HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN いまの時代のナポレオン。厚切りジェイソン（ジェイソン・ダニエルソン） × 糸井重里
“Why Japanese people‥‥!?”のフレーズで知られる、
IT企業役員でお笑い芸人の、厚切りジェイソンさん。
糸井重里が作ったゲーム『MOTHER』を
相当な回数プレイした、という話がきっかけとなり、
「ほぼ日」に遊びに来てくださいました。
「もともと、すごく出世したかったんです」と語る
ジェイソンさんが目指すのは、いまの時代のナポレオン？
ふたりの対話を全７回でおとどけします。
厚切りジェイソンさんプロフィール
寺尾玄さんのプロフィール
厚切りジェイソン（あつぎり・ジェイソン）

1986年４月９日生まれ。
アメリカ・ミシガン州出身。身長186cm。
ITベンチャー企業の会社役員兼、
ワタナベエンターテインメント所属のお笑い芸人。
“Why Japanese people‥‥!?”のフレーズで有名。

17歳で飛び級にてミシガン州立大学に入学後、
イリノイ大学の大学院に進学、卒業。
2005年に来日し、１年間日本に滞在。
このとき『エンタの神様』をきっかけに、
日本のお笑いの魅力にハマる。
その後アメリカに帰国するも、2011年に再来日。
2013年10月より、
ワタナベコメディスクールの19期生となる。
2014年９月、お笑い芸人としてデビュー。
2014年12月29日放送の
『速報！有吉のお笑い大統領選挙』にてテレビ初出演、
2015年2月10日に決勝が放映された
「R-1ぐらんぷり2015」では決勝進出。
以降、さまざまな番組に出演し、広く知られるようになる。
芸名の「厚切り」は、胸板の「厚さ」と
暮らしている「神奈川県厚木市」に由来するもの。
著書に『日本のみなさんにお伝えしたい48のWhy』
（ぴあ、2015年11月）がある。

