SDGsって、なんだろう? 最近「SDGs」ということばを、いろんな場所で聞くようになりました。これって国や企業だけが守るもの? それとも国民みんなに関係するもの? 世界はいまどんなことになっていて、どんな方向に進もうとしていて、日本にいるぼくらは何をするべきなのか。知りたいこと全部ひっくるめて、「SDGsってなんだろう?」から高校生たちといっしょに考えてみました。 SDGsって、なんだろう? 最近「SDGs」ということばを、いろんな場所で聞くようになりました。これって国や企業だけが守るもの? それとも国民みんなに関係するもの? 世界はいまどんなことになっていて、どんな方向に進もうとしていて、日本にいるぼくらは何をするべきなのか。知りたいこと全部ひっくるめて、「SDGsってなんだろう?」から高校生たちといっしょに考えてみました。
先生:田中明彦さん

生徒:正則学園高等学校のみなさん
02 日本が抱える問題とは?
写真
──
17の目標、169のターゲット、231の指標‥‥。
すごいボリュームなんですね、SDGsって。
田中
なので、すべて説明していると、
いくら時間があっても足りません。
ちなみに、わたしの大学では、
SDGsの中身を1学期間かけて勉強します。
一同
ひゃーーー!
田中
ただ、きょうはSDGsの入門編なので、
ポイントをしぼってお伝えしようと思います。
──
助かります(笑)!
田中
最初に見ていただくのは、
SDGs1番の「貧困人口割合」です。
このスライドをごらんください。
写真
田中
この地図は
「1日1.9ドル未満で生活する人」
の割合を色分けしたものです。
オレンジ色が濃くなるほど、
貧困人口の割合が高くなっています。



これを見るとアフリカの多くの国で、
貧困の割合が高くなっています。
インドもよくなりましたが、
それでも20パーセントくらいの人が
いまも貧困状態です。



一方、中国はグリーンなので、
極度の貧困がほとんどいません。
じつは、中国というのは、
ここ30年くらいで極度の貧困の人口を
いちばん減少させた国なんです。
次のグラフを見てください。
写真
田中
1990年の時点で、
中国は人口の66パーセントが、
1日1.9ドル未満で暮らしていました。
中国はそこからどんどん減らして、
いま、ほぼゼロの状態です。
中国は貧困問題を抜け出し、
「開発」の面で大成功したわけです。



いまのことを頭に入れながら、
次のスライドを見てください。
温室効果ガスの排出量を示した地図です。
写真
田中
どこがいちばん出してるかというと、
そう、中国なんです。
2番目に多いのがアメリカ。
日本、韓国、ヨーロッパ、インドも
かなり出しているのがわかります。
一同
うーん‥‥。
田中
さて、これらの事実から、
ある問題点が浮かび上がってきます。



貧困で苦しむアフリカの国々も、
中国みたいに豊かになってほしい。
だけど、中国みたいな開発をすると、
温室効果ガスの排出量が爆発的にふえ、
環境破壊が一気に進んでしまいます。
開発はしたい、でも環境も守りたい。
じゃあ、どうすればいいのか‥‥。



答えはまだ見つかっていません。
いまの世界はそういう問題に直面しています。
SDGsの議論のなかでも、
ここはよく語られる部分のひとつですね。
一同
なるほど‥‥。
写真
田中
きょうは時間がないので、
世界の話はこれぐらいにして、
ここからは日本の話をします。
日本はいまどんな問題を抱えているのか。
まずは、SDGs5番「ジェンダー平等」です。
写真
田中
このスライドは、
「国会における女性議員の比率」を
世界地図に落とし込んだものです。
オレンジ色が濃くなるほど、
女性比率が低いという意味です。



これを見るとわかるように、
日本の女性議員の比率は、
世界でも最低水準の10パーセント以下。
日本でも男女平等の話はよく出ますが、
こういう指標を見るかぎり、
先進国の中ではかなり遅れをとっています。
一同
うーーん‥‥。
田中
どんどんいきます。
次はSDGs10番「社会の不平等」。
写真
田中
日本は世界のなかでいえば、
それほど不平等が大きい国ではありません。
中国や南アフリカ、コロンビアと比べると、
日本はまだいいほうでしょう。
しかし、この地図を見てみると、
まさに黄色信号という感じですよね。



最近はニュースなんかでも
「格差問題」や「子供の不平等問題」が
よく取り上げられています。
今後はこういう指標も、
ちょっと注目すべきところかもしれません。
写真
田中
このスライドは、国内の森林面積が
どのらい変化したかを示したものです。
イエローとグリーンは森林を増やした国。
一方、オレンジ色が濃くなるほど、
森林が減った国になります。



これを見ると、日本は森が減った国です。
一方、中国、アメリカ、ヨーロッパは、
意外にも森林面積がふえています。
こうやって世界と比べると、
日本のいろんな事実が見えてきます。
──
たしかに、うーん‥‥。
田中
さあ、どんどんいきますよ。
次は日本が抱える問題のなかでも、
とくに深刻な「自殺率」です。
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田中
日本は治安がとてもいい国で、
世界の中でも「他殺率」が非常にすくない。
日本で人から殺される数は、
年間10万人あたり0.5人くらいといわれています。



一方で、日本の自殺率は、
10万人あたり20人ちかくと非常に高い。
つまり、日本では人から殺されるより、
じぶんで命を絶つ確率のほうが、
40倍くらい高くなるわけです。
──
そんなにも‥‥。はぁぁ。
田中
さて、次で最後になります。
最後はSDGsの17番。
「パートナーシップ」です。
──
パートナーシップ?
田中
ここで話すパートナーシップとは、
先進国から発展途上国に行う支援のことです。
「政府開発援助」または
「ODA」と呼ばれているものです。
写真
田中
これは世界各国のODAの総額を
グラフにしたものです。
もっとも多いのアメリカ、次がドイツ。
日本は4番目に高い金額を出しています。



このグラフを見ると、
アメリカも日本もたくさんODAに
お金を使っているように見えます。
──
上位5カ国は、とくにそう見えます。
田中
ところが、このODAの総額を、
その国が年間で稼いだ額で割ってみると‥‥。
写真
──
かなり順位が変わりました。
田中
このグラフは、年間のODAの額を
「国民総所得(GNI)」で割ったものです。
おおまかにいえば、国が稼いだお金のうち
何パーセントをODAに使ったかがわかります。



SDGsの17番のなかには
「国民総所得(GNI)のうち、
0.7パーセントをODAに使いましょう」
というターゲットが設けられています。
ところが、日本は0.29パーセント。
アメリカはもっと低くて0.16パーセントです。
一同
へぇーーー。
田中
こういうグラフを見てみると、
日本ももうすこし対外援助を
やれるんじゃないかなって思いますよね。
一同
たしかに‥‥。
田中
‥‥はい、ということで、
わたしからの説明は以上になります。



だいぶん駆け足でしたが、
SDGsの背景と、世界の典型的な問題、
それから日本の課題というのを
お話しさせていただきました。
ご清聴ありがとうございました。
一同
パチパチパチパチ!
写真
──
田中先生、ありがとうございました。
このあとはみなさんの質問をもとに、
もうすこしSDGsの話を
うかがえればと思っております。
田中
わかりました。
じゃあ、どなたからいきますか?
(つづきます)
2021-11-06-SAT
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