「心地いい」の見つけかた。
担当・いちかわあかね
第3回 気持ちをオープンにする。
- セバスチャン
-
北欧の人たちが得意なのが、リラックスともうひとつ、
自分の心の状態をよく話すことだと思うんだ。
- 市川
-
そうなの?
- セバスチャン
-
うん、デンマーク人は、かなり率直に自分の気持ちを話す。
でも、日本はあまり直接的には言わないんだな、
と日本に来て思った。
これはたぶん、文化的なものだよね。
- 市川
-
そうだね。
日本は、あまりストレートな表現をしない文化があるから。
- セバスチャン
-
日本人は、ときどき気持ちを内側に抑えているように感じる。
それって、ときにすごくストレスになると思うんだ。
- 市川
-
うんうん。
- セバスチャン
-
例えば、日本語で「ゲンキデスカ?」って聞かれたとき、
日本の人は「元気です」って答えるよね。
- 市川
-
うん。
大抵、そう答える。
- セバスチャン
-
本当は、元気じゃなかったとしても。
- 市川
-
あ、たしかに……。
- セバスチャン
-
デンマークでは、友達に「元気ですか?」と聞かれたら
「ちょっと疲れてる」とか「仕事が大変なんだ」って答えるのが
自然なことなんだ。
「ボスが意地悪でさ……」とかもね。
もちろん人によって違いはあるけれど、
気持ちをオープンにする人が多いよ。
- 市川
-
なるほど。
自分の気持ちを素直に話せる相手を持つのは、
大事かもしれない。
- セバスチャン
-
僕は、自分の気持ちをダイレクトに言える場所が
あった方がいいと思ってる。
自分が感じることや思うことを素直に言えるような状態だと、
リラックスできるんだ。
- 市川
-
うんうん。
- セバスチャン
-
もちろん、会社の上司になんでも話すのは難しい。
でも、友達や家族、自分をよくわかってくれている人なら、
自分の気持ちや考えていることを率直に話せるように思う。
「こう言ったらこう思われるかも……」なんて、
顔色を伺わずにね。
- 市川
-
人の目を気にせず、素直な自分でいられるってこと?
- セバスチャン
-
その通り。
よく知らない相手に対しては、
好印象を持ってもらおうとしたり、言うべきことを考えてしまったり、
結果的にリラックスできないことも多いでしょ?
- 市川
-
たしかに。
初対面の人もそうじゃない?
素直に自分の気持ちを言うのは、難しいなって思う。
- セバスチャン
-
僕について言えば、新しい人に会うことは好きだよ。
でも、新しい人に会うことは、
たくさんのエネルギーを使うことでもあるよね。
- 市川
-
うんうん。
- セバスチャン
-
例えば、初対面の人に何か言われて言い返したいと思っても、
「この人のことはよく知らないから、言わないでおこう」と
自分の中にとどめてしまったりとか。
- 市川
-
そしたら、リラックスは難しいね。
- セバスチャン
-
もちろん新しい人に会うのは素敵なことだけど、
自分がリラックスできる時間をもつことも、
同じくらい大切なんだ。
自分が言いたいことを存分に言える環境というのは、
そんなに多くないから。
- 市川
-
ああ、それわかる。
- セバスチャン
-
あとは、「書く」タイプの人もいる。
話すよりも日記を書く方が好きな人もいて、
それは人によって違っていいんだ。
必ずしも、話すこと書くことは
みんなに必要なことじゃないかもしれない。
でも、悲しいときや強いストレスを感じたとき、
きっと何かの助けになると思う。
(つづきます)