怪・その21
「屋根の上の爆音」
私の心に残っている怪談といえば、
母が経験した話です。
母は、戦争の最中、
福島から札幌に嫁いで来ました。
父はすぐに召集され、
祖母と叔母と3人で暮らす毎日だったそうです。
父の弟は既に海軍に入っていて、
そこで偵察機のパイロットをしていたそうです。
ある日、海上を偵察にいった彼は
米軍の船と飛行機を発見。
逃げる事は間に合わず、
そのまま戦いましたが
飛行機が銃弾を浴び、
もはやこれまでと
米軍の母艦の煙突に突っ込んで
亡くなったそうです。
その日その時間、
3人で家にいた母は、
ものすごい音が屋根の上で聞こえ、
みんなで飛び出して屋根を見ましたが、
何事もなく、
いったいなんだったのか、と思ったそうです。
叔父が祖母に
自分の死を知らせたんだとわかったのは、
後々のことだったそうです。
(y)