あのひとの本棚。
「ほぼ日」ではときどき糸井重里が「あの本が面白かった!」とか
「これ、読んどくといいよ」と、本のオススメをしていますが、
これを「ほぼ日」まわりの、本好きな人にも聞いてみようと思いました。
テーマはおまかせ。
ひとりのかたに、1日1冊、合計5冊の本を紹介していただきます。
ちょっと活字がほしいなあというとき、どうぞのぞいてみてください。
オススメしたがりの個性ゆたかな司書がいる
ミニ図書館みたいになったらいいなあと思います。
     
第1回 清水ミチコさんの本棚。
   
  テーマ「もう一冊買った本」  
ゲストの近況はこちら
 
キザに聞こえるかもしれないけど、
僕やっぱり、人が好きなんですね。
だから読む本は、自伝とかインタビューものがほとんど。
いろいろな人生を読んで、教わりたいんです。
「ああ、そういうふうに考えるのか、すごいなぁ」って。
たいせつなことを「僕に教えてくれた5冊」、
紹介します。
   
 
  『王様と私』
ハーバート・ブレスリン + アン・ミジェット
             
           
 
 
   
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『王様と私』 ハーバート・ブレスリン + アン・ミジェット 集英社/2940円(税込)

三大テノールのひとり、パヴァロッティの
元マネージャーが書いた本で、なんていうんでしょう‥‥
「すっごく愛のある暴露本」みたいな一冊なんです。
マネージャーがパヴァロッティに
振り回されるエピソードもたくさん載っています。
食べものがおいしくない国には行かないとか、
開演5分前に愛人とケンカして衣装のまんまで
ニューヨークの繁華街に飛び出したとか‥‥。
でも、このマネージャーは、
パヴァロッティの声に惚れ込んでいるんですよ。
はじめて聴いたとき「この声はなんだ」と震えたって。
無名だったパヴァロッティに惚れ込んで、
野外コンサートをやったり、シナトラの歌を歌ったり、
いろんなことを企画して、成功して、有名になっていく。
それにあわせてパヴァロッティがだんだんわがままに、
もう、とーんでもなく贅沢になっていく‥‥。
そういう過程がぜんぶ書いてあるんです。
これって、恋愛の話みたいでしょ?
お互いに好き好き! っていう熱烈な時期があって、
やがて倦怠期がきて、ケンカして別れちゃって。
でも今でも応援してる‥‥みたいな。
これ、まさしくそういう本なんですよ。
最終的には別れちゃってるんですけど、でも、
マネージャーとタレントの理想的な関係を考える上で
教わることがいっぱいあった一冊です。

   
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『マストロヤンニ自伝 わが映画人生を語る』 マルチェロ・マストロヤンニ 小学館/3200円(税込)

マストロヤンニ、好きなんですよ。
どうしようもないダメな男を演じたりするんだけど
マストロヤンニが演じるダメ男は、
どこか、こう、品があって素敵なんです。
この本では、そんなマルチェロ・マストロヤンニの
芸術家としての人生と、ひとりの人間として生きる術が
穏やかに控えめに語られています。
自伝というより、発言を書き起こした一冊ですね。
僕がこの本から教わったのは‥‥
「遊びなんだからさ」っていうことかな。
本から伝わってくるんですよ、
「演じるのが楽しくてしょうがない」っていう気持ちが。
なにしろイタリア人でしょ? 明るいんです。
「芝居とは芸術であって、うんぬん‥‥」とか、
「人生は、虚しい‥‥」っていうようなね、
そっちの方向にいかないのがとても素敵だと思いました。
この人、恋もいっぱいしているし。
「俳優っていうのは楽しむためにある仕事で、
 楽しく遊んでお金までもらえるんです。
 そのうえみんなに拍手だってしていただける」
みたいなことを言ってて‥‥かっこいいですよね。
でもそのあとに、
「もちろん最低限の才能は必要ですよ」
っていうような厳しいこともちゃんと書いてある。
「遊ぶ」っていうことの大切さとかっこよさを
あらためて教わった一冊です。

   
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『ウディ・アレン 映画の中の人生』 リチャード・シッケル エスクァイア マガジン ジャパン/2100円(税込)

18くらいのときに劇場の鑑賞券をもらって、
ウディ・アレンって人の映画をはじめて観たんです。
そしたら、ひっくり返っちゃった。面白くて。
『ボギー!俺も男だ』って映画だったんですけど、
こんなに正直なコメディアンがいるんだぁと思って。
もう、大好きになりましたね。
こういうすごい人をみると僕、考えちゃうんですよ、
いったい頭の中はどうなってるんだろ? って。
この本はインタビュー集で、ウディ・アレンが
自分の映画について語っているんですけど、
彼がどんなことを思って映画をつくっていたのか、
それがみんな書いてあるんです。
教わりましたねえ‥‥教わりました。
とくに、人間みんな、幸せの量はだいたい同じってこと。
ならしてみればチャラっていうんでしょうか。
「あ、この人はお金がない。
 でもこの人、家ではお父さんとして慕われてる。
 一方こっちの人はお金があるけど家で慕われてない。
 うーん‥‥同じだ」って。
プラスのことがあればその分どこかにマイナスがあって、
逆にマイナスがあればプラスがどこかにあるわけだから、
マイナス=不幸ではないってことでしょ。
ならしてみれば、みんな同じ。
この本を読んでから、
「あいつのほうが恵まれてるな」とか
「いいな、あいつ」とか
そういうことは思わなくなりました。

 
 
みなさんもちろんご存知のように、
テレビやラジオで大活躍の小堺一機さん。
大忙しのスケジュールのはずなのに、
質の高い舞台に取り組まれていることも、有名ですよね。

夏から秋にかけて、
小堺さんはふたつのステージに出演されます。

まずはこちら、
22回目になる大人気シリーズの最新作をご案内。

小堺クンのおすましでSHOW22
『スウィングしなけりゃ意味がナイ』

出演/小堺一機 松尾伴内
   川本 成(あさりど)堀口文宏(あさりど)
   伽代子(欽ちゃん劇団) 他
日程/8月17日(金)〜26日(日)

お芝居、生演奏、そして絶妙なトーク。
エンターティナー・小堺さんの魅力を
心ゆくまで堪能できるサービス満点のステージです。
「たいへんでしょう?ってよく言われるんですけど、
 好きですからキツイなんて思ったことないんですよ。
 もう、たのしくてたのしくて。
 上演時間が4時間になったりするんで、
 逆にお客さんがたいへんだな〜って思います(笑)」
と、小堺さん。
時間をみつけては、舞台で披露する
トロンボーンの練習をしているそうですよ。

※チケットの入手方法など、詳しくはこちらでどうぞ。

そして秋にはミュージカルが。

『THE TAP GUY』

出演/小堺一機 玉野和紀 HIDEBOH
   剱持たまき tekkan 蘭香レア 秋山エリサ
   小寺利光 加賀谷一肇
日程/10月17日(水)〜28日(日)

伝説のタップダンサーとそのマネージャーを中心に、
アメリカのShowmanたちが生きた時代を
きらびやかにつづるオリジナルミュージカル。
タップダンサーとしての小堺一機さんを
たっぷりとお楽しみいただけます!

※チケットの入手方法など、詳しくはこちらから。

 
 
   
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2007-08-09-THU
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