怪・その34
「大好きな時代劇」
つい先日の事です。
早朝、1階に降りていくと
暗いリビングのテレビがついており、
時代劇が流れていました。
どうせ母が消し忘れたのだろうと、
寝ぼけ眼にいつもの通販番組に変え、
朝の支度をし始めました。
起きてきた母にテレビの事を言うと
「つけてない」とのこと。
その瞬間、
父だ(笑)
と笑いが込み上げてきました。
前日、ちょろっと墓参りに行った時に
一緒に帰ったのかもしれない。
数日前もお盆で帰ってたはずなのに、
また来てゆっくり大好きな時代劇を
見てたのかもしれない。
なのに、寝ぼけた私が
無情に通販番組に変えちゃったので、
父は時代劇の醍醐味の最後の
おいしいところを見られなかっただろう。
「おいー」とツッこんでたんじゃないだろうか。
ちょっとかわいそうなことをしたな、
と思いつつ、コントみたいな話に笑えた。
今度は変えないからゆっくり見ていいよ、
父ちゃん。
(N)