やあ、いらっしゃい ― 中村好文さんと歩く、伊丹十三記念館

糸井重里が、松山の伊丹十三記念館を訪れました。設計のみならず、キュレーターとしても活躍した建築家の中村好文さんと、館長の玉置泰さんの案内で、じっくり、見て回ります。どうぞ、ごいっしょに。

第8回 企画展示室

伊丹十三記念館見取り図

企画展示室

伊丹十三記念館の第1回企画展示は、
映画『お葬式』でした。
現在は映画『マルサの女』の展示が行われています。
伊丹さんが税金の関係者に行ったインタビューの記録や、
実際に使われた小物や衣装、、
こだわって作られた通帳や名刺をはじめとする小道具など、
もう一度映画を見直したくなる、充実ぶりです。
海外で公開されたときのポスターや、
ゲームなどの関連商品も展示されています。

糸 井 これ、いいですね、このムード。
簾に、映像が映っていて、
その中に入っていくと、
その映画の企画展示が
あるというわけですね。
中 村 そうそう。
玉 置 最初の企画展示の『お葬式』の時に、
中村さんがこの簾を作ってくれて。
『お葬式』の映画の中に潜っていこうと。
中 村 映画のスクリーンの中に
入り込んでいく感じを出したかったんです。
最初の企画展示は僕が担当しました。
玉 置 今回の『マルサの女』は
伊丹さんの次男の万平さんと
学芸員の中野が担当しました。
糸 井 どのくらいの期間の展示なんですか。
中 村 『お葬式』が1年半ちょっとですかね。
玉 置 ただ、期間というよりも、
何人の人が見たかで考えています。
あの時は、6万人でした。
糸 井 この場所のこの大きさの記念館としては
すごく多いですよね。
玉 置 そうですね。
大がかりな宣伝をしたわけでもないし。
中 村 『お葬式』の時は、展示室の奥に、
原寸大のセットを組んで
その中に『お葬式』と
同じ葬式のしつらえをしてあったんですよ。
玉 置 ドーンと。
中 村 地元の葬儀社さんに頼んで、
映画をよく見てもらって、
まったく同じものを作ってもらったんですよ。
玉 置 開館前は学芸員もまだいなくて、
もう本当に中村さんに全部
力技でやっていただいたっていう、
そういう展示だったんです。

「マルサの女」のヒットで購入したという、スティーンベックの編集卓。
当時の最新機種で、日本に同型は2台しかなかったとか。

海外でも大ヒット。左が海外版のポスター。
(つづきます)
2009-10-15-THU
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コラム ようおいでたなもし、松山
  伊丹十三記念館のスタッフが、
記念館に来たついでによってもらいたい、
松山近辺の見どころや、おいしいもののお店を
ご紹介します。
第8回 砥部エリア

図版:トリバタケハルノブ