もくじ
第1回インタビュアー・ミチコ。 2019-02-05-Tue
第2回「わたしはこう感じてますよ」 2019-02-05-Tue
第3回プロデュースの原点。 2019-02-05-Tue

よく食べ、よく寝て、よく生きていきたい、26歳です。

あらためて聞く、お互いのこと

あらためて聞く、お互いのこと

担当・なかこー

糸井重里と清水ミチコさん、
仲のいいふたりが
どこへ向かうともなく
話しはじめました。

いつもどおりのゆるいテンションは
そのままに、
普段はなかなか話す機会がないという
生い立ちのことまで
話は及びました。

全3回。
どうぞ、読んでみてください。

プロフィール
清水ミチコさんのプロフィール

第1回 インタビュアー・ミチコ。

清水
これ社長室なの?

糸井
うん。
でも、ほとんどミーティングルームだね。
ぼくの入ったミーティングはここで行うことが多い。
で、行く場所がないときはここにいれば。
清水
なんとか。
糸井
うん。でも、それを知っててみんな訪ねてくるとか。
清水
いいね、重厚感がなくて(笑)。
糸井
(笑)
清水
風通しよさそう。
糸井
今考えてるのは、ここに一つ棚を作って、
ぬいぐるみを置く棚。
何ていうの、こう、
来世に残したいようなぬいぐるみがあるんですよ。
清水
あれとか?
糸井
あれは「おれ、ゴリラ」の復刻版ですね。
チョコレートを買うと抽選でもらえるやつで。
清水
私、あれ持ってて、
めっちゃかわいがった。
大事にした。
糸井
ああ、あれを持ってたんですか。
清水
持ってたんですよ。
なんでかっていうと、
親が清水屋商店という商売をしてたので、
なんか特別なルートで。
糸井
そうでしょう。あれ持ってるのはエリートですよ。
清水
オッホッホッホッホ(笑)。
糸井
当時ね、ぼくは石坂浩二さんにもらったの。
清水
え、なんで?
糸井
石坂さんちに行ったら、あって。
清水
え、まだ学生ぐらいでしょ?
糸井
二十歳ちょっとぐらいだったんだけど、もう仕事してたんで。
清水
へぇー。
糸井
石坂さんが、結婚したばっかりぐらいだったんですよ。
清水
あ、結婚したばっかり。浅丘(ルリ子)さんとね。
糸井
うん。
で、ポルシェのオープンカーでさ、
「原宿のあの交差点とこで待ってろよ」とか言って、
「やあ!」ってパジャマの上にコート着て、
石坂浩二さんが。
清水
へぇー。
糸井
で、俺を乗せて、マンションまで行って、
ご飯は作ってくれるし、
どこか痛いって言うと按摩してくれるしみたいな。
清水
なんでそんなかわいがられたの?
糸井
いい人なのよ、あの人。
清水
まあでも、本当にいい方ですよね。
糸井
いい人なの。
清水
私と光浦さんが4、5年前にサイン会をやってたときに、
「あれ石坂浩二さんじゃない?」って言って、見たら、
普通にお客さんとして立ってて(笑)。
糸井
(笑)
清水
「見に来たんだよ」って。
なんてフットワーク軽いんだと思ってビックリしちゃった。
糸井
うん。俺知ってる中でも、「いい人番付」に絶対いる人だよ。
清水
その頃糸井さんの仕事って何?
糸井
コピーライターだったの。
清水
ていう言葉は、じゃあ‥‥。
糸井
もうあるある。
清水
もうとっくにある?
糸井
あるある。
それで、養成講座から出たばっかりで就職して
――逆に俺、インタビューされてるじゃない(笑)。
清水
でも知りたい(笑)。

糸井
たまたま少し大きめの仕事を取ってこれて。
ちっちゃい会社だったし、そのままぼくがやってたら、
なんか石坂さんと馬が合ったというか、面白がってもらって。
その頃はけっこう付き合ってもらってたんです。
清水
へぇー、ラッキーでしたね。
糸井
うん。
俺、確か、手持ちのお金がないっていうときに、
「じゃ、ぼく、買っとくから」と言って、
「あとで返すよ」
って返してもらってないのがあるよ、多分。
清水
あ、ごめん、お金貸したのは?
糸井
お金貸したのぼくなの。2000円ぐらい(笑)。
清水
よく覚えてるね(笑)。
糸井
その、何ていうんだろう、
「そんなのしていいのかな」
みたいな気持ちがあったんで覚えてるの。
清水
ふーん。
糸井
あと、「スターってお金持ってないんだ」と思った。
清水
そんなわけない(笑)。
糸井
要らないんだよ、多分。
マネージャーといることが多いから。
清水
あ、そうかそうか。お財布はあまり持ち歩かないのかもね。
糸井
まあ、なんせ屈託のない人だったんで、俺はすごく楽で。
で、その当時、石坂さんは
明治製菓のコマーシャルに出てたから、
そのぬいぐるみを持ってて。
「そんなに気に入ったんだったら、持っていっていいよ」
って言われて、おサル抱いて帰ってきた。
清水
二十歳過ぎた人がぬいぐるみもらったんだ(笑)。
糸井
ぬいぐるみは、なんか好きでさ。
清水
へぇー。
意外とメルヘンっぽいとこありますもんね、糸井さん。
女の子っぽいというか。
糸井
女の子っぽいと言われてることを
男もしちゃいけないのかなって気持ちがある。
清水
そうなんだ。
糸井
前に、「ダ・ヴィンチ」の編集長だった横里さんと一緒に
本を選ぶ仕事を毎月やってたんですよ、
「ダ・ヴィンチ」の雑誌内で。
で、なんかね、
女の子とかオシャレみたいなものを彼は選ぶんだよ。
清水
うんうん。
糸井
それをなんかすげえなと思ってて。
「それ、なんで選んだの?」って言うと、
「いや、かわいいなと思って」ってまず言うの(笑)。
清水
正直だね。
糸井
うん。その正直さがすごく気持ちいいわけ。

清水
羨ましいんだ。
糸井
で、それを素直に言える横里さんを
俺はすごく尊敬して、
あのくらいのところまでいこうと思ったの。
清水
ほう。そんな日があって。
糸井
うん。
そういえば、このあいだよその人と話をしてて、
「ほぼ日の人たちは、相手の人が何かいいこと言うと、
『え、それどうやるの? 教えて』ってすごく素直に聞く」
って言うわけ。
清水
へぇー。
糸井
「なかなかないんですよ、普通の会社は。
うちのほうがすごいって言いたいから」って。
清水
ああ、そうかも。
糸井
あ、それはいいと思った。
俺は「教えて」ってタイプだから、
なんかそういうのが会社に乗り移ってるのは
いいことだなと思ってさ。
清水
似てくるんですよね、人間って不思議と。
糸井
似てくるんだろうね。
清水
うん。
ほぼ日の社員の男の人も、
かわいいものが好きな人多いかも。
糸井
ああ、そうかもしれないね。
こだわりがないよね。
逆に言うと女の子たちも、
「ラグビーに行こうぜ」と言ったら、スッと乗るよね。
清水
へぇー。好奇心が強いのかな。
糸井
何なんだろうね。男女の色分けがないんじゃないかな。
清水
へぇー。

(つづきます)

第2回 「わたしはこう感じてますよ」