怪・その18

「ずっとついてくる」



これは友人が体験したお話です。

友人がまだ幼い頃のこと。

家族と夜、車に乗って移動中、
田舎の暗い道を走っているとき、
退屈で外を見ていたそうです。

けれど見えるものといえば
山、山、山。
月明かりで照らされてはいても
山々はその形通りに
もっと黒く見えていて。

ふと気付くと
少し離れた山の中に、
白い服をきた女の人が
直立のポーズのまま、

スーッと、

自分たちの車と並走するのが
見えたそうです。

山のその位置に道があるかどうかも
わからない、
木も沢山あるし、

高い山もあれば谷もあるのに、
山の形に沿うように、
その人は進む。

手足を動かして走っている様子ではない。

立ったまま車と同じスピードで
ずっとついてくる。

そんなスピードで
人が進めるのがおかしい。

暗いのに
その人だけ白く光っていて、
こちらからは横顔が見える。

幼いながらも変だと思い、
親に言って、
親がその方向を見ても
気付いて貰えなかったと。

しばらく並走されて
車の通る道が
山から離れるように
分かれたところで、
その人は見えなくなったそうです。

何十年たって思い出しても、
その体験は怖いということでした。

(k)

こわいね!
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2021-08-13-FRI