- 糸井
- きのう、うちのラジオをやってて、
気休めをみんな悪く言いすぎる、
気休めで元気になったらもうそれでいい、
みたいなことを…… - 古賀
- そのとおりですね。
- 糸井
-
気休めの鬼をめざすって。
口からでまかせで言ってるんだけど、
結構そうだなと思って。僕は最近、主役が自分じゃないんだけど、
自分が苗を植えたような仕事が
増えてるんですね。 - 古賀
- そうですね。
- 糸井
- その実った米や果物をたべて
よろこんでいるひとがいる。
その循環をつくることで、
たんなるおもしろさから
飽きないおもしろさになったんですよ。 - 古賀
- それは、最初からそのよろこびを得ようと思って
やったことではないですよね。 - 糸井
- おおもとはね。
- 古賀
- おおもとは。
- 糸井
- 僕が時計職人の老人で、
近所の子供が「壊れちゃったんだ」という
時計を持ってきて「貸してごらん」と直してあげる。
それで「どうだ」って1回だけ言わせて、
というような。
その感じは、年を取っても残りますね。 - 古賀
- そうですね。
ライターだと、まずは編集者をびっくりさせたい、
というのがあるんですよね。
期待していなかった原稿に、
120点で返すときの「どうだ」という、
そういうよろこびはありますね。

- 糸井
- 何でしょうね。
あとは、僕のお通夜の席で
あの人が死んだ時に集まる人はたのしい人だ、
と思われたら、
どのくらい僕がたのしかったかわかりますよね。 - 古賀
- そうですね。うん。
- 糸井
- 最後まで触媒でありたいというか(笑)。
- 古賀
- そうかそうか。
結婚式は俺と奥さんが主役ですよね。
でもお通夜やお葬式は、俺はいないし、
君たちたのしんでくれ、となる。
それは全然違いますよね。 - 糸井
- そうですね。
僕は、お葬式用の写真をたえず更新してますから。

- 古賀
- (笑)
そうなんですか。 - 糸井
-
いま2枚候補があって、
きょう死ぬとどっちかになります。
ものすごいたのしみにしてるんです。
その未来に向かって、
きょうを生きてるんですよ、
たぶん。
それはなんかいいものですよ、なかなか(笑)。古賀さんも、
僕の歳になるまでの間が長いですから、
いっぱいおもしろいことありますよ。 - 古賀
- たのしみです。
- 糸井
- そう、たのしみにされるような、
おじさんでいたいですね。
(これで対談は終了です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!)
