ーー自分の「アイデンティティ」はないの?
- 僕
- 「何でも屋さん」というのが、僕のアイデンティティなのかもしれません。
ーーなんでも屋さん?
- 僕
-
学生時代、家具や空間のデザインを学んでいたんです。
でも1年くらいで飽きちゃって、
ホームページのデザインを学ぶようになりました。
ーーそれでそれで?
- 僕
-
それからはプログラムもできたほうがいいと思って、
最低限の知識をつけて、ECサイトをつくって起業しました。
それが全ての始まりです。
しかし、ECサイトの運営はうまくいかず、
ホームページ制作の受託を受けつつ、
上京したんです。福岡から。
ーーへぇ、それからライター業に?
- 僕
-
はい。Twitterでとあるライターさんに出会ったことがきっかけでした。
一緒にお酒を飲んで、そのライターさんに人間性に惚れちゃったんです。
それからすぐプロフィールに「ライターやってます」
みたいなこと書いて、ウェブメディアへの寄稿を始めました。
ーーそれから2年。気づいたらライター業だけに絞っちゃったんだ。
- 僕
-
そうです。デザインもプログラムもほぼ独学なので、
最前線で闘い続けるにはスキルも経験も足りませんでした。
なんとなく「文章だったら続けられそう」
なんて、思っちゃったんだと思います。
ーーなるほど。実際に仕事を初めて
ある程度軌道に乗ったところで、悩みを抱えちゃったワケね。
- 僕
- はい。
ーーあのさ、
「仕事」と「趣味」を履き違えてない?
- 僕
- そんなつもりはありません。
ーー君が今抱えているものの背景には、
お金が動いているんだよ。
そんなワガママに付き合ってられるほど、社会は甘くない。
それに、同じような気持ちを抱えて生きている人はごまんといる。
- 僕
-
分かります、分かります。
だからこそ、これからも頑張ろうと思っています。
だけど内心「本当にこれでいいのか?」と思う自分がいて……。
ーーどうして?
- 僕
-
自分は決して、文章が上手なわけではない。
そして、話すことも聞き出すことも得意なわけでない。
そんな自分に自信が持てないから、
すべてが中途半端なんです。
ーーそれで、よくやってこれたね。
- 僕
-
「好きだから」です。
これまでは尊敬する人の書き方や考え方を真似してきました。
だから、本当の自分……たまに「アイデンティティ」とは何かを考えてしまい、
筆が止まることが多いんです。
ーーそれが”本当の”悩み?
- 僕
-
……ですかね。
夢中になれない理由は、
行き詰まりなのかもしれません。
ーーはいはい、よーく分かった!
(つづきます)