厚切りジェイソンさんのTwitter
@atsugirijason
とじる
7　なんでも中毒になるタイプ。
糸井：
だけど、ぼくもそろそろ年だから、
いまのうちにやれることをやっておきたいんですよね。
ぼく、そのうち死んじゃうんで（笑）。
ジェイソン：
いやいや！　日本人は長生きしますよ。
糸井：
その「いやいや！」が速いんだよね。
センスだね、そこは。
ま、そうはいってもぼくはそのうち‥‥
ジェイソン：
いやいや！
糸井：
そのセンスがいいね（笑）。
ジェイソン：
だけど日本人は本当に長生きするんです。
ぼくの嫁もぼくより８歳上ですけど、
たぶん同じタイミングでいなくなる。
アメリカ人、早く死ぬんです。
糸井：
いやいや。
アメリカ人、無理をする人が
ちょっと多いんじゃないの？
ジェイソン：
糖尿病や肥満の世界ですからね。
頑張ります。
糸井：
日本では太らない？
ジェイソン：
実は日本に来たとき、ぼくは140キロあったんです。
もう、どれだけ太ってたの、っていうくらい。
糸井：
へぇーっ。
ジェイソン：
で、ちょっと頑張ってみようかなと、
ジョギングをはじめました。
そしたら50キロくらい痩せました。
ものすごい変化ですよ。
糸井：
どうしてそこまで太ったの？
ジェイソン：
いや、もうそれは、
甘いものがおいしいですからね。
糸井：
さっき羊羹あげちゃったけど（笑）。
ジェイソン：
いや、これは日本の甘いものだから大丈夫。
アメリカの甘いものは、本当に病気レベルですよ。
糸井：
だけど、こんなに頭のいい人がどうして
「体によくないから食べない」みたいに
できなかったの？
ジェイソン：
いや、そこは‥‥
そこは、ちょっと弱点だったね。
一同：
（笑）
ジェイソン：
うちのお母さんは、パン屋さんとかではないけど、
頻繁に甘いものを作ってました。
たとえば月曜日に大きなホールケーキを作る。
もちろん全部食べきれないから、当然残る。
なのに火曜日も新しいケーキを作って、
それも食べる。で余る。
水曜日もお母さんの新しいケーキを食べる。残る。
木曜日も‥‥
って土曜日まで行きますよね？
するとこんどは一週間の残りが全部でてきて、
「どれにする？」と言われて「うーん」と思って、
月曜日の残り、火曜日の残り、水曜日の残りが
目の前にある。
「じゃあ‥‥‥‥それなら全部だ！」
そういう食べ方をしてました。
糸井：
それ、ほとんどバカですよね（笑）。
ジェイソン：
まぁ食ってましたね、甘いものを。
そこは気を付けないといけないところだね。
糸井：
そのときにはわからなかったんだ。
ジェイソン：
わかってたんです。わかってたんだけど、
‥‥ウマいんですよ。しょうがない。
糸井：
要するに、いろんなことに
中毒になるタイプなんだ。
ジェイソン：
それはちょっとありますね。
いまも毎日が戦いです。
食べすぎないようにする。
糸井：
140キロあっても、リーダーシップは守れる？
ジェイソン：
頑張ってましたね。
でも、ぼくは太ってたけど
「超デブ」ではなかったんですよ。
筋トレもしてて、体重が140キロあったけど、
155キロのベンチプレスもできてたから。
糸井：
負けずぎらいだから（笑）。
ジェイソン：
そうですね。
当時はもう、グワッとがっつりした
クマのような体でした。
たぶん腕も丸太くらいあったんですよ。
糸井：
それじゃ、当時はもっとこわい人だったんだね。
ジェイソン：
イケてましたね。
糸井：
‥‥はぁ（笑）。
じゃあ、そのときのほうが、
アメリカの女の子にはモテたんじゃない？
ジェイソン：
そりゃモテますよ。
糸井：
いまくらいの細さも、ぼくはいいと思うけど。
ジェイソン：
‥‥もしクマが現れたら、
誰が守るんですか？
糸井：
（笑）そうですよね、きっとね。
細いと「フェミニン」とか思われちゃいますね。
ジェイソン：
そうですよ。
糸井：
アメリカ、そういう価値観は
西部劇の時代からあまり変わらないですよね。
大きいやつが強い、みたいな。
ジェイソン：
まぁ、そうですね。男前が人気がある。
糸井：
ぼくはアメリカ行くと、その感じがきついんですよね。
飛行機降りたら、もうみんなでかくてさ
「できるだけクマになりましょう」みたいな。
ジェイソン：
そうそう、そうなんですよ。
それでみんなで「俺、こうなんだぜ」って
比較し合うんです。
糸井：
そう。だからさ、
その感じは自分には居づらいなぁと思って、
早く帰ろうって思った。
ジェイソン：
そうですか？
いまでもじゅうぶん男前なのに。
糸井：
うまいこと言うね（笑）。
‥‥じゃあ、いまの状態のジェイソンさんが
アメリカに戻ったら「ひ弱」って思われちゃうね。
ジェイソン：
でも、もう、あんまりモテる必要はないですから。
糸井：
おお。そこはいまになってわかった？
ジェイソン：
そうですね。わかりました。
でも当時も、すでに結婚してたから、
鍛えてたのもモテるためではなかったんですけど。
なんというか、ただただ力が欲しくて。
「どんな相手が来ても潰せるようにしとこう」って。
糸井：
はぁー‥‥。
ほんとに負けずぎらいなんだね。
ジェイソン：
そうですよ、本当に負けずぎらいです。
糸井：
アメフトとかもやってたの？
ジェイソン：
高校だけですけど、やってました。
ただ、力はあったけど、あんまりスキルはなかった。
糸井：
きっとアメリカだと、たしなみなんだよね。
ヨーロッパだとそれがサッカーなのかな。
でもサッカーだと、細い人がいっぱいいるから
また違う価値観なんだろうね。
ジェイソン：
そうですね。
でもまぁ、細いやつは潰せるから。
糸井：
‥‥しょうがねぇなぁ（笑）。
ジェイソン：
ねぇ？（笑）
糸井：
そういう子から、いまの
「厚切りジェイソン」が生まれてるんだ。
ジェイソン：
そうですね。
日本に来たら、こうなりました。
糸井：
ということは、ジェイソンがアメリカの会社を
「日本でこんな計画で働いていきます」
と言ったときはクマみたいなやつで、
「よし、行ってきたまえ」
って日本に来たら、50キロ痩せちゃったんだ。
ジェイソン：
はい、そうです。
間に転職もしてて、
これ（大柄なジェスチャー）は、
アメリカの会社の日本法人。
で、これ（小柄なジェスチャー）は
日本の会社のアメリカ法人。
糸井：
使い分けてる（笑）。
ジェイソン：
そうですね。
糸井：
今日はありがとうございました。
‥‥きっとまた会うと思いますけど、
ぜひそのときは、これからの話を聞かせてください。
ジェイソン：
ええ、こちらこそありがとうございました。
とてもたのしかったです。
糸井：
今日は、芸人のかたと話をした気が
しませんでした（笑）。
ジェイソン：
あ、すいません、芸人です！
芸人もやらせていただいてまして。
一同：
（笑）
カメラマン：
最後に、おふたりが並んだ写真を撮らせてください。
糸井：
胸筋たしかにすごいわ、厚切りだわ。
ジェイソン：
これでもだいぶ縮みました。
前はもうドッカーンでしたよ、ドッカーン！
とっても細くなりました。
糸井：
細くない！　ぜんぜん細くない！
ジェイソン：
‥‥厚切り！

厚切りジェイソンさんと糸井重里の対談は
こちらでおしまいです。
お読みくださって、ありがとうございました。
2016-03-09-WED
  • 前へ
  • トップへ
  • 次へ
information
日本のみなさんに
お伝えしたい48のWhy
厚切りジェイソンさんが、
実際にTwitter上で訊かれた
48の人生相談に対し、
自分の見解を詳しい解説とともに
紹介している一冊。
どの回答も、論理的で明快、
そしてポジティブ。
読むと気持ちが整理され、
いろんな問題に対して
「よし、やってみよう！」という
気持ちが湧いてきます。
Amazonでのお求めはこちら
  • twitter
  • facebook
  • mail
  • home
©HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN