怪・その31

「お風呂の窓を」



私が小学校の低学年の頃に体験した話です。

私は鳶職をしていた祖父が建てた家に住んでいました。
仕事柄、家に帰って汚れをすぐ落とせるように、
玄関を入ると右手側に脱衣場とお風呂がある家でした。

そのお風呂は玄関に面して
大きな磨りガラスの窓があり、
植え込みを隔てて
お風呂と平行に玄関に向かう下り階段がありました。

その夜も私はひとりでお風呂にはいり、
湯船で歌を歌いながら暖まっていましたが、

突然

バンバンバンバンバンッ

とものすごく大きな音が窓から聞こえ、
とても驚きました。

私は、帰ってきた叔父が
イタズラで窓を叩いたのだと思い
大声で文句を言いましたが、返事は返ってきません。

お風呂をでて居間にいた家族に文句を言うと、
叔父は部屋から一歩も出ておらず、
帰宅した人もいませんし
窓を叩く音も誰ひとり聞いていないと言います。

母には、
何をひとりで騒いでいたのかと怒られるし、
散々でした。

お風呂の窓は大きな磨りガラスです。
窓の外は植え込みなので、
叩くには多少無理な体勢をとることになります。

驚いたもののすぐ窓を見たのに、
窓を叩く手や影は見えませんでした。
思い返してみても窓は真っ暗で
何かが動く気配もなかったと思います。

あの時、何が窓を叩いたのでしょうか…、
あんなに大きな音が私にしか聞こえていないなんて…、
今でも不思議で、少し怖くなるのです。
(猫屋)

こわいね!
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2022-08-24-WED