- 燃え殻
-
ぼくみたいな立場って、肩書も難しいんですよ。
ネット、新聞、雑誌とか、その媒体によって、
向こうからある程度、聞いてくるんです。
「この肩書はどうですか」って。
- 糸井
- いくつもあるわけだ。
- 燃え殻
- はい。
- 糸井
-
たとえば何がある?
「作家」とか?
- 燃え殻
- 「作家」もあります。
- 糸井
- 「会社員」は?
- 燃え殻
- 「会社員」もありました。
- 糸井
-
(笑)。
あとは何だろう?

- 燃え殻
- 「コラムニスト」みたいな。
- 糸井
- ああ。
- 燃え殻
- コラムニストって言っていいの?って(笑)。
- 糸井
- はいはい。でも、あるだろうね。
- 燃え殻
- あとは「ライター」とか「テレビ美術制作」。
- 糸井
- なるほど、なるほど。
- 燃え殻
- あと、「ツイッタラー」。
- 糸井
- 「ツイッタラー」。
- 燃え殻
- これね、おもしろ半分で言われたんですよ。
- 糸井
- うん(笑)。
- 燃え殻
-
ぼくは、「それでいいです」って答えましたけどね(笑)。
「作家」だったら炎上するかもしれないけど、
「ツイッタラー」だったら、笑われて終わりですよね。
だったらそっちでいいです、という感じで。
糸井さんの、現在の肩書は何になるんですか?

- 糸井
-
今は「ほぼ日刊イトイ新聞主宰」か、
「ほぼ日社長」が増えたね。
「コピーライター」もよく出てくるし、
主にその3つかな。
- 燃え殻
- なるほど。
- 糸井
-
ぼく、思うんだけど、
地方の新聞に載る時の肩書が、
いちばん一般的に通用しやすいんじゃないかな。
- 燃え殻
- ほんとにそう思います。
- 糸井
-
ねえ。
だから、地方の新聞に載る時には、
「ほぼ日刊イトイ新聞主宰」より、
「コピーライター」のほうが、
おさまりがいいと思うんですよね。
もう、最近はほら、
「樋口可南子の旦那です」とか。
- 燃え殻
- (笑)。

- 糸井
-
もう、こっちから攻めてくの。
さっきの「楽しめ」と同じ。
それは、鶴瓶さんからも学んだよ。
鶴瓶さんも、街で声をかけられそうになったら、
自分から「鶴瓶でございます」って。
- 燃え殻
- ああ、もう先に。
- 糸井
-
一緒に大阪を歩いたことがあるんだけど、
鶴瓶さんは、攻める攻める(笑)。
- 燃え殻
- また目立ちそうですね(笑)。
- 糸井
-
あの攻めはすごいよ(笑)。
でも、「楽しめ」とも似ていて、
主体は自分にあるんだよね。
「自分はどうしたいんだ」って自分に問いかけることが、
「楽しめ」ってことなんですよ。
- 燃え殻
- ああ。
- 糸井
-
「こんなコンサート、誰がやるって言ったんだよ」
「俺だよ。だから、いやならやめればいいじゃないか」
「じゃあなんでやるんだよ。自分が楽しいからだろ?」
「それなら、楽しもうよ」
いわば、こういう順番ですよね。
そしたら楽しめる。
あ、今、何かすごく大人として良いことを‥‥。
- 燃え殻
- 大人としてこと良いことを。
- 糸井
- ねえ。
- 燃え殻
- もっと楽しめばいいじゃないか、って。
- 糸井
- そうそう。
- 燃え殻
- でも、ほんとにそうなんですよね。
- 糸井
- ほんとにそうなんですよ(笑)。
- 燃え殻
- ほんとにそうなんですよね(笑)。
- 糸井
-
今日、しつこくこの話をしたことで、
これを聞いた人は、きっと覚えてると思うんだよ。
「楽しめ」っていう選択肢があるってことを。
それだけで変われると思うよ。

- 燃え殻
-
そうですよね。
ちなみに、実はぼく、
けっこう悩んでしまうタイプなんですけど‥‥。
- 糸井
- そうなんだ。
- 燃え殻
-
でも、悩み事ができた時に、
永ちゃんの「楽しめ」じゃないですけど、
「お前、同じことばっかりで悩んでてつまんねえよ」って、
自分で自分に言うんですよ。
「もっとなんかおもしろいことないの?」みたいな。
- 糸井
- ああ。
- 燃え殻
- 新しい悩みがほしいなぁ、って。
- 糸井
- そういわれると、ぼくもそうかもしれない。
- 燃え殻
-
めんどうくさくしちゃったほうがいい時って
あるじゃないですか。
手元にいろいろと悩みがあったほうがいい。
悩みが解決しない人に限って、
すぐに「人生が」とか言うんです。
- 糸井
- うん。
- 燃え殻
- でかいんですよ、悩みが。
- 糸井
- うんうん。
- 燃え殻
-
宇宙から見ないと解決しないような
悩みを言うんですね。
- 糸井
- ああ、あるね。
- 燃え殻
-
そういう時は、手元に悩みを置けばいいと思うんです。
そうすると、それに集中しなきゃいけなくなる。
お酒とか飲むと、言いがちなんです。
「やっぱり人生ってさ」って(笑)。
でも、「来週の納期ってさ」とは言わないですよね。

- 糸井
- うん、言わないね。
- 燃え殻
-
やっぱり、来週の納期とかの話をしていると、
ほんとにいろいろ前に進みますよね。
- 糸井
-
その「来週の納期」の積み重ねが、
「人生ってさ」の裾野だもんね。
- 燃え殻
-
そうなんです。
「人生ってさ」というのは、振り返って言う話なので、
振りかぶって言っちゃダメだなと思うんです。
- 糸井
- ぼくの考え方も、それに近いかな。
- 燃え殻
- ああ、そうですか。
- 糸井
-
たいていの人は、目の前の忙しさが増えていくことで、
解消したのか、していないのか、
なんだかわからないうちにまとまっていくんだと思う。
- 燃え殻
- ああ。それは、ひとつのいい答えですね。
- 糸井
- 答えなのかもしれないね。
(つづきます)