- 工藤
- あ、桜咲いてるよ。
- 永田
- 大寒桜って書いてある。
- 工藤
- 春ってなんか悲しくない?
- 永田
-
そうですか?
よくわからないですけど(笑)。
- 工藤
-
俺、すごく長いこと大学行ってたじゃない?
4月になっても進級できないことが多かったから、
嫌な季節なんだろうね(笑)。
- 永田
- (笑)。

- 工藤
- 永田くんが大学院に復学しないのはなんで?
- 永田
-
NPOにいると思考が現場寄りになるというか。
将来生きる上での考え方とか知識を得るために
研究がしたいと思ったんですけど。
- 工藤
- うんうん。
- 永田
-
「本来、研究は一つの事象を深めたり、
純粋な探究心から進めていくものだから」
ってことを教授に言われたんです。
- 工藤
-
あぁ、なるほどね。
永田くんが今NPOでインターンしてるのはどうして?
- 永田
- 自然な成り行きだったなって思います。
- 工藤
- NPOだからってよりも活動の中身を見て?
- 永田
-
はい。
あとはお金にあまり興味がなかったりとか、
NPOの方が自分に合ってるのかな。
居場所的に探していたら、そこだった。
- 工藤
-
NPOって、仕事とプライベートの境目があんまりないじゃない?
で、なんていうのかな。
昔ってさ、逃げ場のない若い人って、
カウンターカルチャーに向かってたのかなって思うの。
ヒッピーとか、「なんとか族」とかね。
- 永田
- なるほど。

- 工藤
-
今ってそういう逃げ場のない人たちが、
SNSとかNPOのボランティアに集まってるのかなと思って。
- 永田
- 確かに、僕もそういう側面があります。
- 工藤
- 関わるハードルが低いのかな。
- 永田
-
居場所としてだけ使われるのはもったいないけど、
入り口としてはいいですよね。
でも、逃げ場的にNPOとか何かしらのコミュニティに
集まれない人もいますよね。
- 工藤
-
うん……確かに。
あ、東京駅だよ。
- 永田
- あ、本当だ。戻ってきたんですね。
- 工藤
-
今日はありがとう。
記事、書いてみるね。
- 永田
- はい、お疲れ様でした。
僕らの散歩は、神保町から皇居、新橋を抜けて、
閉園後の浜離宮を外から眺めて、
静かになった築地市場を通って、
人の多い銀座から東京駅へと戻ってきた。
できる限り、「利害」とか「仕事の都合」を抜きにして、
話をしてみたかった。
そんな散歩が学生時代の僕を救っていたから。
コンプレックスもセクシャリティも、
1人1人グラデーションを持っていて、
当たり前だけど白か黒かでは答えられない。
だけど、僕らは日々、
白か黒かで問われる気がする。
そんな時、言葉にするのをためらってしまう。
自分の中にある矛盾やグラデーションを
すぐに伝えられるだろうか、と。
だからこそ、
また、話したいなと思った人を散歩に誘おう。
ゆっくり同じ景色を見ながら、生きていこう。
(おわります)