怪・その22
「歩道のあるトンネル」
自宅近くに、1600メートルある、
わりと長い暗いトンネルがあります。
夕方近く、子どもを車に乗せて
帰路にそのトンネルを通ってました。
トンネル内に歩道があるにはあるのですが、
あまり人が通っているのは
見たことがありませんでした。
しかしその日、トンネルの中で、
ヘルメットを持った男性が
向こうから歩いてきていました。
「へえー、珍しいな。
バイクが故障でもしたのかな」
と思い、
その人を通りすがりに見ると、
その人も私を見つめてきました。
通り過ぎて、
あまりにも見つめられたので、
「知ってる人だったかな」
と思い、
バックミラーで見てみると、
誰もいません。
その瞬間ゾッとして、
吐き気に襲われました。
後部座席にいた子どもたちは、
誰もいなかった、と言いました。
(L)