もくじ
第1回鎌倉に憧れて 2017-05-16-Tue
第2回カメレオンとの出会い 2017-05-16-Tue
第3回26歳の転機 2017-05-16-Tue
第4回自分が嫌いになった 2017-05-16-Tue
第5回ありがとう 2017-05-16-Tue
カメレオンと、私。

カメレオンと、私。

担当・萩原有美子

第2回 カメレオンとの出会い

天気は晴れ。
イベントには多くの人が来ていて、大盛況だった。
人がキュウキュウ押し寄せる感じはなく、
1つ1つのブースをゆっくり見ることができた。
のんびりした、いいイベントだった。

友人と境内を一周回った後、
最後に書院で行なわれるライブを見ることにした。
部屋へ足を踏み入れた時、何かが目に入った。

フリーペーパーだった。

題名は「KAMAKURA」。


1冊手にとり、ペラペラ数ページめくってみる。

「わあ…おもしろそう!」 ビビビっときた。

何これ?
興奮して、他の号も手に取る。

…おぉ。なんかいい感じだぞ。

まず、写真に惹かれた。
色合いがきれいだとか、センスが良いというよりも
被写体がみんなリラックスしているのだ。

知り合いに写真を撮ってもらう時のように、
表情や立ち姿がちょっとゆるい。
肩の力が抜け、無理にニッコリ笑っていない人も
ちらほら写っている。

へぇー。なんかいいなあ。
一気に親近感がわく。

被写体との距離が近くなったように感じられて
じゃあ記事も読んでみよう、という気持ちにさせられる。
それがいい、と思った。

企画はどうだろう。

「お坊さんのカレー」

む?なんでお坊さん?
なんでカレー?

お坊さんが腕を組んで、
ドカっと座った画のインパクトもすごい。
一見よく分からない分、
好奇心をくすぐられて、ぐんぐん引き込まれる。
早く先を読んでみたい、と思った。
新鮮な感動だった。

内容は鎌倉で仕事をしている人、住んでいる人に
スポットを当てて取材をしている。
観光名所が並んでいるだけの冊子ではない。

1歩踏み込んだ、
「編集部が知っている、見ている鎌倉のよさ」
を伝えようとしているのだ。

“鎌倉はただの観光地じゃない。
もっともっと、おもしろいコトがここにはあるよ。
だから、伝えたい。もっと知ってほしい“

作り手の「真っ直ぐな思い」が
ビシビシと伝わってくる。

本当に鎌倉が好きで、
鎌倉を知っている人たちが作っていて、
書いてあることは素直に伝えたいことなんだろう。

私も、知りたい、伝えたい。

ハッとした。

「…これだ。
 私がやりたいことって、こういうことだ」

26歳の春。
私はイベントの主催団体でもある、
「企画製作団体 chameleon」の仲間に入ることを決めた。

(つづく)

第3回 26歳の転機