「ほぼ日」中年陸上部 マイナスからのランニング。
その20 ベイちゃん見事初フルサブ4!
シェフ なんと、ベイちゃんが
始めてのフルマラソンで
なんとサブ4(4時間切り)を達成しました!
べっかむ3 完走するだけでもすごいのに。
いきなりサブ4なんて!
西本 3時間56分31秒!
シェフ えっ。3時間47分30秒じゃなかったっけ?
西本 あれはスタート位置から計測したネットタイム。
ランナーの世界ではピストルが鳴った瞬間からの
グロスタイムを正式なタイムとするんです。
だから、このサブ4は本当に価値があります!
9分のスタートロスをものともせず、
本当の意味でのサブ4を達成したベイちゃんに
改めて拍手です!
べっかむ3 われわれも36km地点に陣取り、
ベイちゃんだけでなく、
いろんなランナーに声援を送りましたね!
シェフ 市民ランナーに知り合いはいないし、
有名ランナーのことも知らないから、
ずっとベイちゃんが来るのを待っているのは
退屈かもなと思っていたけど、
これが意外と面白かった!
べっかむ3 ぼくらの声援にランナーも
コールアンドレスポンスのように応えてくれたしね。
シェフ ぼくが書いた「折れない心。」のノボリにたいして
ランナーから「ありがとう!」って
逆にお礼を言われちゃったり。
べっかむ3 あの藤原新選手も走りながら、
ぼくらのノボリをじっとみつめてたしね。
西本 ぼくらの前を通り過ぎるときに
ノボリをみて、
胸を拳で叩いてかかげる人も
何人もいましたよ。
シェフ 「オレてな〜い!」って
長州小力っぽく走り抜ける人も‥‥。
べっかむ3 初めて生で観たんだけど、
本当に楽しかったね。
家からすぐ近くがコースだったのに
これまで来なかったのが
もったいなかった。
西本 べっかむ3、もっと早く来てくれればいいのに(笑)。
ベイちゃんからも絶対見つかるポジションを
キープするために朝9時から
佃大橋で待ってたんですから。
べっかむ3 ごめんごめん、ノボリの準備に
手間取っちゃってね。
急いで佃大橋についたらさ、
それでもまだ時間が早すぎて
橋の上には人が二人しかいないじゃない。
そのうちの一人がにしもっちゃんで
もうひとりが制服警官。
しかも、にしもっちゃんを尋問中(笑)!
西本 ボストンマラソンのテロがあったせいで
今年は警備が厳重だったようですよ。
シェフ だってさ、ランナーが都庁をスタートする朝9時に
36km地点に大荷物をかかえて陣取っているやつって
それは怪しいに決まってるよ!
西本 たしかに‥‥。
一眼レフに望遠レンズをとりつけ、
大型スピーカーをセッティング。
ベイちゃんのスペシャルドリンクの
コーラの封をあけ炭酸を抜きながら
脚立に座り、さかんにスマートフォンをチェックしている
中年男がひとりでいたら、
それは職務質問しないほうが警官として節穴だよね。
   
4ヶ月でサブ4。その仕上げのトレーニング。
シェフ それにしても、
ホントにLSDだけでサブ4(4時間切り)
を達成できるんだね。
西本 サブ4って高嶺の花のように思われてるけど
そんなに難しいものじゃないんです。
ただ、前提として、
体重をきっちり落とすことが大事です。
この4ヶ月でベイちゃんは
LSDで脂肪を燃やし、
6kg体重を落としたんですよ。
6kgといえば、
1.5リットルのペットボトル4本分。
これだけ身体が軽くなれば、
追い込んだトレーニングなんかしなくても
背中に羽が生えたような走りになります。
シェフ やっぱ、問題は体重か‥‥。
ぼくとベイちゃん、現在の体重で
15kgくらいちがうもんな。
西本 ゼーゼーハーハー追い込むより
贅肉を削ったほうが断然、楽に走れますって。
べっかむ3 でもさ、4ヶ月でホントにサブ4ができるとは
ちょっと驚いた。
西本 直前の水曜日にベイちゃんと
最終ポイント練習をやったんですよ。
4kmゆっくり走って身体をあったためてから
ぼくがペースメーカーになって
4kmを、1km5分30秒ペースから始めて、
徐々にペースをあげていき、
ベイちゃんの限界が来たのが1km4分ペース。
シェフ 1km4分! そりゃ速い。
西本 一人ではここまで追い込めないですからね。
ベイちゃんの限界を引き出しましたよ。
そして、7kmをゆっくり走って、
心肺だけでなく、
身体全体に刺激をいれました。
べっかむ3 「重い脚を作る」ためとはいえ、
レース直前にそこまで追い込むんだね。
西本 重い脚も目的なんですが、
肝心なのはペース設定です。
ベイちゃんにはフルマラソンを5分30秒を
基準にして走ってもらおうと思いました。
このタイムをキープするだけで
十分、サブ4は狙えるタイム。
さらに終盤ペースアップができるように
5分30秒からさらに3段階ギアチェンジできる
身体の動きを覚えておいてもらったんです。
シェフ 36km地点でのベイちゃんは
周囲とは全然違うペースだったもん。
印象としてぴょんぴょん跳ねながら
楽しそうに走ってた。
あれはギアチェンジしたばかりだったんだ。
西本 ちょうど、ぼくらの前で
サブ4のペースメーカーを抜いていったんですよ。
36km以降はほとんどのランナーがペースダウンするなか、
ベイちゃんはどんどんペースアップしていったはず。
本人は相当気持ちよかったはずですよ。
べっかむ3 確かに。
「42.195km。全然きつくなかったです!
 前半、抑えたから筋肉痛もほとんどありません!」
って翌日も笑顔だったしね。
西本 今回はシナリオ通りに走れましたからね。
ベイちゃんに話していたシナリオはこんな感じ。
<ベイちゃんサブ4へのシナリオ>

