第8回 ブタフィーヌさんは目は命。
佐藤

実際に自分でも
ブタフィーヌさんを
描いてみて思ったのですが
キャラクター界の大物って
だれにでも簡単に描けるじゃないですか。
これ実はすごく重要だと思いませんか。

糸井

たしかにブタの絵って
記号的に楽だから
描けない人はほとんどいないでしょうね。
だけど、このブタフィーヌさんの個性は、
トンカツ屋の看板に描いてあるブタとは違って
かわいさがあるじゃないですか。
何、この髪の毛は(笑)。
今さら聞くのはなんですが。

たかしま

そもそも髪の毛って認識されないことも
けっこうあって(笑)。
「頭にタオルを載せてるんですけど、
 これは何でしょう」
みたいに言われたり
「練り物っぽい」とか(笑)
髪の毛なんですけどね。

佐藤

よくこんなにやらないで
筆をあげられるなと感心してます。
実は、筆をあげるタイミングって
すごく難しいですね。
絵でもデザインでも、
どこで筆をあげるかによって
生きることもあるし
死んでしまうこともある。

糸井

それはね、好きでやってるだけだったからだと思う。
最初からデビューさせることを念頭において
いろいろ展開なんかを考えてたとしたら
「やっぱりもっと好かれたい!」と
邪念が出てたと思うんです。

佐藤

自分がやってきたこととは
ある意味では対極でもあり
究極でもありますね。
デザインって
例えば1本の線を決めるにしても
線を1本引いちゃうと、
そこにはすでに線という幅があります。
究極には
その線の内側なのか
外側なのか
真ん中なのか、
どのへんなのかっていうことを
突き詰めていく作業なんですよね。
そうすると
たかしまさんが作っているような
味わいとか本来の人間性とか、
そういうものが知らないうちに
死んでいくことがあるなあと
今日ちょっと思いました。
ブタフィーヌさんを描く時は
描き直しなんかはしないんでしょう?

たかしま

いや、逆に消しますね。
線が少ない絵だけに
ちょっと狂うと
表情ががらっと変わっちゃうんです。
特に書くのに時間がかかるのが
目なんです。

糸井

目の位置をピックアップするというときが
一番真剣勝負ですよね。
だから、
描いてる自分というのは
選ぶ自分の助手ですよね。
その意味では、
デザイナーにもちょっと似てるんですよ。

佐藤

確かにそうかもしれないですね。

たかしま

目をどこに置くかだけでなく
目の大きさも関係してくるんです。
ちなみに目は
完全な丸にはなってないんです。
コンピュータだとポンと押せば、
ピッと丸が出るんですけど、
その目だとブタフィーの目じゃないんですよね。
グルグルグルって描くと
1ドット、2ドット、
ほんの少し、
ピッとはみ出たりするんですよ。
これが悲しい顔や喜んでるとか
表情をつくるんです。

佐藤

いや、深いぞ、これは。
ちょっと描いてもらえますか?

たかしま

はい!やってみます。

<つづきます>
2007-03-21-WED
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