おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson1102
もうハッピーエンドしかいらないと思う私は
年取ったのだろうか?

気づいたのは、
今年の年明けぐらいだったと思う。

連続ドラマを見ていて、

来週放送の、つづきが心配で、心配で、心配で、
いてもたってもおられず、
心の中でこう祈っていた。

「ハッピーエンドになりますように!」

「たとえドラマ的に、
つまらなくなったとしてもかまわないから、
主人公の2人に、これ以上、
悪いことが起きませんように、
どうか2人が幸せになりますように!」

えっ?!

そんな自分に、おどろき、あきれた。

“つまらなくてもいい” って、
だったら何のためにドラマを見るの?

昔は、そんなハッピーエンドに
こだわってなかったろう、私?

その後も、どんどんエスカレートしているようで、

主人公がツライ思いをしているのを見たくなくて、
しんどいシーンを飛ばしたくなる。

この先ツライ展開だな、とわかると、
途中で見るのを離脱したくなる。

主人公がツライ目にあいそうなドラマを
あらかじめ避けたくなる。

「もうハッピーエンドしかいらないと思う私は
年取ったのだろうか?」

まだ答えは見つかっていない。

けど、ここまで考えた、というのはある。

いちがいには言えないんだけど、
私の場合、50歳ぐらいを境に
現実のほうがドラマよりずっと厳しく感じるようになった。

葬式ひとつをとっても、
おばあちゃん、おじいちゃんの世代に起こる
酷く悲しいことだったのが、

やがて、おじちゃん、おばちゃん、
親の世代にきて、

つぎは、いとこや、同級生など、
自分たちの世代に‥‥、というように、

老いや死が、どんどんリアルになってくる。

せめてドラマでは現実の苦しみから逃れたい、
そう思ってもムリはない、
だからハッピーエンドを求めるのかも、と。

実際、同級生の友達たちに、
もうハッピーエンドしか受けつけない、
と言ったら、「私も!」「私も!」と、
すごい前のめりで同意され、おどろいた!
(もちろん同級生の中にもハッピーエンドには
こだわらない人もいたのだけど)

やはり年のせいか。

若い頃は、くらーい結末とか、
モヤモヤあとから深ーく考えさせられるものを、
くらいついてみていたじゃないか、私。

むしろハッピーエンドなんて
軽んじていたぐらいだったぞ、私、

なぜ、こうなっちゃったんだろう。

と、別の人に話したら、

「うちの子、十代だけど、
小説は重いものは読まないわよ、
ラノベ(ライトノベル)を読んでる、
軽いものを読みたいんだ、って言ってるよ」

それを聞いて、反射的に思い出した!

「感情を揺さぶられたくない」という若者のことだ。

タイパ(タイムパフォーマンス)を重視し、

映画を1.5倍速で見たり、

エモい、という言葉を従来とはちがい、
それ以上、感情を揺さぶられないようにするために、
予防線のようにしてつかったり、

対面授業はオンデマンド授業に比べ
倍速で見られないからタイパが悪いと言ったり、

いわゆるZ世代と呼ばれる若者のことを、
ちょうど1年前、私はここに書いた。

1年前は衝撃だった!

1年前は、タイパという言葉も初耳だったし、

感情を揺さぶられたくない、って、
どういうこと? って、まるでわからなかった。

だって、映画にしろ、本にしろ、音楽にしろ、
それを求めて鑑賞する人だって多くいる。
いっときは、泣ける映画とか、泣けるマンガとか、
むしろ心を揺さぶられることを
うたい文句にしていたくらいなのに、

