もくじ
第1回言葉を吐きだして歩く 2019-03-19-Tue
第2回セクシャリティのこと 2019-03-19-Tue
第3回自分の気持ち、他者の目線 2019-03-19-Tue
第4回それぞれの居場所 2019-03-19-Tue

きく、かく、えがく。そのどれもで生きていきたいと思う。今は聞き書き甲子園の運営などをしています。

いつも話さないことを話す日

いつも話さないことを話す日

担当・工藤大貴

第4回 それぞれの居場所

工藤
あ、桜咲いてるよ。
永田
大寒桜って書いてある。
工藤
春ってなんか悲しくない?
永田
そうですか?
よくわからないですけど(笑)。
工藤
俺、すごく長いこと大学行ってたじゃない?
4月になっても進級できないことが多かったから、
嫌な季節なんだろうね(笑)。
永田
(笑)。

工藤
永田くんが大学院に復学しないのはなんで?
永田
NPOにいると思考が現場寄りになるというか。
将来生きる上での考え方とか知識を得るために
研究がしたいと思ったんですけど。
工藤
うんうん。
永田
「本来、研究は一つの事象を深めたり、
純粋な探究心から進めていくものだから」
ってことを教授に言われたんです。
工藤
あぁ、なるほどね。
永田くんが今NPOでインターンしてるのはどうして?
永田
自然な成り行きだったなって思います。
工藤
NPOだからってよりも活動の中身を見て?
永田
はい。
あとはお金にあまり興味がなかったりとか、
NPOの方が自分に合ってるのかな。
居場所的に探していたら、そこだった。
工藤
NPOって、仕事とプライベートの境目があんまりないじゃない?
で、なんていうのかな。
昔ってさ、逃げ場のない若い人って、
カウンターカルチャーに向かってたのかなって思うの。
ヒッピーとか、「なんとか族」とかね。
永田
なるほど。

工藤
今ってそういう逃げ場のない人たちが、
SNSとかNPOのボランティアに集まってるのかなと思って。
永田
確かに、僕もそういう側面があります。
工藤
関わるハードルが低いのかな。
永田
居場所としてだけ使われるのはもったいないけど、
入り口としてはいいですよね。

でも、逃げ場的にNPOとか何かしらのコミュニティに
集まれない人もいますよね。
工藤
うん……確かに。
あ、東京駅だよ。
永田
あ、本当だ。戻ってきたんですね。
工藤
今日はありがとう。
記事、書いてみるね。
永田
はい、お疲れ様でした。

僕らの散歩は、神保町から皇居、新橋を抜けて、
閉園後の浜離宮を外から眺めて、
静かになった築地市場を通って、
人の多い銀座から東京駅へと戻ってきた。

できる限り、「利害」とか「仕事の都合」を抜きにして、
話をしてみたかった。
そんな散歩が学生時代の僕を救っていたから。

コンプレックスもセクシャリティも、
1人1人グラデーションを持っていて、
当たり前だけど白か黒かでは答えられない。

だけど、僕らは日々、
白か黒かで問われる気がする。
そんな時、言葉にするのをためらってしまう。
自分の中にある矛盾やグラデーションを
すぐに伝えられるだろうか、と。

だからこそ、
また、話したいなと思った人を散歩に誘おう。
ゆっくり同じ景色を見ながら、生きていこう。

(おわります)