【数分で読める!】燃え殻×糸井重里 対談
担当・あいうえお

第5回 「解決しない」という解決策。
- 糸井
-
燃え殻さんの「人生相談」は凄い。
答えてる燃え殻さんが、すっごく同じ場所に立ってて、一生懸命考えてて、
エッセイでも何でもないんだけど、発見もあって全部面白い。
- 燃え殻
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えー、ありがたい。
- 糸井
-
谷川俊太郎さんの人生相談の本をうちで出してるんだけど、
あれぐらい面白い。
- 燃え殻
-
えぇ!?
- 糸井
-
本当にそう思う。
- 燃え殻
-
ああ、ありがとうございます。
- 糸井
-
本当にあれ一生懸命やってますよね。

- 燃え殻
-
もう一生懸命やるしか‥‥
ぼくはすごい人たちと会ってきましたけど、どこかで発見があって、
糸井さんとか堀江さんとか「全然かなわねえ」って思ったけど、
会ったら「あ、人間じゃん」って思ったんですよ。
で、何十パーセントかは多分、みんな一緒やんって思って。
- 糸井
-
うんうん。
- 燃え殻
-
だから、文春オンラインの「人生相談」でも、
悩みが来た時に、ぼくの人生の中のどこかで、全く同じではないけど、
そういう気持ちに俺もなったことあるよってことばかりなんですよ。
性別が違っても、年代や生きてた場所や職業が違っても、
あぁその悩みに近い気持ちに小学校の時になったな、とか思うんです。
- 糸井
-
ああ。
- 燃え殻
-
で、その話をまずしよう。直接そうじゃないかもしれないけど、
こういうことであなたと同じような気持ちになった。
で、この話なんだけど、もしかしてこうなんじゃないかな。
もし、ぼくがあなたの立場だったらこう思う。違ったらごめんなさい、
ぐらいまで入れるっていう感じですよね。

- 糸井
-
そうですね。何よりもいいのは、
燃え殻さんのいい意味での気の弱さがあるおかげで、
相談してきた人に嫌な思いをさせたくないってところなんですよ。
- 燃え殻
-
ああ、それ思います。
- 糸井
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燃え殻さんは、その人が嫌な目をしませんようにっていうのを前提に話す。
- 燃え殻
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なんか、レスキューじゃないですか。
自分が悩みがあって、更にそれをメールするって。
熱量が半端ないというか、相当悩んでる。
もしくは、どうしても答えが欲しいというか、それくらい真剣なんで、
ということはそれぐらい傷ついたり、それぐらい悩んだんで、
もういいじゃないかってぼくは半分思ってて。
もうそこまで悩んだら、半分いいよ。
それを投げ出さなかったという時点で凄いみたいな。
- 糸井
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だから、あれは人生相談に答えてるというよりは、
その人と隣り合わせで慰めてるんですよね。
- 燃え殻
-
ああ、そう思ってました、ぼくは。
傷がかさぶたになって、それが取れて、きれいになりましたって
すごく素晴らしいですけど、そんなことばっかじゃないから。
- 糸井
-
そうそうそう。
- 燃え殻
-
そのかさぶたでもいいし、
血を止血しながらでも生きていかなきゃいけないじゃないですか。
- 糸井
-
そうそう。
- 燃え殻
-
「一旦保留にしようぜ」って言う人生相談って、
なんでなかったんだろうって。
- 糸井
-
いや、あれがやってますよね。

- 燃え殻
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ぼく、一旦保留にしたんですよ。
で、一旦保留にして生きてこれたというのがたくさんあって。
その手帳もそうかもしれないですけど、
手帳を見ると解決してないことばっかなんですよ。
過去の自分より成長してるっていう優越感で手帳見てる訳じゃなくて、
うわー、俺、これ忘れてんじゃんとか。昔のほうがちゃんと考えてるとか。
- 糸井
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あるある。
- 燃え殻
-
でも、それを見られるのも凄く良くて。
保留したことによって、自分でも忘れられる。
一端置いといて、将来の自分が解決してくれたり、
将来の自分ももう一回置いとこうかって思ったりして。
そういうほうが、リアルなような気がして。
全部がきれいに片付くほうが、そのほうがいいけど、でも…
- 糸井
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グシャグシャしたことでも、
語ってるうちに泣いちゃって大声出したりするじゃない?
テーマ忘れて泣き止むかどうかになりますよね(笑)。
- 燃え殻
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答え要らないときって多いと思うんですよ、ぼく、人生で。
- 糸井
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ご飯食べるとかさ。
- 燃え殻
-
そう。お腹いっぱいになると、けっこう解決したりしません?
