



台湾の銀行に行くと……
色々あって今月は日本に長めに帰ります。
(ここのずっと下に日本でのイベントの
お知らせがアリです、)
ということで、普段全く行かない銀行に行きました。
こどもの口座を開くことと
デビットカード機能の期限切れを更新するべく
重い腰を上げて行ってきました。
台湾の銀行は、常にネタの宝庫と注目していて、
「台湾のきほん」という本にも
このほぼ日の連載でも、以前クリスマスの話で書きましたが、
やっぱり台湾の銀行は、面白いです。

一日目(ということは二日目もある)。
デビッド機能の復活にあたって
百年くらい記帳していない通帳を記帳しようと出すと
カウンターの向こうがワサワサして、
通帳上は結婚後の姓が印字されているのに
銀行のデータは、青木由香のままと言うことが発覚。
変えたはずが変わっていない。
印鑑を含めてそれを変えないと
デビッドカードどころじゃないと。
こんな事、銀行であり得るのか。
詳しく聞こうとしたら、
まあまあまあ、と丸め込まれ、
旧姓の印鑑を持って来るよう言われました。
どっちみち未成年のこどもの口座開設は
両親の立ち合いが必要なので
旧姓の印鑑を持って旦那と改めて来ることにしました。

翌日。
昼近くだったので銀行員の昼休み問題が
私の前にチラつく時間帯でした。
私の対応をしている小姐が電話を受けました。
電話の向こうで早く昼に行けと言われています。
「みんなが次々私に仕事振ってくれるんだもん〜!
かわいそうでしょ〜。なんか飲み物買ってきてぇ〜!」
それを聞いた隣の女子行員も
「続きはやってあげるから、早くお昼行って来なさいよ〜」
日本でどこの銀行の銀行員が
お昼休みの段取りを客の前でするか。
そして、私たちの案件を目の前で人にパスする。
「じゃ、お願いね。これ、あの“緑”の。
あの“緑”にサインもらって。」
“緑”とは、
緑のTシャツをムチムチぴったりに着ていた
うちの旦那のことデス。

私たちの通された、保険の勧誘コーナーみたいな低いテーブルは
通常のカウンターに比べ
客と銀行員の境がほぼ無い環境。
私たちが中国語の拙い外国人だからではなく、
台湾人にも無防備な接客をするはずです、この人たちは。
資料と通帳の名義が違うややこしい私は
昼の休憩のため、担当が三人変わりました。
“吃飯皇帝大(チーファンホァンディダァ)”
“食事は、皇帝より大事”
台湾人の座右の銘です。

私はバカだから旧姓の印鑑を忘れていました。
諸々を処理している間に取って来いと言わてたのですが
三人目の担当者は
「大丈夫よ。印鑑、なくしたことにしちゃうから♡」と
いとも簡単に紛失処理をしてくれて、
新しい姓の印鑑に更新されました。
ところが、こどもの口座開設の方で
やっぱり家に帰ることになりました。
これは私のバカな忘れ物ではなく、
パスポートではこどもの両親だと証明されていない、
ということで、日本の戸籍謄本が必要になったのです。

自転車で戻って来るときに、
私は紛れもなくバカで、鍵を忘れていました。
「書類を渡したら、入り口付近で
自転車を見張りつつ手続きを待ちたい。」と言うと
私の三人目の担当者さんが
入り口にいる銀行員さん(迷えるお客を導く係)に
「あの自転車見ててあげてよ」と言ってくれたんです。
通常なら警備員が担当しているところ。
(銀行の警備員は、銀行員が警備服を着ている
と言う疑いが湧くくらい、よくお客さんの面倒をみる。
ちょっとした手続きの悩みも手伝ってくれます。
詳しくは、拙著『台湾のきほん』にて)
昼休憩の警備員さんに変わって立っている銀行員さんが、
私の手続きが終わるまでに、これまた三交代で
自転車の見張りをしてくれました。
ちなみに三人目はビシッとしたスーツで、
支店長クラスの人でした。
学歴と社会的地位の高い人に、なんかすみません。
こんな私が日に日にテキトウさを増していくのは
台湾がこんなだからです。
決まりやルールーは参考程度。
臨機応変に対応し、助け合いと食べることが大事。
台湾の生活は、一度やったらやめられません。
ほんとです。
