語は自分の力になりました。
希望をもらいましたね。
この物語のおじいさんがやってることは、
なんだろう、
思い出に生かされている感じ?
スガノ
うん、たしかにそうだね。
積み重ねの上のほうに行くのに、
過去がちゃんと生きているみたいな。
ゆーないと
うんうん。
シェフ
ちゃんと生きてきたことが、
いまの彼をあたたかくしているような。
スガノ
うん、きちんとしたりね。
シェフ
すさんだ生活をしてないんですよね。
山下
きちんとしてるんです。
シェフ
お洗濯をして。
山下
自分の分のご飯をつくる。
シェフ
動いてる心臓を確かめながら生きてますよね。
「今日も生きてきた」っていうような
暮らしをしていると思う。
コギー
‥‥過去だけを見ながらね。
スガノ
小木曽さ〜ん(笑)。
コギー
あのね、みなさんはお若いじゃないですか。
その状況、当事者になってみるとね、
ちょっと感じ方がちがうの。
シェフ
ああ〜。
山下
小木曽さん、おいくつでしたっけ?
コギー
先だって、62になりました。
スガノ
うーん、でも、ほら、さっきも言ったけど、
このおじいさんラストで笑ってたじゃない?
コギー
いや、そりゃ僕だって、
たまにはおいしいもの食べりゃ、笑うよ?
だけどひとりは‥‥寂しいですよ。
シェフ
でも物売りは来てましたよ。
スガノ
ほらこれ、絵本に、ね?
「チェスをしに来る」って書いてある、
友だちが。
コギー
ああ、物売りとチェスだけなのね。
(笑)
スガノ
いや、子どもとか孫も
来ますよ、来ます。来てる! これは。
ゆーないと
来る来る。ときどき来るよ!
スギエ
みんなでなぐさめてる(笑)。
コギー
寂しい話ですよ。
スガノ
もお〜、コォ〜ギィ〜(笑)。
シェフ
ちなみに、絵本によると、
おばあさんが亡くなったのは3年前ですね。
ゆーないと
ほお。
シェフ
おじいさんは朝起きると、
釣りをしておかずを獲ります。
家の近くの行商人の舟から
果物屋さんや八百屋さんやお花屋さんが来る。
スガノ
ね? ほら、毎日にぎやか!
シェフ
で、遠くに住んでいる
子どもたちからの手紙を読んだり‥‥
って、あれ?
山下
手紙かー。
ゆーないと
ええー?
シェフ
でも「毎日楽しく暮らしてる」と書いてます。
スガノ
楽しく暮らしてるの! そこが大切よ!
コギー
でもね、これはね‥‥
一同
あ〜(笑)。
スガノ
ほんともう、コォ〜ギィ〜〜(笑)。
コギー
この話はやっぱり、僕には寂しいわけ。
山下
小木曽さん、お子さんがご結婚なされたのは?
コギー
え? ああ、半年ほど前でしたかね。
山下
やっぱりそういう節目っていうのは、
ちょっと寂しかったり‥‥
コギー
いや、子どものことに関して
寂しいと思うことは一切ないですね。
ええ?!
シェフ
あ、そうなんですか。
コギー
いいことばっかり、楽しいことばっかりだね。
シェフ
へぇ〜。
スガノ
じゃあ、小木曽さんにとって、
来るべき寂しいことって何なんですか?
コギー
やっぱりね、死の予感がね、する。
シェフ
‥‥なるほど。
コギー
そんなことは、40〜50の時は
まったく考えてなかったから。
シェフ
ぼくはでも、40代なんですが、
じつは最近、友だちの死がありまして‥‥。
けっこう人は急に死んじゃうんだ
と思うようになりましたよ。
死は緩慢に訪れるものと思っていたんだけど、
そうではなくて、
いつ死んでもおかしくないんだなって、
それは強く思うようになりました。
コギー
そうですか、そんなことが‥‥。
スガノ
わたしは喪失感っていうのがすごく怖い。
ペットがいなくなったり、
旦那さんが死んじゃったりみたいな。
‥‥そうかあ、小木曽さんの寂しいは、
そういう予感なんですね‥‥。
ゆーないと
死のことは、ちょっとわかんないですけど‥‥
でも、この物語でいうと、
けっこうやっぱり、おじいさんは淡々と、
退屈ではないし、不幸でもないまま、
わりとその、なんですかね、
「ゴールに向かってこなしていく」
っていうのは言い方が悪いですけど‥‥
なんか静かに過ごしてく感じがします。
スギエ
うん、わたしもそう、
淡々としたものだと思う。
たぶん、悲しい瞬間を忘れることも
あると思うんですよ。
ゆーないと
あるある、あるよ。
スギエ
食べなきゃいけないとか、
トイレ入ったり、お風呂入ったりとか。
基本は寂しいと思うんですけど。
‥‥わたしの場合、ちっちゃいときから、
よく周りのかたが亡くなったり、
それに参加しなくちゃいけなかったりで‥‥。
シェフ
スギちゃんは、お寺の娘なんだよね?
スギエ
そうです。だからそういうことをわたし、
すごく考えて生きてきたほうなんですね。
で、最近になって至った結論はこうです。
死というものは怖いけど
エネルギーはみんなどんどん薄れていくので、
いまの感情のまんまの気持ちじゃないんで
みんな大丈夫だということです、死ぬ時は。
(笑)
ゆーないと
ああ〜、すごい、それ。
コギー
でもね、意外とね、
そんなに僕は枯れないと思うよ?
シェフ
小木曽さんは
エネルギー量がすごいから(笑)。
コギー
いや、僕だけじゃなくてね、
人はみんなそうだと思うよ?
もっとこんなことしたいとか‥‥、
たとえば、年取っても恋愛したいとかさ、
そういう思いはね、なにかしら持ってる。
スガノ
うん。
みんな本音は、いろいろあるんだと思う。
コギー
この話のおじいさんみたいにさ、
家の中で魚釣りして、それで幸せって。
僕は、あれで満足だとは思いたくないの。
シェフ
そのころの自分は
もっとエネルギーがあるはずだ、と。
山下
釣りがお好きな小木曽さんだったら、
あそこでもう本格的な釣りにのりだして。
コギー
そう、家の中じゃなくてね、外でさ。
山下
外で、モーターボートでポイントを探して。
コギー
そうそうそうそう!
スガノ
コギーは、ほんとに枯れないかも(笑)。
シェフ
いやあ、おもしろい‥‥。
小木曽さんをまぜなかったら、
ぜったいこうはならなかった。
きっとひとつの傾向に
おさまる座談会になってましたよね。
スギエ
ほんとに。
言葉もないアニメーションなのに、
小木曽さんをこんなにまで熱中させる
っていうのは素晴らしいですよ。
(つづきます!)
2008-12-21-SUN


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今回の感激団メンバー
シェフ コギー ゆーないと
スガノ スギエ 山下
 
終盤の特別ゲスト
作者・加藤久仁生さん
カトウ    


感激団による
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