怪・その45

「伝えたい父」



怪談というより不思議な話です。

今年の1月の末に、父が他界しました。

父の病状が悪化し、
入院してから2週間ほど経ったある日、
昼寝をしていた私の夢に父が出てきました。

父が妹にむかって
「白米を炊いてくれ」と言うのです。

起きてからそのことを母と妹に話すと、
「お父さんずっとごはん食べてないから
食べたいのかもね。」
とみんなで納得していました。

その日の夕方に病院から連絡があり、
血圧が下がっているので
もうすぐかもしれないとのことで、
みんなで父のもとへ駆けつけ
最後に父の顔を見て別れることができました。

その後、葬儀屋さんを呼び
父を家へ連れ帰ると、葬儀屋さんから
「枕元にお茶碗一杯の白米をご用意ください」
と言われ、私は父が言っていたのは
このことだったのか! と思いつつ、
父に謝りました。

なぜならご飯を炊かなかったからです。
あの時炊いておけば‥‥と思いつつ
親戚にご飯を持ってきてもらい、
お供えしました。

普段から真面目で用意の良い父なので、
白米を炊いておいてというお願いは
とても父らしいと思いました。

その日の夜、また夢に父が出てきました。

父は葬儀屋さんに連れてこられたまま
布団に横になっていたのですが、
じっと見ていると身動きをし始め、
こちらを向いて目を開けました。

私がすかさず
「お父さん! もうおやすみだよ!」と言うと、
父は「あぁ、そうか。」と言い
元の状態へ戻り動かなくなりました。

病院では痛み止めを点滴され
気持ちよさそうに寝ていて、
眠ったまま生命を終えたので
まだ実感がなかったのかもしれません。

後に出てきた妹の夢では、
辞書のような本を差し、
「これを読むと良いよ。」と
妹と握手をしたそうです。
博識な父らしいと思いました。

また何か伝えたいことがあるなら
夢に出てきてほしいです。
(さとう)

こわいね!
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