もくじ
第1回たくさん遊んで、たくさんケンカした。 2017-05-16-Tue
第2回敬語とタメ語 2017-05-16-Tue
第3回恵介の覚悟 2017-05-16-Tue
第4回結婚式のスピーチ 2017-05-16-Tue

座っているときは小さく見えるそうですが、実際は身長189㎝。
立ち上がると驚かれます。
北海道という広大な土地で、のびのび育ちました。

ぼくの幼馴染

ぼくの幼馴染

担当・那須野達也

第3回 恵介の覚悟

ぼくは東京で、恵介は広島で、
お互い大学時代を過ごしていた土地で、就職をした。

そんな僕らの関係が変わったのは、2016年の夏。
ぼくが恵介に会いに、広島に行ったとき。

会うや否や、恵介はぼくに言った。
「来年、結婚するよ。結婚して、家を継ぐことにした。
地元に帰るよ。」

ぼくはとても驚いた。
結婚は、ぼくが「広島に行くから会おう」と連絡したときに、
恵介から、「ちょっと話たいことがあるし」
と言われていたことで、なんとなく予想はしていた。
だけど、家を継いで、地元に帰ることは予想外だった。

恵介の実家は、農業をしている。
ぼくの実家は、酪農と農業をしている。
二人にとって、実家を継ぐのか継がないのかというのは、
とても身近な、考えなくてはいけないことだったから、よく話した。
でもそのときの話は、
「いつか、継ぐのか、どうするのか、まあ、なんとかしないとねー」
という、遠い未来の話だった。
そんな遠い未来の話が、いきなり目の前に現れて、
ぼくは驚き、慌てた。

そんなぼくに対して、恵介はさらにこう言った。
「で、たっちゃんは、どうするの?
帰ってきたら、俺がいるよ。また一緒に遊べるよ。(笑)」

恵介は、テレを隠すために、冗談っぽく、そういった。
だけど、目は笑っていなかった。覚悟を決めた目をしていた。
ぼくは、すごく心を動かされた。
そのあと、はっきりとした答えを言えないまま、
二人で遊んで、お酒を飲んで、
くだらない話をしていたけど、
ぼくの心はずっとザワザワしたままだった。

そして、ザワザワした心のまま、日々が過ぎ、
ぼくのところに恵介から結婚式の招待状が届いた。
そして、スピーチの依頼も、一緒にされた。

ぼくは、覚悟を決めた幼馴染に向けて、
何を話せばいいんだろうか。

(つぎが、最後です)

第4回 結婚式のスピーチ