「毛づくろいの時間」が好きな理由なんて、
これまで一度も考えたことがなかった。
毛がするりと抜けるときの気持ちよさ?
たくさんの毛が抜けて成果が目に見える達成感?
単純作業に集中することで感じるリフレッシュ感?
どれも好きな理由のひとつではあるが、根っこではない。
思いつかず、記事を書く手が止まってしまったため、
実家に帰ってさくらをなでながら再度考えてみた。

なでられて眠そうに目をつむるさくらの顔を見て、
「あぁ、安心してくれていてうれしいな」と感じる。
そこではたと気づいた。
「毛づくろいの時間」も、さくらは安心して大体寝ている。
過去に何度か抜けない部分をひっぱって、
痛い思いもさせただろうに、すべて水に流して、
「よろしく頼む」と身を任せてくれている。
ことばが通じ合わない一人と一匹だが、
表情で、態度で、空気感で…
信頼してくれていることを五感でひしひしと感じる。
わたしはその信頼を感じながら、
見返りを求めるわけでもなく、
「さくらがスッキリしますように」と思って、
手間と時間をかけて毛づくろいを続ける。
そうか。
わたしは「毛づくろい」という行為が好きというよりも、
「毛づくろいの時間」を通して、
さくらからの信頼を感じること、
そしてさくらに愛情をそそぐこと、が好きなんだ。
季節のかわり目だけ楽しめる「毛づくろいの時間」、
好きな理由がわかったら、もっと大切にしたくなった。
(とても個人的な話を最後まで読んでくださり、
ありがとうございました。以上で終わります。)