耳で聴くほぼ日の怪談・その3

「誰かが居る」

友人から聞いた話です。

友人の友人がひとり暮らしをするので
部屋を探していました。
みつけた物件は駅近・家賃安・広いと
3拍子そろった、とても良い部屋でした。
周りの人が、「絶対オバケとか出る!」
と言うくらいの好条件でした。

しばらくは何もなく過ごしていたそうですが
妙な気配を感じるようになり、
金縛りにあうなどして、
その人は部屋には居られなくなりました。

友人とその友人は、
部屋の持ち主といっしょに、
霊能力者に話を聞いてもらうことにしました。

すると霊能力者は、

「例の部屋を頭に浮かべて‥‥。
 家の玄関から入って家中の窓を開けていって」

と、まず言ったそうです。

その部屋の持ち主と、友人ふたりは
頭の中で例の部屋の窓という窓を開けていきました。

「では、いったん外に出て今度は窓を閉めていって」

「もう1度、開けていって」

「閉めて」

数回繰り返したのちに、霊能力者は、
友人ふたりに対して

「家の中で誰かに会いましたか?
 例えば家の持ち主や、
 友人や動物などの生き物に」

と聞きました。

友人ふたりは、

「いいえ。誰にも会いませんでした。」

と答えました。霊能力者は、

「誰かに会うということはそこに無意識のうちに
 誰かが“居る”ということを感じているのです。
 例えばキッチンに母親がいたと感じたら
 そこには“何か”います」

さてそこで、その部屋の持ち主に同じことを聞くと‥‥

「いえ、家の中には誰もいませんでした。
 でもベランダの窓を開けたら
 外に子どもがギッシリいて
 こっちを向いていました」

(匿名)

朗読版はこちら。
※音声の公開期間は終了しました。

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  • 誰かが居る (ほぼ日の怪談2004 より)

  • 協力:アクセント(笹森亜希 小林かつのり)
    エンジニア:内田伸弥
2012-09-07-FRI