あのひとの本棚。
     
第1回 清水ミチコさんの本棚。
   
   
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今回、僕が紹介するのは
「自分の中のおもしろさをつくってくれた5冊」。
「おもしろい」ということの意味を、
はっと気づかせてくれた5冊を紹介します。
   
 
  『棒がいっぽん』
高野文子
  『はれた日は
学校をやすんで』
西原理恵子
  『こさめちゃん』
小田扉
  『21世紀のあくび
指南』
立川志の輔・
玄侑宗久
  『ゲームの話を
しよう』
永田泰大
 
        #akubi    
 
       
 
 

作品のカラーは両極端なのですが
女性マンガ家さんで大好きなのが
西原さんと高野さんなんです。
普通に生活をしていると、マンガとかCDとか
テレビや雑誌で紹介されている、いわゆる
「売れている」ものを買うじゃないですか。
でも、「なんか違うな」「ちょっとだけ納得いかないな」
と、思っていた自分がいたんですね。
高野さんの『棒がいっぽん』も含め
ここで紹介したものは全て、
その「なんか違うな」を解消してくれた作品ばかりなんです。
世間一般の「おもしろさ」と、
自分の中の「おもしろさ」の違いに
目をつぶってしまっていたことに、
気づくきっかけを作ってくれました。
アングラでもない、サブカルでもない、
メジャーとかマイナーとかインディーズを
超越しているようなおもしろさ。
そういうところに
自分の「おもしろい」があったことを
気がつかせてくれた。
そんな大事な本です。

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西原さんのマンガを読むと
「う〜ん。
 どうしてこういうことをマンガにできるんだろう」
といつも唸らされます。
人にはいろいろ理由があるという、
単純にわりきれない部分を表現できる人って
あまりいない思うんです。
西原さんは、そういうことを
のほほんとやっているようにみせることができる
数少ないマンガ家さんだと思います。

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この本、持ってこようか迷ったんですが……。
著者の鴨志田さんは、言わずもがなですが
西原さんの旦那さんです。
この本は、アル中の主人公と別れた元妻と子どもたちの
優しい時間が描かれた私小説です。
これを読むと、
西原さんが、私マンガとして描いている視点と
鴨志田さんが、私小説として描いている視点の二つが見えて
より深く、西原さんがどんな人なのかが伝わってきます。
ほんとのことを二人とも描いているわけですが、
西原さんがギャグに転化してる部分を
鴨志田さんは包み隠さず、そのまま書いていて、
西原さんの本だけ読んでいると
どこからが本気で、どこからがギャグなのかが
分からないんですけれど、
これを読むとどういう状況でギャグマンガを描いていたのかが
よくわかります。
ものすごくかっこいいなあと思うんですね。

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『団地ともお』で有名な小田扉さんの
初期の短編を集めた作品集です。
ギャグマンガなんだけれど
ちょっとした悲しさがあったり、
くすりと笑わされたあとに、しんみりさせられたり。
巷では、若者が描く残酷なマンガが、
現在のリアルを写しているとか言われることが多いですが
実はこういうものがリアルなんじゃないかと。
まぬけなんだけどすごく悲しい。
でも表情には悲しさがでていない。
僕の感じるリアルはこの中にあります。
他にはいないなぁ、と感じるマンガ家さんです。
そして、この『こさめちゃん』は
次に紹介する西原理恵子さんの
『はれた日は学校をやすんで』に
通じるものがあるような気がします。

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僧侶の玄侑宗久さんと落語家の立川志の輔が
「茶の湯」や「寿限無」など
落語の代表的な演目のあらすじの紹介と
各演目についての対談という形で解説してくれる
落語の本当の面白さを教えてくれる本です。
僕は元々、枝雀さんの落語が好きで
よく聴いていたのですが
この本のおかげで、落語がもっと身近なものになりました。
こういう歴史の背景があって、
こういう成り立ちでこの演目ができた
というよくある解説本じゃなくて、
「現在の感覚」で語られているところに
ぐっと引き込まれます。
むずかしい話かとおもいきや、
分かりやすく落語をひも解いてくれています。
落語を身近に感じさせてくれると同時に
落語のスタンスってかっこいいなぁ、
と思わせてくれる本です。

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この本のおかげで、どっぷりゲーム漬けの毎日です。
シリーズ3冊、すべてくりかえし読みました。
僕が小学生の頃、
世の中はスーパーファミコンがブームだったのに
まちがってPCエンジンを買ってしまって(笑)、
思いっきり、ゲームの波に乗り遅れたんです。
そこから、ゲームは自分にとって
「嫌いなもの」になりました。
月日がたって、大人になり、
たまたまふらりと入った本屋さんで
糸井さんが帯を書いていらっしゃる本を見つけて。
著者の「永田泰大」さんて、
もしかしてテレコマンの永田さんかな?
と、この本を手にとりました。
ゲームクリエイターの方の悩みや思い、
編集者の方のぼやきなど
ほぼ雑談しているだけなんですが、
何故か胸にぐーっと伝わってくるものがあって
すごく面白くて、ゲームへの嫌悪感が
まったくなくなりました。
この本がきっかけで、
色んなゲームをやりたいと思うようになりました。
ゲームをやってみては、またこの本を読む。
そしてまたゲームに戻る。
それが楽しくてしょうがないです。

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大人計画事務所所属の俳優であり、
ストレンジ・インストゥルメンタル・バンド
SAKEROCKのリーダーでギターの星野源さん。
ドラマに、文筆業に、バンド活動にと大活躍中です。

お知らせしたいことがたくさんあるのですが
まずはドラマの情報から。

ただいまテレビ東京系で
毎週日曜26時30分から放送中のドラマ
『去年ルノアールで』に主演、
そして日本テレビ系で毎週火曜日夜10時から放送中のドラマ
『探偵学園Q』にもレギューラー出演中です。
また、同じ日本テレビ系で毎週土曜日24時50分から放送中の
ピエール瀧さん主演のドラマ、
『おじいさん先生』の音楽をSAKEROCKが担当しています。

文筆業の方では
カメラマン平野多呂さんと共作で発売されたCDブック
『ばらばら』が大好評です。

そして、昨年末に発表されたアルバム
『Songs of Instrumental』の発売を記念して行われたツアーが
DVDとなって、7月25日発売されました。
『ぐうぜんのきろく2』
2枚組、合計約222分の大作となっております。



昨年、渋谷クラブクアトロで行われた
「どっちを向いても宇宙ツアー」の模様と
今年2月に恵比寿のリキッドルームで行われた
「フォーフレッシュメン・ツアー」ファイナルの模様を
ぎゅっと詰め込んだライブDISCと、
全国7都市を駆け回った「フォーフレッシュメン・ツアー」を
完全密着したドキュメンタリーDISCに加えて
ほぼ日でも期間限定で配信をした
タムくんことウィスット・ポンニミットさん監督の
「インストバンド」のミュージックビデオや
SAKEROCKメンバー自身による
オーディオコメンタリーなどのおまけがついた
お腹いっぱいの内容となっています。

『ぐうぜんのきろく2』より少しずつではございますが
とっておきの映像を日替わりでお届けします。
それでは、どうぞお楽しみください。

 
 
2007-07-28-SAT
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