第7回 友達になりやすい絵。
佐藤

たかしまさんがマックで
ブタフィーヌさんを描いているとは!
手書きだと本当に思っていただけに
これは衝撃でしたね。

糸井

色つけまで
アッという間に出来るんだね。

たかしま

ブタフィーヌさんの連載は
コマの下書きから
全部マックでやってます。
あらかじめブタフィーヌさんの
髪の毛や身体の色決めをした
ブタフィー・パレットがあるので
色も簡単に塗ることできるんですよ。

糸井

キャラクターの
色決めするようなことは
アニメのプロダクションで
やるようなことですけど
たかしまさんは
マックで絵を書くような
プロダクションにいた経験があるんですか?

たかしま

いえ。この仕事をする前は、
システムエンジニアといわれる
コンピュータ関係の仕事をしてましたし
大学は工学部でコンピュータを専攻してました。

佐藤

絵の人じゃないんだ!

たかしま

そうなんです(笑)。
僕はもう小学校のときの卒業アルバムに
「自分の夢」っていう欄があったんですけど、
「ロボットを作る博士」
と書いてたくらい
自然とコンピュータを習って
コンピュータ系の大学へ行きました。

糸井

面白いでしょう?(笑)

佐藤

これは面白い!
じゃあ、もちろん
デッサンとかはしたりとか……

たかしま

絵はずっと好きで書いてましたけど。
デッサンみたいなことは
やってないですねえ。

佐藤

はああ!

糸井

だから線への思い入れみたいなものが
たかしまさんには無いんですよ。
「価値があるだろう!」
って描いてない。
だから、すごい友達になりやすい。

佐藤

あ、友達になりやすい。
そうかもそうかも。

たかしま

僕も本当に、
楽しいから描いてるっていう感覚で
ずっと描いてるんです。

佐藤

変にアカデミックなことをされてないだけ、
ルールを自分で
自由に作っていく感じがします。

糸井

このおじさんだってさ、
姿から職業を類推するしかないんだけど、
何か仕事をやってるはずなんですよ(笑)。
ひょっとしたら、たかしまさん、
まだ考えてないんじゃないの?(笑)

たかしま

ふふふ。
そうですねえ(笑)。

糸井

バカボンのパパが植木屋だって知ったとき、
僕はショックでした(笑)。
雑誌の連載のときには職業ないんですよ。
なのにアニメになったら植木屋になっちゃって、
それはいかがなものか(笑)と思ったんです。

佐藤

最初から全部計算してできたものは
やっぱり面白くないですよ。

糸井

面白くないですねえ。
要するに、
作者と一緒に遊びたいわけですから
作者が向こう側にいて
「どうだ!」と言うのよりは
読者と一緒に
「あれ? どっち行こう」
というようなリーダーに
引っ張られてったほうが
冒険としては面白いですね。

佐藤

参加できるって重要ですね。
たかしまさん、
ちょっとそのタブレット
ぼく、触っていいですか。

たかしま

あ、もちろん、もちろん。

佐藤

私もデザイナーとして、
こういうものをちょっと
触ってみたいなと思ったんです。

たかしま

こういうグラフィックタブレットは
初めて触るんですか?

佐藤

本当に初めてですね。
パソコンはメールとインターネット検索くらいだし、
全部、紙とシャーペンと練りゴム。
すべてそれですから。
ちょっとブタフィーヌさんに
チャレンジしてみましょう。

<つづきます>
2007-03-19-MON
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