- 糸井
-
こうして積み上げていって、
ほぼ日は今に至るわけで。
もしかしたら泰延さんは、
それがバンドを組むことなのか。
- 田中
- バンドを組む(笑)
- 糸井
- 浅生鴨はベースを買ったんです。
- 田中
- ベースを(笑)
- 糸井
- きっとベースが足りなくなるだろうって、初めから思ったって。
- 田中
-
ベースはね、
じゃんけん負けた人のポジションですからね(笑)
- 糸井
-
そう。
だから、一番気の利かない
他のメンバーが、なんて言うかは知りませんけど。
- 田中
-
まぁ、僕も「俺が俺が」だから、
高校時代やってたバンドの名前は、
「ヒロノブ&ジ・アザーズ」ですから。
- 一同
- (笑)
- 田中
-
ひどいでしょう?
「&ジ・アザーズ」ですよ。
- 糸井
- すごいですよね。
- 田中
-
それで、もうよしとするメンバーも素晴らしいですよね。
パンクですよね。
- 糸井
- その説得力がすごいね。つまり、OKしたわけでしょう?
- 田中
-
うん。
「誰が聞いてもひどいと思うから、
そうやって不機嫌に弾いてるお前たちは、
たぶん『最高』って言われるよ」って(笑)。
- 糸井
- あぁ、すごいね、それは。
- 田中
-
ライヴでは、
「どうも、ヒロノブ&ジ・アザーズです」って言うと、
みんな、「チッ」って言いながら、
演奏始めるわけですよ(笑)。
嫌そうに。
- 糸井
-
その発想は、俺も1回やったことがあって、
イッセー尾形さんの会社が、
「株式会社ら」っていうんですよ。
- 田中
- ら??
- 糸井
-
僕が名前付けたんですけど、
株式会社ら(:イッセー尾形ら・株式会社)なんですよ。
- 田中
- なるほど。
- 糸井
-
独り芝居で、
全部イッセー尾形が前に出るわけですから。
「どう?」って言ったら、「最高」って言って。
- 田中
- すごいですね。
- 糸井
- アザーズどころじゃないか。
- 田中
- じゃないですね。
- 糸井
- あとは、まだ、「など」っていうのがね、
- 田中
- 「など」ね。
- 糸井
- 残ってますよね、「ほか」っていう(笑)。
- 田中
- 「ほか」(笑)。
- 糸井
-
「ほか」と言えばね、
氣志團のテレビデビューの番組を、僕が見てて、
流行が終わりすぎた状態の、
ライマブレスレットをしてたんですね。
- 田中
- なるほど(笑)
- 糸井
-
誇らしげに付けてる気志團っていうのが、
彼らのシャレの技術ですよね。
すごいなぁと思って。
- 田中
- 絶妙ですね、それ持ってくる。
- 糸井
- 感動して、
- 糸井
-
俺はそこのところ、
まだたどり着いてないな…
と思って、慌ててライマブレスレットを買った。
気志團に対する、こう敬意として。
- 田中
-
(笑)
はいはい。
ついでに、カミさんの分も買ったのかな。
- 田中
- それ要らない(笑)
- 糸井
-
うん。
カミさんも、なぜか
それを持って実家に行ったらしくて、
誕生日が近かったお義母さんが「それが欲しい」って言って(笑)
- 田中
- (笑)
- 糸井
-
「わかった、買うから、FAXでサイズ送って」
って義両親に言ってたら、
お義父さんも「欲しい」って言い始めて。
氣志團から、もう4個のライマブレスレットになるんです。
FAXはお義父さんから来たんですよ。
【「私、L」「他(ほか)、S」】って書いてあって。
- 田中
-
もともとお義母さんに買うはずだったのに、
「他」に変わってる(笑)。
- 糸井
- そう。
- 田中
- 主体が(笑)。
- 糸井
-
その後から、僕はずっと、お義母さんのことを、
心の中で、いつも、「他」って(笑)
お義父さんのその身勝手さとね、
お義母さんのその「他感(ほかかん)」。
- 田中
- ひどいですね、しかし(笑)。
- 糸井
-
いいでしょ?
ライマブレスレット、氣志團、他。
アザーズどころじゃないですよ。

- 田中
- いやぁ。ねぇ、「他」って(笑)
- 糸井
-
こんなおもしろい話をただでみんなに聞かせる(笑)
田中さんに、「これからどうなる?」なんてこと、
ここじゃ、まったく聞かないですけど。
- 田中
-
ええ。
聞かないんだ(笑)。
- 糸井
-
聞かないんですけど、
なんかこう、さっきの釣りの話のように、
「当たり」みたいな、
面白さには辿り着いてみたいですねぇ。
- 田中
- それはいい、今日はいい話、非常に聞きましたよ、本当に。
- 糸井
-
でしょう。おもしろいんですよ。
魚がね、生存をかけてひったくるわけじゃないですか。
- 田中
-
はい、はい。
糸井重里さんにお会いして、
身体性の話に行くと思ってなかったから、
今日、もうそれがもうすごい面白い。
僕のこれから、変わってくると思います。
- 糸井
-
身体性の話でいくと…
編集的に、都合悪いかもしれないですけど、
おしっこ我慢してるんですよね。
- 田中
- えっ、今?
- 糸井
- 今。
- 田中
-
それはね、止める人いないです。
惨事を招きますから。
- 糸井
- すいません。ちょっと行ってきます。
- 田中
-
これ、今ね、
身体性について、
糸井さんが実証されています、非常にね(笑)
(つづきます)
