- 糸井
- そういえば清水さん、大昔にさ、ぼくが筋トレをやってるって話したじゃないですか。
- 清水
- 筋トレ、まだやってるの?
- 糸井
- やってない。
- 清水
- もうやめた?
- 糸井
- 会員のままずっとサボってる。
- 清水
- そうなんだ。
- 糸井
- 面白かったのは、筋トレを前のめりにやっていたときに、その話を清水さんにしてさぁ、「ほら、ほら」って胸の筋肉とかを突き出して見せたら、「誰も糸井さんに筋肉は望んでないよ」みたいに言ったのよあなた。

- 清水
- ははは。ひどいねぇ、でも言いそう(笑)。
- 糸井
- でもその一言が、なんて当たっているんだろうって!
- 清水
- 私もさぁ、内山信二くん「これ食べたら太るかな?」って聞いたことがあって。そしたら「清水さんが太って困る人、どこにいるんですか」って。
- 糸井
- (笑)
- 清水
- しまった…って。糸井さんに言ったのと同じ時期だったかもしれない。
- 糸井
- ぼくはね、感動したんですよ。あれを、どうしてみんな気づいてないんだって(笑)。
- 糸井
-
あ、別にいい話で終わらせるっていうテーマではないんだけど。清水さんが、いい気になっていないモードを保っていられるのは、「いい気になっちゃいけない!」と、思っているからなの?
- 清水
- いやいや、そんな立場に居ないからだよ(笑)。
- 糸井
- 役割としてさ、多少偉ぶってくれないと困るんですよねって場面に呼ばれることはあるじゃない。
- 清水
- あ、審査員とかね?
- 糸井
- それとか、新人さんが集まる場所とか。
- 清水
- うん、あるある。
- 糸井
- そのときは、役目として何かこう…、しますよね、当然。
- 清水
- そうですね。やっぱりちょっと偉そうな方が、その場合いいんですよね、おさまりが。
- 糸井
- おさまり、おさまり。
- 清水
- 糸井さんもやっぱりそういう場所は多い?
- 糸井
- うん。だってぼく、大体どこに行っても今、年上になってるしさ。
- 清水
- ああ、そうかそうか。
- 糸井
- まあ、とにかく、おだてれば機嫌がいいだろうって思われるような場所に行くことはあるよね。
- 清水
- あれ、ショックですよね。
- 糸井
- で、それを経験していくと、どんどんそういう人になっていっちゃうじゃないですか、けっこう大勢の方々が(笑)。
- 清水
- ああ、そうかもね、うん。
- 糸井
- 清水さんがなんでそうなってないのか。一つはやっぱり、失われるものが大き過ぎるからだよね。
- 清水
- そうだと思う。
- 糸井
-
なっちゃったら、これできない、あれできないが、あるよね。
- 清水
- うん。しかも、モノマネしてる人に「ちょっとつかみがね…」とか言われたら、腹立つと思うよ(笑)。
- 糸井
- でも若くても、誰でもいい気にはなれるじゃない? 守るものがあるから、やんなきゃいけないのかもしれないけど。
- 清水
- うんうん。
- 糸井
- そんな機会がきっと何回もあったろうに、いい気になってない人はちゃんとうまく逃げてる。
- 清水
- ああ、そうね。私も気づいてないだけで、なってたかもしれないけどね(笑)。
- 糸井
- でも、奪われるものの方が多いよっていうのは、ちょっとなんかね、気づくね。
- 清水
-
そうね、うん。あとやっぱりほら、客観的に見てナンボの商売だから、私たちは。
- 糸井
- ああ、そうかそうか。「こう見えてるよ」が仕事だからか。
- 清水
- そうそう。それもあると思う。
- 糸井
-
そうだ、そうだ。なるほどね。「こう見えてるよ」っていう表現って、実はプロデュースの原点なんだね。
- 清水
- あ、そうかもね、うん。
- 糸井
- まぁ、結局清水さんのサクセスストーリーを順番に語ってもらうような対談にはならなかったけれども(笑)。
- 清水
- やり直してよ、もう(笑)。
- 糸井
-
モノマネがプロデュースの原点です!
ほぉら、終わった。
- 清水
- やめてよ、ちょっと軽薄(笑)。
- 糸井
-
「やめてよ、ちょっと軽薄」までね。
- 清水
- (笑)
- 糸井
- いやぁ面白かった。
- 清水
- あっという間だね。
- 糸井
- こういう会話って、仕事じゃないと、やっぱりありえないんだよなぁ。
- 清水
- そうだね。
- 糸井
- 「こう見えてるよ」っていうプロデュースね。
- 清水
- うん。
- 糸井
- ああ、うらやましいなあ。いや、清水ミチコになってみたいよ。
- 清水
- 本当?初めて言われた(笑)。穴場だ。
- 糸井
- 穴場って(笑)。
< おしまい >
