- 蒼山
- おひさしぶりです。
- 先生
- あんまり変わってないね。(笑)
- 蒼山
-
よく言われます。(笑)
今回は、当時やってた「グループノート」について
お話しを伺いたいのですが。
- 先生
- はいはい。
- 蒼山
-
そもそも、なぜグループノートをやろうと思ったのか
っていう話を聞いてもいいですか?
- 先生
-
えーっと‥‥やっぱりね、
「文を書く力をつけさせたかった」っていうのが一番かな。
「しゃべり」っていうのは日常生活でもするんだけど、
「文を書く」っていうのは
なかなか意図的な設定をしないとやらないし、
一番頭を使うのかなとも思ったしね。
構成を考えたりだとか、漢字を使ったりというのもあるし。
最初のほうを見てもらうと、非常に短い文章しか書けてない
っていうのがほとんどだと思うんだけど‥‥。
あわせて学級通信にも載せていくので、
「人に読んでもらう」っていうのも
やっぱり大切だったのかなとは思うんだよね。
- 蒼山
- 何かに影響を受けて、っていうのはありますか?
- 先生
-
本のタイトルは忘れちゃったんだけど、
『おもしろ作文』みたいな本があって。
例えば‥‥「私は消しゴム」って自分を物に例えるのとか、
「〇年後の自分」とか「芸能人がやってきた」とか‥‥
そういうものだったら結構書けるんじゃないかなと
思ったりもして。
- 蒼山
- ありましたね。そういうのも。
- 先生
-
あとは、自分の先輩が
「グループノート」をやってたんだよね。
やっぱりそれをもとにしたのかなっていう気はするね。
- 蒼山
- これって、担任をもっている間はずっとやってましたか?
- 先生
-
やってたね。
やってたんだけど、「負担になるから」って言われて、
毎週じゃなかったのかな。
2週間に1回ぐらいになっちゃった。
- 蒼山
-
わたしたちも週に1回これを書くのは大変だったと
記憶してるんですけど、1週間でクラス40人分の作文を
先生自身が見ないといけないじゃないですか。
これって毎週末に赤字が返ってきてるんでしたっけ?
- 先生
- いや、多分その日中に見て書いて、ってしてたかな。
- 蒼山
- 先生も負担じゃないの?ってわたしは思っていて‥‥。
- 先生
-
しんどいしんどい。(笑)
ほかの先生が授業を見てくれる空き時間に
見るっていう感じだったから‥‥。
- 蒼山
-
月曜日から木曜日まで毎日、1日あたり10人分の作文を見て、
全員の文章に赤字が入れてあって、
そのうえで学級通信に毎週まとめてくれて。
膨大な作業量だなと思ってたんですけど‥‥。
- 先生
-
若かったね。今ならやらないね。(笑)
まあ、やっぱりやらせっぱなしだと失礼だから、
みんなに書いてもらったからには自分も目を通すし、
みんなに読んでもらうように学級通信に載せていくっていう‥‥
そこだけは変えないようにしたかったからね。
- 蒼山
-
学級通信に載るのって、人によっては
親から「なんでこんなこと書いたの!」って
怒られたりもするのかなって思ったりもしたんですけど‥‥。
- 先生
-
その辺りはどうなんだろう。
わからないけど、「読んでもらわなきゃいけない」っていうのは
思っていて‥‥あと、やっぱり書いたものは残るんだよね。
最後にまとめの文集も毎回作ってはいたんだけど、
やっぱり物として残っているといいのかなと。
うちの学校でこの前タイムカプセルを掘り起こしたのね。
「掘り起こしますよ」って回覧を地域に送ったら
当日100人以上見に来てくれて。
そんな風に、大人になってちょっと振り返るときに
自分がこうだったんだなーっていうのがわかるきっかけには
なるかなって。
- 蒼山
-
グループノートを見るときに気をつけていたこと、
視点みたいなものってあります?
- 先生
-
最初のうちはとにかく褒める感じで‥‥
「少しでも長く書いてもらう」っていうのが目的なので。
花まるとかも結構つけてたと思うんだけど。
だんだん慣れてきたら、例えば遠足に行った作文だと
「朝何時に起きて学校に何時に集合して」みたいなところを
メインに書いていて、肝心の遠足の内容が2、3行で
「楽しかったです」はい終わり、みたいなのは
違うでしょっていう‥‥。
やっぱり「話を絞って書く」というところには気をつけていて。
なので、いい文の紹介とかもやってたんだと思うんだよね。
- 蒼山
- やってましたね。
- 先生
-
やっぱりいい文を真似ることが大切かなとも思うのでね。
なので、いい文はどんどん紹介していきたいなとも
思っていたし、あとは「気持ちを書く」っていうのかな。
気持ちだってただ「楽しかった」っていうのではなくて、
「何がどう楽しかった」のか、みたいなことを
書いてもらいたいなと思うし。
で、だんだんよくなってきたら改行とか、字の丁寧さとか、
見やすさとか、「人に向けて書いてる」っていうのを
意識してもらえればな、という風には思ってたね。
- 蒼山
-
これをやっていて「おもしろいな」と思ったことって
あります?
- 先生
- とにかく読むのは楽しかったね。それは言えるかな。
- 蒼山
-
一冊ちょっと読み返してみたんですけど、
みんな全然違うじゃないですか。
人それぞれ書けている度合いも書く内容も、
同じテーマでも全然違ったりして。
「小学生だから」っていうおもしろさというか、
そういうものって記憶に残っていたりします?
- 先生
-
まあ、長く書けていればいいのかっていうと
そういうわけでもなくて、
短くてもすごく気持ちが表せているパターンもあるし、
あと先生がコメントを書いているからかもしれないけど、
最初と最後ではだいぶ文が変わってきていると思うので、
そういう成長みたいなのは‥‥はっきりと味わえるというか、
感じられたんじゃないかなとは思うね。
「継続は力なり」ということでね。
- 蒼山
-
これをやっていて「よかったな」と思うことって
ありました?もしくは逆に「やらなきゃよかった」と
思うこととか‥‥。
- 先生
-
卒業アルバムはすごい楽だったよ。
埋まらないっていうことがなく、ほぼみんな書けてたし、
改行の仕方とかもちゃんとできてたから。
そういうのはやっぱり日々の積み重ねで
ちゃんとできるようになってたから、よかったかなと思うね。
まあ、やらなきゃよかったなと思うのはね‥‥
みんなが不満を言っているのはよくわかっていたので
申し訳ないなと。(笑)
あとは、個人面談とか家庭訪問でも
「書くことがないって言って大変なんですよ」
って保護者から言われたことももちろんあった。
あったけど、そこは若かったから‥‥。
自分の信念を曲げず。(笑)
今だったら「そうですね、やめましょう」みたいなことに
なっちゃうかもしれないけど。(笑)
- 蒼山
- 若かったなーって思います?これをやってた頃の自分。
- 先生
-
そうだね、若かったね。(笑)
蒼山さんの学校にいた頃が一番好き勝手に
やってたのかもしれない‥‥ごめんなさいね。(笑)
迷惑を受けてるかもしれないな。
(もう少し、話は続きます。)