たとえば、何か相手の気に触るような言い方をして
ジャイ子を怒らせてしまったとき、「ごめんなさい」で
済むことはまずありません。
「何をごめんなさいと言ってるの?」
「どうしてそんなことを言ったの?」
「この反省を次にどう生かすの?」
と矢継ぎ早に質問が飛んできます。
相手が感情的になっていれば、「まあまあ」となだめたり、
少し距離を置いて、時間が解決するのを待てば良い
のですが、彼女は極めて冷静沈着。そんな変化球は
通用しません。
うまく言葉にできなくて、部屋を出ようとすると、
「逃げるの?今外に出たら、家に入れないから」
その場から離れることもできず、なぜ自分が悪いか、
今後どうするかをアクションレベルに落とし込み、
言語化した上でようやくその場から解放されます。
当初はジャイ子の、問題が起きたらその場で白黒
をつける姿勢は理解できませんでしたが、これは彼女
なりの夫婦関係を悪化させない方法論であることも
わかりました。
夫婦で何か価値観の違いや言い合いがあると、
お互いが距離を置いて冷戦状態が続いて1週間くらい
して、何事もなかったかのように、元の関係になる。
けれど、どちらかが「これは違う」と思ったまま日常を
過ごすことになるので、解決しているようで、根本は
解決していません。
また、何か違和感があっても、喧嘩をせず、口に
出さずに我慢してしまう。そうすると最初は小さかった
価値観のズレが、修正のきかないほど大きくなって
しまい、あるときにどちらかが我慢できなくなり爆発
してしまう。
こんな事が僕の周りでも起きているような気がします。
そう思うようになってからは、現実に向き合って反省
すべきところは反省しなければならない、と思うように
なりました。
そして喧嘩(といっても一方的にやられるだけですが)が
起きても大抵のことは、悪いのは僕なのです。それだけ
彼女の方が精神的にも大人です。
ここに書いたジャイ子像だけでは、冷徹な印象を持たれて
しまうかもしれませんが、普段は拍子抜けするほど
「チャーミング」です。
「わたし、明日からダイエットするわ!」と
365日中、100日くらい話かけてきます。
でも、糖質ゼロのビールを飲むくらいで、
一向にダイエットをする様子はありません。
次のようなやりとりも1週間に1度は起こります。
「ねぇ、わたし痩せたんちゃう?」
「体重計で計ったら事実として減ったかどうかわかる
からさ、体重計乗ってみたら?」
「そういうこと聞いてるんちゃうねん。もう屁こいて寝るわ」
と、ほんとに屁をこいてお風呂にはいって寝てしまいます。
※ 彼女と結婚するまで知りませんでしたが、大阪では
「屁こいて寝る」は男女問わず帰宅するときや就寝する
ときによく使われるようです。
そしてジャイ子は、ソファーでテレビを見ながら、
カーペットで寝転がって本を読みながらよく寝ます。
のび太並のスピードで眠りに落ちます。
「風邪引くよ〜」と声をかけると「あと5分」と
寝ぼけた声で反応しますがと声をかける度に、
「あと3分」「あと1分」と時間は短くなりますが、
状況は変わりません。無理やり起こそうとすると
途端に機嫌が悪くなるので、5回続けて起きない
ときは大体諦めてしまいますが。
言葉にすると、とても伝わりづらいのですが、
きっちりとした性格の中にも、ちょっと子どもの
ような愛らしい一面を持ち合わせており、
憎めない性格です。(つづきます)