感情を揺さぶられたくない、
だったら、なんで、なんのために、倍速で見るの?
と1年前は、理解がまったくおいつかなかった。

ところが、あれからたった1年、
タイパという言葉は浸透してしまったし、

感情を揺さぶられたくない、
という若者のことも、
いまは、ムリもないことだと、腑に落ちる。

「感情労働」

なのだ、現代人を疲労させているものは。

私が十代の頃に比べて、
情報の量は爆発的に増えた。
情報は、四六時中、目から、耳から、
かかわる人たちから、たえまなく入ってくる。

一方で、人間の感情は、
そういう爆発した情報の海を生きる仕様には、
なっていない。

不安にしろ、恐れにしろ、
原始人のときの
獣や敵から命を守る仕様になっている。

それで現代になっても、
生きるか死ぬかの過剰さで、
感情は、ムダに発動されてしまう。

つまり、疲れる。

現代人の多くは、感情疲労。

「もう仲間に、
食料があったと知らせる必要もないんで、
喜び、もっと、おさえめに発動してください」
と頼んでも、進化はそんなに追いついてはくれない。

で、嬉しいにしろ、不安にしろ、
感情は現代生活に不必要に、ムダに、湧き出てしまう。

とくに若い人は、そのみずみずしい感性で、
日々触れる情報ごとに、無防備に、
みずみずしく心揺さぶられていたら、
心が疲れてしまう。

どっかで情報から心をガードするか、
どっかで情報を切り捨てなければ、
毎日の感情疲れがとれないまま、
次の日にもちこされ、
雪だるま式にたまっていって、
やがて心が折れてしまう。

はっ! もしかしたら、私も?

もうハッピーエンドしかいらないと思う私は、
もうドラマで、ムダに感情労働するのはイヤ、
なのだろうか?

「いまドラマを見る心の余裕はあるか?」

これから、もし、
ドラマの感情に自分が追いつかないなら、
心の疲れに耳を澄まし、心を休ませたい。

そもそもハッピーエンドってなんだ?

これまでは、主人公の
恋愛成就とやりたいことの成就、
が主だった、それも悪くないけれど、

「新しいハッピーエンドのカタチを見たい」

そのためには、ラクに見られるところにばかり
いてはいけない、と私は思う。

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【満員御礼!】この講座は満席になりました。
キャンセル待ちも締め切りました。
たくさんのお申込みありがとうございました。

宣伝会議 表現力養成コース

編集・ライター養成講座20周年記念講座

山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く

山田ズーニーです。
私は、これまで北は北海道から南は鹿児島まで、
大学・高校生から
ビジネスマン・プロのライターから作家まで
幅広い層に、数えきれないほど表現講座を開いてきました。
その原型が生まれたのが、
宣伝会議の編集・ライター養成講座でした。
現在も講師をつとめており、毎回、
受講者に次のような声をいただき手ごたえを感じています。

 

・自分の想いの根幹を探るという経験を
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・終了したとき、この講義の意図が
身体にしみわたるように理解できた。
コミュニケ―ションが苦手だったが、
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・現実の出来事を多角的に見て、表現のヒントを探すことは
全ての実務に活かせると思います。

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今回20周年を記念して、ご担当者の、
「この先を行く特別な講座をひらきたい。
表現力をつけたい気持ちはあるものの、
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多彩な仲間とともに引き出しあえるから開花します!
表現を通して他の受講者と心底通じ合える
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心を揺さぶる文章を書きに、ぜひ、来てください。

あなたには書く力がある。

●詳細・お申し込み・お問い合わせは、すべて
こちらのページから
(株)宣伝会議 教育事業部 担当:小林Tel.03-3475-3030まで
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。


表現して人とつながる勇気のレッスン!



『理解という名の愛がほしい。』
河出文庫

会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
平日の昼間うろうろしている
無職のおばさんと見ることだった。

それまで仕事をがんばって経験を積んできた
他ならぬ私をわかってほしい。

この発想・考え・想い・感性が、
かけがえなく必要とされたい。

理解という名の愛がほしい。

「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。

 

●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=699

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

 

ワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

――3回で一生ものの書く力・話す力が育つ

書くことによって、人は考える。
自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
意志が芽生える。

さらに、

言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。

書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。

自分の想う人生を、この現実に書いて創っていける。

あなたには表現力がある。

山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!


「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



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