最後は、公開当時、映画館に3回足を運んだくらい、大好きな映画です。
『アバウト・タイム 愛おしい時間について』(2013年、イギリス)

『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』
Blu-ray:1,886円+税/DVD:1,429円+税 発売中
発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
※2017年11月の情報です。
『ラブ・アクチュアリー』(監督・脚本)や
『ノッティング・ヒルの恋人』(脚本)の
リチャード・カーティス監督が、
“最後の監督作品”として製作した映画です。
DVDショップなどでは、
「恋愛」のジャンルの棚に置かれていることが多いですが、
実際は、SFの要素もあるし、
家族の話でもあるし、人生の話でもあると思います。
主人公・ティムは、21歳の誕生日に、父親から
「この一家に生まれた男はタイムトラベルの能力を持っている」と
唐突に告げられます。
といっても、タイムマシーンに乗ったりするわけではなく、
物置とか、暗いところに入ってこぶしを握り、
戻りたいシーンを思い浮かべるだけ。
そして、行き来できるのは、自分が経験した過去だけです。
(未来や、自分が生まれる以前の時間には戻れない)
一般的なSFなら、
なぜこの一家がこういう能力を持つのか、その秘密が暴かれていくとか、
この力を使って世界を救う、という展開になるかもしれませんが、
この映画では、タイムトラベルすることの意味や理由は
特に示されません。
でも、この能力を持つことによって、
ティムは自分の生き方について深く考えるようになります。
最初のうちは、女の子に好かれるためや、
自分の失敗を消すために、能力を使っていたティム。
でも、何度繰り返しても実らない恋もある。
また、嫌だと思っていたことも、
振り返ってみると、違う意味を感じられることがある。
そのうちティムは、タイムトラベルの能力を、
失敗したことを取り戻すために使うのではなく、
なんてことない普通の一日を、
もう一度繰り返すために使うようになります。
そうすると、心に余裕がある分、
職場で少し嫌なことが起きても笑い飛ばせたり、
コンビニの店員とのなにげない会話も楽しめたり、
「ありがとう」や「おめでとう」を、もっと大きな声で伝えられる。
私は、くよくよ悩むことが多い性格で、
「ああすればよかった」とか
「あのときに戻ってやり直したい」
みたいなことを、しょっちゅう考えます。
もしタイムトラベルできるならどうするか、と聞かれたら、
やっぱり、まずは「何をやり直したいか」を考えてしまうでしょう。
でもこの映画を観ていると、
「何をやり直したいか」よりも、
「自分の人生で、もう一度リピートしたい、最高の場面はいつか」
を考えたくなります。
もちろん、実際にはやり直すことはできません。
だから、せめて、同じような一日を大切に味わって、
過ごしていきたいと思います。

私と「元気の出る映画」の話は、これで終わりです。
もし、これを読んでくださった方が、
これらの映画を観て、少しでも元気になってくれたら嬉しいです。