●スタート前
スタートエリアは後方だけど、なるべく前に並びたい。
スタートエリア誘導が始まったらすぐにスタートエリア。
会場についたらすぐに荷物をあずけ、
すぐに捨てられるレインコートを着て寒さをしのぐ。
レインコートはスタートしてから
係員に渡せば捨ててくれる。

●スタート
2週にわたっての大雪で、
ほとんどの関東近郊のランナーは
直前2週間はあまり走れていない。
つまり、みんな身体が軽くしあがっている(はず)。
スタートからほとんどのランナーが
オーバーペースで走りがち。
周囲に流されずに
冷静に前半の設定ペース5分30秒をキープ。

●5km〜10km
そろそろ身体のあったまってきた
ランナーがペースアップ。
先行するランナーには
「お先にどうぞ、38km地点でつかまえてやるぞ」
と思いながら5分30秒ペースを維持。

●10km〜30km
沿道の声援にも舞い上がることなく、
ファインプレー後のイチローのように冷静に。
10km毎にジェルを補給。

●30km〜35km
これからのペースアップに備えて
痛みなどがないか身体を総チェック。
これまでのフォームよりも
身体を大きく動かし、筋肉に刺激をいれて
ペースアップの準備をしながら佃大橋へ。

●36km
佃大橋を登り切ったら36km地点。
「折れない心」のノボリを目印にして
スペシャルドリンク
(炭酸を抜いておいたコーラ)をうけとり、
佃大橋の下りを利用して一気にペースアップ。

●38〜42km
遠く前方を走るランナーを目標物にして
それに追いつき、追い越すイメージで走り抜ける。
この区間内で最速ラップを計測できるように
さらにもう一段ギアをあげる。
たぶん、1km4分50秒くらいまでいけるはず。

●42km〜42.195km
フォームがバラバラになってもいいから
全力疾走で!
シェフ 意外と細かいな。
西本 もっと細かい裏ワザもあります。
「きつくなってきたら、沿道の声援に
 『ありがとうございます!』と
 腹から声をだして応え、
 周囲からさらなる声援をうけながら
 腹筋に力を入れてフォームを正す」。
シェフ うわー。
西本 「終盤にペースダウンしそうになったら、
 周囲のランナーに
 『ここ、踏ん張りどころです!』
 『残り2kmです!』などと声をかけ
 周囲を巻き込み、お互い檄をかけあいながら、
 一団となってゴールを目指せ」
‥‥そんな高等テクまで教えました。
べっかむ3 そりゃ、どんな教則本にも載ってない裏ワザだね‥‥。
西本 あとね、
「脚がつりそうになるのはカリウム不足のサイン。
 顔や腕についた汗をなめるとおさまる」
ってのもあります。
じっさいベイちゃん、
川崎の30kmを走った時に脚をつったのは
カリウム不足も原因だったようなんですよ。
シェフ でも、そりゃ、ちょっとヤだな‥‥。
西本 だから20km以降の各エイドでは
カリウムを補えるバナナの補給を
欠かさなかったそうです。
いい判断です。
   
やっぱり出たいな。東京マラソン。
西本 毎年、あの36km地点で応援してるんですけど、
今年の東京マラソンは出たかったなあー。
シェフ 応援の最中もずっと言ってたよね。
「ほんとは、観るもんじゃないよ。走るもんだよ」って。
西本 だってさ、今年の東京マラソン、
天気が最高だったんですよ。
べっかむ3 そうかな。ずっと曇りだったし、
かなり寒かったよ?
西本 それがいいんですよ。
ベイちゃんも好記録でしたけど、
大会記録も更新されましたし、
サブ10とよばれる
2時間10分を切る日本人ランナーが
5人も出ましたからね。
うらやましかったです!
シェフ ベイちゃんはこれからも走るんだろうか?
西本 走るのは習慣になったようですから
このまま週4〜5日は走り続けて
秋にフルマラソンを走るといいんじゃないですかね。
とりあえずは今回のネットタイム、
「3時間47分30秒」をグロスタイムで
切ることを目標にするといいかもしれないですね。
シェフ それにしても仮装ランナーは
楽しそうだったよね。
気づいたんだけどさ、
やたら、女装の人が多く無かった?
西本 確かに!
ちょっとクオリティ低めの女装が多いですね。
べっかむ3 メイクしてるわけでもないしね。
西本 ま、クオリティーが高過ぎると
女性ランナーに間違われてしまう
おそれもありますしね。
そうだ、武井さんも来年は懐かしい「ブス女子高生」の仮装で
走ってくださいよ。
シェフ うわっ! 2001年って!
13年前の画像引っ張りだしてくるなよ〜!
これはプロのメイクさんによるものだから
けっこうクオリティが高いな。
べっかむ3 たしかにこの人が走ってきたら
かなり凄いかもね。
西本 テレビにうつりますよ。
シェフ けっこうです。
でも、寒いから表は走ってないんだけど
ジムで地道に走ってます。
今回の教訓は、ちゃんと走れてるランナーに
自分のような体形の人は
いなかった‥‥ということだね。
そこからなんとかせねばなあ。
べっかむ3 というところで中年陸上部、
これからどこへ行く?
西本 ロッテルダムに行きます!
ふたり えええええええええっ!!!
西本 僕だけですけどね‥‥。
つまり、旅とマラソンが次のテーマです。

(つづきます)
2014-03-12-WED
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