自分の「なんでもいい」を考えようとした時、
「そもそも他の人はどうなんだろう?」と、気になった。
というのも、食べたいものが思い浮かばなくて
「なんでもいい」と言うこと自体、
そんなに特別なことじゃないのかもしれないと思ったからだ。
そこで、友人3人に聞いてみることにした。
「ご飯を決める時に、パッと食べたいものが
思い浮かぶかどうか」について、
誰かと一緒に外食する時と、
自分ひとり用のご飯の時、
両方のシチュエーションで質問してみる。
***
まずはいつもニコニコ優しい
友人のユキさんに質問してみた。
わたしとユキさんは数カ月に一度ご飯を食べに行く仲だが、
ユキさんがお店を決めているのを見たことがなかった。
だから「きっと『なんでもいい派』だろうな」と
心の中では思いながら、質問してみた。
- 私
-
ユキさんって、今日のご飯になにを食べるか考える時、
パッと思い浮かびますか?
- ユキ
-
うーん、わたし、食べたいものがたくさんあるんだよね。
だから誰かと外食をする時は、
どんなお店に行っても食べたいものを見つけられるから、
「なんでもいい」って言って
お店は相手にまかせちゃうことが多いかな。
わたしと同じ「食べたいものがないから、なんでもいい派」だと
思っていたけど、ユキさんはむしろ
「食べたいものがありすぎて、なんでもいい派」だったのだ。
そういうパターンもあるのかと、わたしは少し驚いた。
- 私
- 家で自分のためだけにご飯をつくる時は、どう?
- ユキ
-
食べたいものが常にあるから、
だいたいパッと思いつくよ~。
ユキさんは、家でも外でも食べたいものがたくさんあるんだ。
一緒にご飯に行くときに「なんでもいい」って言っているのは、
「場所やジャンルはなんでもいい」という意味であって、
実際に自分が食べるものについて
「なんでもいい」というワケじゃないんだな。
「食べたいものがたくさんあって‥‥」と言うユキさんを、
ちょっとだけうらやましく感じた。
***
次に「なんでもいいと言わなさそうな人にも聞いてみよう」と思って、
料理上手でおいしいお店もたくさん知っている
友人のミワコさんに聞いてみた。
- 私
-
ミワコさんって、今日のご飯になにを食べるか考える時、
パッと思い浮かびますか?
- ミワコ
-
うーん、わたしはパッと決められないタイプかなぁ。
‥‥ここでわたしは、このインタビューの難しさを実感した。
インタビューの難しさというか、
自分が無意識に「この人はきっとこうだ!」と
決めつけてしまっているがゆえの難しさだ。
ユキさんともミワコさんとも
もう8年ほどの長い付き合いなのに、
自分が思っていた「この人はきっとこうだろう」が
ことごとくハズれていて、なんだかおもしろかった。
- 私
-
ミワコさんは、いつも良いお店を教えてくれるし、
パッと決められるタイプかと思ってた。
- ミワコ
-
食べることが好きだから、行ってみたいなと思う場所は
たくさんあるんだけど、誰かと行くとなると
「このメンバーでその料理っていうのは、ベストなのかな?」
とか考えちゃったり。
だからお店だけ提案して「わたしはなんでもいいよ」と伝えて、
最終的にはいつも決めてもらうよね?
たしかに、過去を振り返ってみれば、
ミワコさんとご飯に行く時は
何件か行ってみたいお店を出してもらって、
最終的にはわたしが「ココにしよう」と決めていたかも‥‥。
- ミワコ
-
自分ひとりが食べるものだったら、割とすぐ決められるよ。
家でも夫がいたりすると、
自分が食べたいものだけをつくるというワケにもいかなくて、
すごく悩むんだけど‥‥。
ミワコさんは、「自分の食べたいもの」はあるけど、
他人のことを考えると決められないという感じなのかなと思った。
自分以外の人の「食べたいもの」を気づかって、
「なんでもいいよ」と言ってしまうっていうのは、
すごくわかるなぁと思った。
***
最後に、身体は細いのにたくさん食べる
友人のヒトミさんに聞いてみた。
これまで2人の友人に聞いてみたが、
「この人は、きっとこうだろう」という予想が外れていたので、
もう先入観を持たずに聞くことにした。
- 私
-
ヒトミさんって、今日のご飯になにを食べるか考える時、
パッと思い浮かびますか?
- ヒトミ
-
誰かと一緒に食べる時に「なにが食べたい?」って聞かれたら、
「麺」って即答するよ。
- 私
- 麺、かぁ。いつでもそうなの?
- ヒトミ
-
うん、だいたい、そうだね。
麺を食べておいしくなかったことはないし、
ラーメンでもうどんでも素麺でも、麺ならなんでも好きだから。
「麺」って幅をもって相手に伝えて、
相手が麺に乗り気じゃなかったら
「なんでもいいよ」って言うかな。相手に合わせる。
なるほど、「なにが食べたい?」と聞かれた時に、
ピンポイントで料理名を言うんじゃなくて、
幅を持たせてジャンルで答えるという返し方もあるんだな。
- ヒトミ
-
ひとりでご飯を食べる時も、麺にすることが多いなぁ。
食べたいものの中からどれにするか悩むことはあるけど、
食べたいものがなくて困ることはあんまりないなぁ。
「いつでも食べたい!」というものは、
わたしにはちょっと想像できなかったから、
「麺はいつ食べても美味しいよ!」と力説する
ヒトミさんの考え方が、わたしにとってはとても新鮮だった。
***
友人3人に聞いてみた結果、
3人とも「なんでもいい」と言うことがあるとわかった。
でもその「なんでもいい」と言うシチュエーションや背景は
3人とも違っていた。
ひょっとして「なんでもいい」っていうシンプルな言葉は、
実はいろんな意味を内包したものなのかもしれない。
「なんでもいい」にいろんな種類があるとわかったところで、
じゃあ、わたしは「なんでもいい」を
一体どんな意味で使っているんだろう?
(つづきます)