もくじ
第1回「打ち明け話」が聞きたくて 2019-02-26-Tue
第2回「あなただから」が嬉しくて 2019-02-26-Tue
第3回「打ち明け話」へのあこがれ 2019-02-26-Tue
第4回「打ち明けてはいけない」 2019-02-26-Tue
第5回今ここで「打ち明ける」 2019-02-26-Tue

NHKで10年以上、報道番組のディレクターをしていました。今はサイボウズという会社で働きながらいくつかの複業をしています。
パラレルキャリアでワーキングマザー。
ほんとうのことを、ありのままの自分で伝えていける人になりたいと日々試行錯誤中です。

私の好きなもの「打ち明け話」

担当・三木 佳世子

第4回 「打ち明けてはいけない」

私にとって、初めての打ち明け話は、中学2年生の時。

初めて仲の良い友達が出来て、
部活帰りにコンビニでパンを買って、
近くのビルの外階段に並んで座って食べながら
「実はね‥‥」と話をしたこと。
 
その瞬間の、ぐっと距離が近づいて、
自分を取り巻いていた、薄い卵の膜がはがれて、
友達と自分との繋がりが濃密になった、
温かな幸せな感じは、今でも思い出せる。

打ち明け話の内容は、
「実は親が厳しくて、ずっと小さい頃から
良い子じゃないといけない事が苦しくて、
窮屈に思っていた」というもの。

今思えば本当に他愛もない打ち明け話なのだけれど、
あの時は、心臓がバクバクした。
親の悪口なんて、口から出した瞬間に、
どこかから親に見つけられて叱られるのではないかと。

私もだよ。あなたも?え、本当?
一緒だね。秘密だよ、言わないでね。
ってなって、固く固く指切りげんまんをした。

あの時、私は、本当に嬉しかったし、
心の中のことを言葉にして人に伝えて分かり合えるって、
こんなにも幸せなことなんだと、涙が出るほど感激した。

打ち明け話って、一体何なんだろう?

それまで表面上でしか言葉を交わしていなかったのに、
深いところまで、ぐっと手を差し込んで、
ドロドロした感情も、
ねっとりした感覚も、
綺麗も汚いも全部ひっくるめて、
本当の自分を見せる感じ。
見せた瞬間に、二人の間の空気が変わる感じ。

相手を信じて、打ち明けても大丈夫って思えて
怖くないから出来るのかもしれない。

相手への信頼と同時に、
自分自身への信頼もないといけない。
打ち明けて、もしも受け入れて貰えなくても、
自分は大丈夫。という、自分への信頼。

さらに、「打ち明ける」の先には、愛があるようにも思う。
自分の経験を話すことで、同じような辛いことが
繰り返されませんようにという、他者への目線、愛。

そして、自分の経験が役に立てたと感じた時、
人は自分の辛かった経験も肯定できる。
「辛かったけど、良かったな」って。

私は、この「辛かったけど、良かったな」って、
思って貰えることが嬉しくて、
その人の辛かった過去に意味づけをするお手伝いが、
テレビの番組作りを通してできているようで、
だから、その瞬間瞬間を味わいたくて、
大変な時もあったけれど、辞めずに10年以上、
ディレクターという仕事を続けて来られたのかもしれない。

じゃぁ、私は?
私は、ほんとうのところを、
ちゃんと打ち明けられているだろうか。

人の打ち明け話を沢山の人に届けながら、
私には、去年の夏まで、打ち明けられずにいたことがある。

その理由は、小さい頃から親に言われていた
「打ち明けてはいけない」。

‥‥とにかく固く、口止めをされていました。

(つづきます)

第5回 今ここで「打ち明ける」